トビ
トビ(鳶、学名: Milvus migrans)は、タカ目タカ科に属する鳥類の一種。トンビとも言う。
トビ | ||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() Milvus migrans(2008年1月29日撮影)
| ||||||||||||||||||||||||
保全状況評価 | ||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ![]() | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||
Milvus migrans (Boddaert, 1783) | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
トビ(鳶)、トンビ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Black Kite | ||||||||||||||||||||||||
亜種 | ||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||
![]() トビの分布
|
ほとんど羽ばたかずに尾羽で巧みに舵をとり、上昇気流に乗って輪を描きながら上空へ舞い上がる様や、「ピーヒョロロッロッロ…」という鳴き声はよく知られており、日本ではもっとも身近な猛禽類である。
形態編集
タカ科の中では比較的大型であり、全長は60〜65cmほどで、カラスより一回り大きい。翼開長は150〜160cmほどになる。体色は褐色と白のまだら模様で、眼の周囲が黒褐色になっている。地上や樹上にいるときは尾羽の中央部が三角形に切れ込んでいるが、飛んでいるときは尾羽の先端が真っ直ぐに揃う個体もいる。また、飛んでいる時は翼下面の先端近くに白い模様が見える。
生態編集
- 飛翔
主に上昇気流を利用して輪を描くように滑空し、羽ばたくことは少ない。視力が非常に優れていると言われ、上空を飛翔しながら餌を探し、餌を見つけるとその場所に急降下して捕らえる。
飛翔中、カラスと争う光景をよく見かけるが、これは、トビとカラスは食物が似ており競合関係にあるためと考えられている。特にカラスは近くにトビがいるだけで集団でちょっかいを出したり、追い出したりすることもある。
- 捕食
郊外に生息する個体の餌は主に動物の死骸やカエル、トカゲ、ネズミ、ヘビ、魚などの小動物を捕食する。都市部では生ゴミなども食べ、公園などで弁当の中身をさらうこともある。
餌を確保しやすい場所や上昇気流の発生しやすい場所では多くの個体が飛ぶ姿が見られることがあるが、編隊飛行を行うことは少ない。ねぐらなどでは集団で群れを作って寝ることもある。海沿いに生息するものは、カモメの群れに混じって餌を取り合うこともある。
- 営巣
通常、樹上に営巣するが、まれに断崖の地上に営巣することもある。
- 鳴き声
分布編集
ユーラシア大陸からアフリカ大陸、オーストラリアにかけて広く分布しているが、寒冷地のものは冬には暖地に移動する。生息地は高山から都市部までほとんど場所を選ばず、漁港の周辺などは特に生息数が多い。アフリカ大陸に生息するものは、ニシトビとして別種とする見解もある。
亜種編集
Sibley分類体系での位置編集
シブリー・アールキスト鳥類分類 |
---|
コウノトリ亜目 Ciconii
ハヤブサ下目 Falconides
タカ小目 Accipitrida
タカ亜科 Accipitrinae
|
日本人との関係編集
警戒心が強いので、人間には近寄らないことが多いのがトビの本来の生態である。しかし、古来から「鳶に油揚げをさらわれる」のことわざがある通り、人間に慣れた場合、隙を狙って人間が手に持っている食べ物などまで飛びかかって奪うことがあり、最近このような事例が増えて問題となっている[1]。
日本文化編集
トビは日本においてはごく身近な猛禽であり、大柄で目立つ上、その鳴き声がよく響くことから親しまれている。童謡の『トンビ』や三橋美智也の『夕焼けトンビ』に見られるように夕焼け空でピーヒョロヒョロという鳴き声を響かせる、との印象がある。またアニメ『いなかっぺ大将』のオープニングテーマ曲では、前奏の前にトビの鳴き声が挿入されている。
他方、他のタカ類に比べ、残飯や死骸をあさるなど狩猟に頼らない面があることから、勇猛な鳥との印象が少なく、いわばタカ類の中では一段低い印象もある。ことわざの「鳶が鷹を産む」はこのような印象に基づき、平凡な親から優れた子が生まれることをこう言う。
トビに関する日本の伝説としては、『日本書紀』の金鵄がある。金色のトビが神武天皇の前に降り立ち、その身から発する光で長髄彦率いる敵軍の目を眩ませ、神武天皇の軍勢に勝利をもたらしたという伝説である。
- トビに関係する語
その他編集
猛禽類であり生態系の中では上位に位置づけられる。したがって自らが捕食される危険がほとんどないこともあって、間近に近寄ると肉食系の口臭等があり匂う。匂ってもそれが原因で危険な目に合わないからであると思われる。
参考画像編集
滑空中のトビ(動画)
トビ柱(千曲川付近、1999年)
参考文献編集
この節の加筆が望まれています。 |
脚注編集
- ^ 南陽子 (2018年5月26日). “トビ:とんだ京の新名物 鴨川中心、20年で倍増 食べ物狙われ、けが人も”. 毎日新聞大阪夕刊. オリジナルの2018年5月26日時点におけるアーカイブ。 2018年6月3日閲覧。
関連項目編集
外部リンク編集
- "Milvus migrans (Boddaert, 1783)" (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2011年11月19日閲覧。 (英語)
- "Milvus migrans". National Center for Biotechnology Information (NCBI) (英語). (英語)
- "Milvus migrans" - Encyclopedia of Life (英語)
- BirdLife International (2010). "Milvus migrans". IUCN Red List of Threatened Species. Version 3.1. International Union for Conservation of Nature. 2011年11月19日閲覧。 (英語)