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マテバイタリア語: MA.TE.BA.:Macchine Termo-Balistiche[1])は、2005年まで存在したイタリアの食品機器メーカー・銃器メーカー。同社が展開していた銃器の製造・販売ブランドでもある。

当項目では主に銃器メーカーとしての視点から記述する。

概要編集

イタリアパヴィーアにおいて20世紀中盤より主にパスタ製造用の混練機器を手掛けたが、主業の食品機器製造よりも副業の銃器製造部門で著名で、設計主任のエミリオ・ギゾーニ(Emilio Ghisoni)(伊語版)の設計した独自の機構を持つ回転式拳銃の開発・製造元として知られる。

銃器メーカとしては主に回転式拳銃を設計・製造し、他にアメリカ製の自動拳銃ポンプアクションライフルのクローンモデル[2]の製造も行った。

歴史編集

マテバ社はイタリアパヴィーアの小規模な食品機器製造工場として創業され、創業者のギゾーニ(Ghisoni.ファーストネーム不明)が1956年に死去すると、息子のエミリオ・ギゾーニが大学を中退して事業を引き継ぎ、銃、特に競技用の高精度拳銃の設計に強い興味を持っていたエミリオは、1970年代には本格的に競技用拳銃の設計を手がけ、銃器製造部門を創設して拳銃の設計・製造を始めた。以後、1977年1980年説もあり)に最初の製品である「MT1」を発表、続いて1983年には独創的な機構を持つ回転式拳銃、「MTR8」、更に1985年には銃身が従来の回転式拳銃とは逆に位置する「MTR6」を発表し、特異的かつ独創的な設計の拳銃を発売するメーカーとして知られるようになった。

その独創的な製品では知られるものの、マテバ社自体は会社の規模が小さいために資本力に乏しく、いずれの製品もセールス的には成功しなかったため、銃器製造部門の継続は困難であったが、1990年代の始めにドイツの投資家が関心を示し、大規模な出資を行ってマテバ社と提携し、この資金を元に1996年には回転式拳銃でありながら半自動式の連射機能を持つ、という特異な製品である「6 Unica[3](を発表し、北米市場を主眼とした販売戦略が採られてアメリカで人気を博したが、6 Unica も実用性に問題がないとは言えず、期待されたほどの利益が上がらなかった。

1990年代の末には、エミリオはドイツの投資家との仲介を担っているビジネスパートナーであり、“MATEBA”の商標権と各製品の製造権、及び資産管理権を所有しているイタリアのセルジオ・モッタナ(Sergio Mottana)にマテバ社の株式を売却し、自らは「The.Ma (Thermoballistic Machines di Emilio Ghisoni)」という小さな会社を設立して自らのデザインの権利と特許権(エミリオはアメリカに特許権を保有していた)を管理すると共に、構想中の回転式拳銃を製造してくれる会社を探す傍ら、他社の開発したモデルの設計を引き継いで発展させる、という形ながら、これまでは手掛けてこなかった自動式拳銃の開発・製造を行い、更にコルト社のM1911(コルト・ガバメント)や“コルト・ライトニング”ポンプアクションライフルのクローンモデルを製造するなどして銃器製造部門の立て直しを図ったが、いずれも売り上げは芳しくなく、本業の食品機器製造部門の不振もあり、2005年、マテバ社のゼネラルマネージャーを務めており、セルジオ・モッタナの死によって財産権を継承した息子のヴァレンティノ・モッタナ(Valentino Mottana)は、マテバ社を清算することを決定した。

これによりマテバ社は消滅し、“MATEBA”の商標権と各製品の製造権を継承する企業や個人もなかったため、会社名としての「マテバ」の名は残らず、各製品の製造が継続されることもなかった。しかし、エミリオを筆頭とする銃器製造部門のスタッフはイタリアの銃器メーカーであるチアッパ社(Armi Sport de Chiappa(英語版)に移り、以後も銃器の開発を継続している[4]

2014年にはモンテベッルーナにて事業を再開。2006Mや6 Unicaといったかつての自社商品のほか、AR-15G36のクローン、ハンティング用ライフルなどを製造・販売している。

製品編集

マテバ MT1(MATEBA MT1)編集

マテバ社が最初に発売した射撃競技用自動式拳銃。22口径ロングライフル弾(.22LR)使用。

マテバ MTR8(MATEBA MTR8)編集

 
MATEBA MTR8

.38スペシャル弾を使用する射撃競技用回転式拳銃。8連発の回転式だが、回転式拳銃の後部に自動式拳銃の撃発機構を合体させた独自の機構を持ち、引き金を引くだけで連発できるダブルアクション機構の他に、手動連発のための装弾レバーを持ち、シングルアクションによる射撃も可能である

重い回転式弾倉が銃の前半分にある構造から、構えた際のバランスが非常に悪いものとなり、安定して構えることが難しいものとなった上、ダブルアクションでは引き金が重いがシングルアクションで連発するには手間がかかり連射速度が低い、といった問題点があり、少数の生産に終わった。

MTR8を長銃身にして銃床と先台を装着したカービンモデルも発売されており、

マテバ MTRC8(MATEBA MTRC8)
12インチ(305mm)銃身モデル。
マテバ MTRC8L(MATEBA MTRC8L)
MTR-C8の長銃身型。16インチ(約457mm)銃身モデル。

の2種類が少数ながら生産された。

発展型編集

MTR8シリーズとして実際に発売されたのは.38スペシャル弾を使用する拳銃モデルのMTR8とカービンモデルであるMTRC8(MTR8C)、および長銃身カービンモデルのMTRC8L(MTR8CL)のみだが、以下の.357マグナム弾使用モデルや、使用弾を変更し弾倉を大型化して装弾数を増加させたモデル各種が試作・構想されていた。

.357マグナム弾モデル
マテバ MTR8M(MATEBA MTR8M)
MTR8の.357マグナム弾仕様モデル。試作のみ。
マテバ MTR12M(MATEBA MTR12M
MTR12の.357マグナム弾仕様モデル。構想のみ。
マテバ MTRC8M(MATEBA MTRC8M)
MTR-C8の.357マグナム弾仕様モデル。試作に留まった。
マテバ MTRC8ML(MATEBA MTRC8ML)
MTR-C8Lの.357マグナム弾仕様モデル。試作に留まる。
マテバ MTRC12M(MATEBA MTRC12M)
MTRC8Mの弾倉を拡大し12連発としたもので、MTR12Mのカービンモデルに当たる。構想に留まった。
多弾数装弾モデル
マテバ MTR12(MATEBA MTR12)
MTR8の弾倉を大型化し12連発としたもの。構想のみ。
マテバ MTR14(MATEBA MTR14)
MTR8の使用弾を.22ロングライフル弾(.22LR)に変更し、弾倉を大型化し12連発とした。試作のみ。
マテバ MTR20(MATEBA MTR20)
MTR14の弾倉を大型化し20連発としたもの。構想のみ。
マテバ MTRC12(MATEBA MTRC12)
MTRC8の弾倉を拡大し12連発としたもので、MTR12のカービンモデルに当たる。構想に留まった。
マテバ MTRC20(MATEBA MTRC20)
MTRC8を22口径ロングライフル弾(.22LR)仕様とし、弾倉を拡大し20連発としたもので、MTR14の発展型カービンモデルに当たる。試作のみ。

マテバ MTR6(MATEBA MTR6)編集

MTR8の反省を踏まえて開発された、.38スペシャル弾使用の回転式拳銃。全体の構成は通常の回転式拳銃と同じだが、銃身が回転式弾倉(シリンダー)の下方側にある、という独自の構造を持つ。

MTR6+6(MATEBA MTR6+6)
MTR6の二次試作型。専用のスピードローダーにより素早い次発装填を可能とし、「6発装填を素早く2度行うことができる」という意味を込めて“6+6”と命名された。

マテバ 2006M(MATEBA 2006M)編集

 
MATEBA 2006M

.357マグナム弾仕様に変更されたMTR6+6の製品型。MTR6/6+6とはトリガーの型式が異なる。

マテバ 2007S(MATEBA 2007S)
 2006Mを.38スペシャル弾専用とし、装弾数を7発とした発展型。


マテバ 6 ウニカ(MATEBA 6 Unica)編集

 
MATEBA 6 Unica

2006Mの発展型として設計された半自動式回転式拳銃。“マテバ オートリボルバー(MATEBA AutoRevolver)”と通称される。

マテバ グリフォーネ(MATEBA Grifone)
6 ウニカを長銃身にして銃床と先台を装着したカービンモデル。


その他編集

マテバ Close BBH
かつて存在したイタリアの銃器メーカーであるSITES社の発売していた自動拳銃、SITES Resolverのパテントを所得、全体的に小型化して再設計したダブルアクション式自動拳銃。自衛用及び屋内での至近距離戦闘用を主眼に設計され、使用弾薬には22口径ロングライフル弾(.22LR)/.25ACP弾/.32ACP弾/.380ACP弾/9x18mmポリス弾(9x18mmマカロフ弾)の多種類のバリエーションがある。
2000年に発表され販売が開始されたが、評価・販売実績ともに不調で、2002年には製造・販売ともに中止され廃番となった。

クローンモデル編集

マテバ デフェンセ(MATEBA Defence)
マテバ Uwp(MATEBA Ultra wear pistol)
マテバ SuP(MATEBA Sport utility pistol)
マテバ A.T.P(MATEBA Action Tactical pistol)

上記4種はいずれもコルトM1911もしくはその派生型のクローンモデルで、2000年から2001年にかけて発売された。各モデルとも、9x21mm IMI弾/.38 Super弾/.40S&W弾/.45ACP弾の4種類の口径のバリエーションがラインナップされていた。

マテバ ライトニング(Mateba Lightning)
コルト ライトニングカービン(英語版)のクローンモデル。2003年から2004年にかけて発売されたが、程なくマテバ社が事業を停止したため、少数生産に終わっている。
クローン元のコルト ライトニングカービンと同じく、ピストル弾モデル(Lightning MoSer 83)とライフル弾モデル(Lightning MoSer 84)があり、銃身長も4種類があった。使用する弾薬は計12種類、銃身長は4種類がある。
マテバ ライトニング 83(Mateba Lightning MoSer 83) ※ピストル弾モデル
銃身長:20/24/28/30 インチ(510/610/710/762 mm
マテバ ライトニング 84(Mateba Lightning MoSer 84) ※ライフル弾モデル
  • .50-95 ウィンチェスター(50-95 Winchester express.)弾モデル
  • .45-70弾(英語版)モデル
  • .38-56 ウィンチェスター弾(英語版)
  • .38-55 ウィンチェスター弾(英語版)モデル
  • .32-40 ウィンチェスター弾(.32-40バラード弾)(英語版)* .30-30 ウィンチェスター弾(英語版)モデル
銃身長:24/28/30 インチ(610/710/762 mm)

架空の銃編集

士郎正宗作の漫画、およびそれを原作としたアニメーション作品、『攻殻機動隊』シリーズには、メインキャラクターの一人、トグサの愛用する回転式拳銃として複数の種類の「マテバ」が登場する。

それらはいずれもマテバ社の製造した拳銃という設定だが、2006Mと6 ウニカを元としながらも、実際には存在しないオリジナルデザインのものが登場する。シリーズのうち『攻殻機動隊 ARISE』には6 ウニカがそのまま登場した。

脚注編集

  1. ^ 「MATEVA(Mateva/MaTeVa)」、「マテヴァ」と表記されていることがあるが、誤記である。
  2. ^ 権利上問題がない範囲でのコピー生産品。レプリカやOEMではなくあくまで製造会社の製品として販売される。
  3. ^ 当初の名称はシンプルに“AutoRevolver”であった。
  4. ^ エミリオ・ギゾーニは2008年4月に死去している。

参考文献・参照元編集

書籍
  • Ian V. Hogg / John Walter:著 『Pistols of the World』p.202(ISBN 978-0873494601)Krause Pubns Inc:刊 2004年
Webサイト

関連項目編集

外部リンク編集