シンガポールの軍事

シンガポール共和国の国防政策・軍事機構など

シンガポールの軍事(シンガポールのぐんじ)では、シンガポール共和国国防政策・軍事機構などについて述べる。

シンガポール軍兵士の像

概説編集

 
アフガニスタンで活動するシンガポール軍の兵士

シンガポールは、マラッカ海峡を臨む地政学的に重要な位置にあることや、経済力が強く、小規模ながら近代的な軍隊を所有している。シンガポールは小さな島国のため、その繁栄は東南アジアにおける金融貿易・ビジネスの拠点であることに依拠し、近隣アジア諸国や欧米などとの幅広い協力関係づくりを安全保障の基礎としている。

1965年の独立後に伴い、シンガポール軍が創設された。イギリス軍も駐留していたが、イギリス軍主力は1971年12月に撤退した。人員については2万人の職業軍人のほか、2年間の徴兵制を実施し必要兵力を満たしている。徴募兵の数は5万5千人に達し、兵役終了後も10年間の予備役につく。[1]この予備役人員数も約31万人に達している。

徴兵は17歳の時に行われ、進学の場合を除き延期は認められていない。ただし、シンガポールの徴兵はナショナル・サービスとして、以外の公共機関にも配属されるものである。予備役兵は普段は民間人であるものの、年間最大で40日間召集され、訓練および任務を実施する。

安全保障編集

シンガポール1965年に独立し、1971年イギリスオーストラリアニュージーランドマレーシア5か国防衛取極を締結した。1968年1月にイギリスがスエズ以東からの撤退を決定したのに伴い、マレー半島における安全保障を維持するために取極が締結された。これにより、有事の際にはとるべき措置を決定するために直ちに協議することが義務付けられている。シンガポールは基地の提供などを行っている[2]

シンガポール軍は隣国インドネシア・マレーシアを始めとするASEAN諸国およびアメリカ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランド・台湾インドで共同訓練を実施している。アメリカ軍は、1990年に締結された覚書に基づき、Paya Lebar空軍基地とSembawang桟橋の利用権を持っている。1999年にこれは一部改定され、2001年より稼動するチャンギ海軍基地も含まれるようになった。そして、台湾は国内の軍事施設を常時シンガポール軍に貸している。また、中国とは2009年2010年2014年2015年に共同軍事演習を行っている[3][4]

2017年5月15日には、シンガポール海軍創立50周年を記念し、44カ国の軍艦46隻による観艦式を挙行[5]。日本の海上自衛隊からは護衛艦「いずも」「さざなみ」が参加した。

軍事機構編集

シンガポール軍(Singapore Armed Forces, SAF)は、陸海空の三軍からなる。

  • 陸軍(3個師団基幹 第3・第6・第9師団)
  • 海軍(8個戦隊および海軍基地2ヶ所)
  • 空軍(17個飛行隊および空軍基地4ヶ所)

新兵の訓練編集

新兵は、3ヶ月の基礎訓練を受けることとなっている。そこにおいては射撃訓練のほか、野外工作・ジャングルでのサバイバルカモフラージュの教育が行われる。一部の兵は、その後、士官教育またはスペシャリスト教育を受ける。士官候補生コースは9ヶ月、スペシャリスト教育コースは21週間ある。残りの大部分の兵は、様々な部隊に配属される。

テロ対策編集

シンガポールは、対テロ戦争のような非従来型の戦争に対する準備も整えている。軍の特殊部隊のほか、警察SWATに相当する特殊部隊のほかグルカ兵部隊を有する。

情報能力編集

シンガポール軍の情報能力は秘密にされており、それらの詳細は不明である。しかし、シギントや画像情報の収集には高い能力を示すと思われる。空軍においては、各種センサーを搭載したイスラエル製のUAVを運用している。

実戦経験編集

シンガポール国内で発生したいくつかのテロ事件の収拾に従事した。

関連項目編集

出典編集

  1. ^ 『シンガポールを知るための65章』明石書店。 
  2. ^ 篠崎, 正郎 『引き留められた帝国―戦後イギリス対外政策におけるヨーロッパ域外関与、1968~82年』吉田書店、2019年。ISBN 978-4905497837 
  3. ^ 『漢和防務評論』2015年5月4日付
  4. ^ 中国とシンガポール、初の海上合同演習を終了 中国網 日本語
  5. ^ シンガポール、初の国際観艦式 米中ロなど参加”. 日本経済新聞電子版2017年5月15日. 2017年5月17日閲覧。

参考文献編集

  • 佐島直子編『現代安全保障用語辞典』(信山社出版、2004年)