メガロポリス
メガロポリス(ギリシャ語(ラテン文字表記):megalopolis)は、多くの大都市が深い関係をもって帯状に連なっている地域のこと。フランスの地理学者ジャン・ゴットマンが、政治、経済、文化の中枢的機能の集積において、メトロポリス(大都市、首都)以上のものであることから、メガロポリス(巨帯都市)と命名した。
分類編集
世界のメガロポリス編集
ボスウォッシュ(アメリカ合衆国)編集
アメリカ合衆国北東部、ニューヨークを中心にボストンからワシントンD.C.までの大西洋沿岸の都市群のことをいい、周辺の衛星都市を含め、全長約 700 km に渡る都市群が形成されている(米国のこの地域については北東回廊とも称される)。英語でのスペリングは「BosWash」で、北端であるボストン (Boston) の「Bos」、南端であるワシントンD.C. (Washington, D.C.) の「Wash」を組み合わせてできた言葉である。ここに含まれる主な大都市圏は、北東から南西方向に、ボストン・ハートフォード・ニューヨーク・フィラデルフィア・ボルティモア・ワシントンD.C.などである。アイビーリーグの大学やその他の主要な大学・研究施設も多くあることで、学術面での集積もみられる。
東海道・山陽メガロポリス(日本)編集
東京 - 名古屋 - 大阪 - 福岡に至る、新幹線や在来線、高速自動車国道や一般国道で結ばれた四大都市圏を中心とする太平洋ベルト地帯の都市群を東海道・山陽メガロポリスと呼ぶ。
日本が高度経済成長期~バブル時代に行われていた国土政策(全国総合開発計画・新全総・三全総)の頃に盛んに使われた言葉である。
その次の計画である四全総では、西日本国土軸と呼ばれ、北東国土軸、日本海国土軸、太平洋新国土軸などの整備も検討された。21世紀の国土のグランドデザインでも計4つの国土軸形成を目指すとされている。
アメリカ合衆国のメガロポリス、ボスウォッシュにならって名付けられたものであり、当時、政治・経済・文化の最先端を目指して邁進していた、日本の状況を表している。政治・経済のみならず、製造業の工場、大学や研究機関、プロ野球球団やJリーグの集積も見られる。
ブルーバナナ(欧州)編集
西ヨーロッパのメガロポリスであり、イギリスの南部イングランドからイタリア北部のミラノに至る都市域を指す。ブルーバナナの語源は、この回廊がバナナのように湾曲した形であることなどから。ホットバナナとも呼ぶ。この都市域に包含されるのは、マンチェスター、ロンドン、アムステルダム、ブリュッセル、デュッセルドルフ、フランクフルト、シュトゥットガルト、ミュンヘン、チューリッヒ、ミラノ、トリノなどである。人口や経済、工業が世界で最も集積するエリアの中の一つである。1989年にフランスのロジャー・ブリュネが代表を務める地理学者グループ、ルクリュ (RECLUS) が提唱した概念である。およそ9000万の人々がブルーバナナに居住する。
珠江デルタ(中華人民共和国)編集
香港・マカオ・深圳・広州などを中心に近郊の中山や東莞、恵州、珠海などを含む珠江の入り江地域を指す。特別行政区である香港やマカオを除いた地域は、中華人民共和国の広東省。元々は広東人が暮らし、広東語が話されている地域だが、香港を中心とした経済発展で、広東省以外からの流入人口が急増。実数は域内人口は4000万人を超えるとされ地球上で最も人口の集積した地域の一つ。また、東京やニューヨークを超えるグレーターベイエリアを目指す中国政府の掲げる粤港澳大湾区構想[1]に基づき、港珠澳大橋や広深港高速鉄道などで一体化も推し進められている[2][3]。
脚注編集
- ^ “中国「ベイエリア」、東京圏やNY圏超えるGDP目指す-30年までに”. ブルームバーグ (2017年8月24日). 2019年2月20日閲覧。
- ^ “世界最長の海上橋が24日開通-香港・マカオと中国本土の一体化進む”. ブルームバーグ (2018年10月23日). 2019年2月20日閲覧。
- ^ “香港と本土つなぐ「大湾区」計画に課題多数 制度の違いが「障壁」、最小化に焦点”. フジサンケイビジネスアイ (2018年9月20日). 2019年2月20日閲覧。