スミュール家
スミュール家（Maison de Semur）は、中世盛期のブルゴーニュの貴族の家系である。
スミュール家はスミュール＝アン＝ブリオネ発祥で、10世紀半ば以降歴史上に現れた。11世紀初め、ジョフロワ1世・ド・スミュールと、ブルゴーニュ公アンリ1世未亡人マオー・ド・シャロンの結婚により同家は表舞台に現れ、それぞれの初婚でもうけた子であるダルマス1世・ド・スミュールとアランブルジュも結婚した。アランブルジュはブルゴーニュ公の唯一の子であったが、アンリ1世の甥フランス王ロベール2世のためにスミュール家はブルゴーニュ公位を継承することができなかった。代わりに、マオーを通してシャロン＝シュル＝ソーヌ伯領を継承することができたが、1078/80年に男子継承者なく断絶し、ドンジー家が相続した。
ブルゴーニュの場合と同様に、エルヴェ4世・ド・ドンジーも、ヌヴェール、オセールおよびトネールの女子相続人であるマオー・ド・クルトネーと結婚した。しかし、二人の間には男子後継者が生まれなかった。
同家で最も重要な人物は、1049年に6代クリュニー修道院長となった聖ユーグ（1109年没）である。
ジョフロワ1世の長子ダルマス1世の家系であるスミュール家の本家は13世紀半ばに断絶した。数世紀後、その分家のダマス＝アン＝フォレ家（Damas-en-Forez）は、1816年にダマス＝クル（Damas-Crux）公の地位を得たが、1846年に断絶した。
次子エルヴェの家系であるドンジー家の本家は1225年に断絶したが、ジョフロワ3世・ド・ドンジーの叔父（母方の叔父の可能性もある）とみられるサヴァリック・ド・スミュール（Savaric de Semur）の家系がヴェルジー家として、シャンリット伯領を1630年まで継承していた。
一番年下の第三子ティボーの家系はシャロン伯家で、1227年に断絶した。
系図 編集
| フレーラン・ド・シャムレ（Fréelan de Chamelet） スミュール領主 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ジョスラン・ベール (-992/4) スミュール卿 | ランベール シャロン伯 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ブリウド副伯ダルマス2世の娘 | ジョフロワ1世 スミュール卿 | マティルド（マオー） ドンジー女卿 | アンリ1世 ブルゴーニュ公 | ユーグ1世 シャロン伯 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ダルマス1世 (-1048以前) スミュール卿 | アランブルジュ | ジョフロワ1世 ドンジー卿 | ティボー (-1065) シャロン伯 | (?) エルマントルド | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| アエリー （ヌヴェール伯ルノー1世娘） | ジョフロワ2世 (-1070/80) スミュール卿 | エリー ＝ブルゴーニュ公ロベール1世 | ダルマス モンタギュー卿 | 聖ユーグ (-1109) 6代クリュニー修道院長 | エルヴェ1世 (-1055) ドンジー卿 | マティルド | ユーグ2世 (-1078/80) シャロン伯 | コンスタンス （ブルゴーニュ公ロベール1世娘） 2＝カスティーリャ王アルフォンソ6世 | アデライード ＝ギヨーム・ド・ティエルン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ジョフロワ3世 (-1123.5.24) スミュール卿 | ユーグ・ダルマス ディオ、リュニー、クザン領主 | ルノー (-c.1109) モンタギュー卿 | ユーグ (-1137.8.10) オセールのサン＝ジェルマン修道院長 | エルマンガルド ＝スミュール卿ジョフロワ3世 | ジョフロワ2世 (-1111) ドンジー卿 シャロン伯 | エルヴェ2世 (-1120) ドンジー卿 | (?) サヴァリック (-1113以降) | シャロン＝シュル＝ソーヌ伯家 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ジョフロワ4世 Courtépée (-1128以前） | アエリー・ド・ギネ | ルノー (-1129.8.7) ヴェズレー修道院長 リヨン大司教 | ダマス＝アン＝フォレ家 | ジョフロワ3世 (-1157) ジアン、サン＝テニャン、コーヌ、シャテル＝サンソワール領主 | アニェス ＝シュルピス2世・ダンボワーズ | ヴェルジー家 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ジョフロワ5世 (-1150以降) ギネ伯 | マティルド （アリェ領主ギヨーム娘） | エルヴェ3世 (-1187) ドンジー領主 | クレマンス （ブルゴーニュ公ユーグ2世娘） | アリックス＝マティルド (-1175) 1＝アンセル・ド・トライネル 2＝サンセール伯エティエンヌ1世・ド・シャンパーニュ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ダルマス2世 | エルヴェ4世 ドンジー領主 | マティルド（マオー） ヌヴェール女伯 （ラテン帝ピエール2世娘） | ギーニュ4世 フォレ伯 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| シモン1世 (-1219) | ドゥース （ブルゴーニュ公ユーグ3世娘） | ダルマス・ド・リュジー (-1226以前) | アニェス (-1225) | ギー2世・ド・シャティヨン サン＝ポル伯 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ダルマス3世 | シモン (-1247以前) | エリザベート （アンベール5世・ド・ボージュー娘） | ルノー1世 フォレ伯 | ルノー | シャティヨン家 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
参考文献 編集
- Detlev Schwennicke, Europäische Stammtafeln Band III.3 (1985) Tafel 433-435