ナルトサワギク(鳴門沢菊、学名 Senecio madagascariensis) はキク科の植物。一年生または多年草の広葉雑草で、マダガスカル原産の帰化植物[1]

ナルトサワギク
ナルトサワギク(ハワイで撮影)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
: キオン属 Senecio
: ナルトサワギク S. madagariensis
学名
Senecio madagascariensis Poiret., 1817
和名
ナルトサワギク(鳴門沢菊)
英名
Madagascar ragwort
Magascar groundsel
fireweed

特徴 編集

温暖な気候を好み、一年中発生する。開花は通常一年中。2cm程度の黄色い頭状花をつける。種子は長い白色の冠毛を持ち、風にのって飛散し、繁殖する。成葉は互生し、基部が茎を抱く。葉の長さは長さ3~9cm、幅10~15mmで不規則な鋸歯があり、色は濃緑色で厚く、表面は無毛。葉の形は羽状に分裂するなど変異が大きい。は基部が紫色を帯び、高さ30~70cmに直立、基部近くから多数に分枝して株を形成する。

分布 編集

マダガスカルのほか、アフリカ南部に自生する。オーストラリア東海岸、ハワイ南アメリカにも侵入しており、問題となっている。日本では徳島県兵庫県大阪府和歌山県岡山県高知県鹿児島県で確認されていたが、2006年になって福島県いわき市でも確認された。

埋立て用の土砂や道路沿いの斜面の吹き付けに種子が混じることで分布域を広げているといわれる[1]。造成地や路傍、住宅地によく見られる。花がきれいなことから、人為的に植えられることも多いと見られている。

日本での分布域の拡大 編集

日本侵入の経緯 編集

日本へはシロツメクサなど埋立地の緑化用にアメリカから輸入された植物の種子に混入して侵入したと考えられている[1]1976年徳島県鳴門市瀬戸町の埋立地で発見され、サワギク(S. nikoensis)に似ていることから命名された。1986年には淡路島でも発見されており、「コウベギク」と名付けられている。長いこと学名は諸説あったが、1996年徳島市立徳島城博物館に所蔵されていたアルゼンチン産の標本が発見され、日本産の標本がスミソニアン博物館の分析により正式に同定され、学名が確定した[2]

特定外来生物指定 編集

全草に肝毒性の強いセネシオニンなどのピロリジジンアルカロイド(他のキオン属コンフリーフキなどに含まれる)を含み、家畜がこれを食べることによる中毒死がオーストラリアでは多く報告されている。また、繁殖力がきわめて強い上、アレロパシー作用も持つため、在来植物を駆逐する危険性が大きい。

このため、ナルトサワギクは2005年12月14日付けで特定外来生物指定第二次指定種のリストに入れられ、翌2006年2月1日を以って指定された。

出典 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c “特定外来生物ナルトサワギクの分布が拡大”. 紀伊民報. (2016年4月28日). http://www.agara.co.jp/news/daily/?i=313710&p=more 2016年4月29日閲覧。 
  2. ^ 木下覚、小山博滋、小川誠ほか、『帰化植物ナルトサワギクの学名』植物分類・地理 50(2), 243-246, 2000-02-28, NAID 110003758729

関連項目 編集

外部リンク 編集