ハラビロトンボ
ハラビロトンボ(腹広蜻蛉、学名 Lyriothemis pachygastra )は トンボ科ハラビロトンボ属のトンボの一種。
ハラビロトンボ | ||||||||||||||||||||||||
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ハラビロトンボのメス
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ![]() | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Lyriothemis pachygastra Selys, 1878[2] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ハラビロトンボ |
形態編集
成虫は体長31-39 mm程度の小型のトンボ。体長の割に腹部が極端に太く扁平で短いという独特の体形をしており、特に雌の腹部は極太である。幼虫は毛深いヤゴで、常に泥を多く付着させている。そのため他のトンボよりも乾燥に強いとされ、水が干上がってもある程度は泥の中で生存する能力を持つ。
生態編集
成虫は日本の早いところでは4月下旬頃から羽化が始まり、遅いところでは9月頃まで見られる。平地の浅い池沼、湿地、休耕田などで羽化した成虫は、その周辺のやや背丈の低い草むらに移動し摂食活動を行う。羽化水域からあまり遠くまでは移動しない。
未熟なうちは雌雄とも全身が黄色を基調とした体色をしている。成熟するにつれて雄は全身が黒化したのち[3]、腹部背面がシオカラトンボのように青白い粉を帯びるようになるが、雌は体色が全体的に黄色が濃くなる程度であるが、白っぽくなるものもある[3]。また雄雌ともに顔面の額上部が青色の金属光沢を放つようになる[3]。
成熟後、羽化水域に戻った雄は狭い縄張りを形成し、雌を見つけるとすぐに交尾する。交尾時間は数十秒と比較的短い。産卵は雌が単独で行う打水産卵で、抽水植物の陰に隠れるようにして行われる。産卵中は雄が少し上空をホバリングしながら雌を見守る。シオヤトンボとの異種間交尾が見られることがある。
なお本種の雄はシオカラトンボのように腹部に粉をふくが、分類上はシオカラトンボ属には含まれない。
種の保全状況評価編集
近縁種編集
日本にはハラビロトンボ属が3種分布する[8]。
- オオハラビロトンボ Lyriothemis elegantissima
- キイロハラビロトンボ Lyriothemis tricolor Ris, 1916 - 西表島に分布する[8]。
脚注編集
- ^ a b Manh, C.D. (2011). "Lyriothemis pachygastra". IUCN Red List of Threatened Species. Version 3.1. International Union for Conservation of Nature. 2013年2月22日閲覧。
- ^ トンボのすべて (2000)、140-141頁
- ^ a b c トンボ入門 (2004)、カラー6頁
- ^ 昆虫観察図鑑 (2011)、148頁
- ^ “日本のレッドデータ検索システム(ハラビロトンボ)”. エンビジョン環境保全事務局. 2012年6月25日閲覧。
- ^ “千葉県レッドデータブック−動物編(2011年改訂版)” (PDF). 千葉県. pp. 239. 2012年6月25日閲覧。
- ^ “青森県レッドデータブック(2010年改訂版)” (PDF). 青森県. pp. 253. 2012年6月25日閲覧。
- ^ a b 日本動物大百科 (1996)、82頁
参考文献編集
- 日高敏隆(監修) 編 『日本動物大百科 昆虫Ⅰ』平凡社、1996年9月。ISBN 4582545580。
- 井上清、谷幸三 『トンボのすべて』トンボ出版、2000年8月。ISBN 4887161123。
- 新井裕 『トンボ入門』どうぶつ社、2004年7月。ISBN 4886223281。
- 築地琢郎 『昆虫観察図鑑―フィールドで役立つ1103種の生態写真』誠文堂新光社、2011年5月。ISBN 978-4416211168。