ランドローバー
ランドローバー (Land Rover) は、イギリスの高級車メーカーであるジャガーランドローバーが保有する四輪駆動車のブランドである。かつて存在したランドローバー・リミテッドは2013年1月1日にジャガーカーズと合併し、ジャガーランドローバー・リミテッドが設立されるまでの製造会社だった。
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種類 | 自動車 |
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所持会社 | ジャガーランドローバー |
使用開始国 |
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主要使用国 |
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使用開始 | 1948年 |
関連ブランド | ジャガー |
旧使用会社 | ランドローバー・リミテッド |
ウェブサイト |
www |
種類 | 株式会社 |
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略称 | ランドローバー |
本社所在地 |
![]() ソリフル |
設立 | 1978年[1] |
業種 | 自動車製造業 |
事業内容 | 自動車 |
主要株主 |
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特記事項:2013年1月1日ジャガーカーズと合併、ジャガーランドローバー・リミテッドになり、法人としては解散。 |
当初はローバー製多目的車の車名であり、その後は同社のオフロード車・SUVを包括する部門名/ブランド名となっている。
トヨタ・ランドクルーザーは、ライバルであったランドローバーを駆逐するという意味を込めて、Rover(盗賊、海賊船)に対して Cruiser(巡洋艦)と命名された[2]。
歴史
編集レンジローバー スポーツ
ディスカバリー III
第二次世界大戦後の1948年、ローバー・モーター社がオフロード向け車両として発売した「ランドローバー・シリーズI」が、同年4月30日のオランダで開催されたアムステルダムモーターショーにて初公開された[3]。これがランドローバーの始まりである。ランドローバー・シリーズIは同社の乗用車・ローバー・P3と構造を共有する、大戦中に使用された米国のジープにならって作られた四輪駆動車であった。シリーズIの中でも特に著名なものは、イギリス陸軍の特殊部隊であるSASで使用された「ピンクパンサー」で、砂漠に溶け込む全面ピンクの塗装や砂漠に適応させるための低圧タイヤ、ボンネット上に装着されるサンドマットが特徴であった。ローバー・モーターの本社・コヴェントリー工場は戦時中の爆撃によって被害を受けていたため、ランドローバー・シリーズIの製造はソリハルにあった航空機工場跡において行われた。
ランドローバーが「シリーズIII」まで進化していた1978年、ローバー・モーターの親会社となっていたブリティッシュ・レイランド (BL) 社はランドローバーを子会社として再組織した。その後ランドローバーは、1986年からはローバー・グループ、1988年からはブリティッシュ・エアロスペース、1994年からはBMWという親会社の変遷のもと、車種名/ブランド名/子会社として存続した。
2000年、BMWは当時のローバー・グループを解体し、ランドローバー部門/ランドローバー・ブランドはフォード・モーター社に売却された。売却後フォードはランドローバー部門/ランドローバー・ブランドを、同時期に買収したボルボ・カーズ、アストンマーティンおよび1989年から所有していたジャガーと統合し、プレミア・オートモーティブ・グループ (PAG) としてビジネスを展開。4つのブランドを同一オペレーションで運営した。
2006年、フォードはローバーのブランド名とロゴをBMWより購入した。これにより、2000年にローバー・グループがBMWによって解体されて以来初めて、ローバーとランドローバーのブランドが再統合された。
しかし世界的大不況の影響によりブランドの保有が困難になり、フォードは2008年、ジャガーとともにランドローバーをインドのタタ・モーターズに約23億ドルで売却し[4]、持株会社としてジャガーランドローバーが設立された。
ジャガーとランドローバーは、イギリスでの製造と輸出、および海外市場での販売を⾏う個別のブランド法⼈として運営されてきたが、2013年1月1日、ジャガーカーズとランドローバー・リミテッドは経営統合され、ジャガーランドローバー・リミテッドになった。これ以降ジャガーランドローバー・リミテッドがイギリスでジャガーとランドローバーの両ブランドの製品の設計、製造、マーケティングを担当することになった。よってランドローバー・リミテッドとジャガーカーズは消滅した。元の持株会社は、ジャガーランドローバー・オートモーティブ PLCに社名変更された[5]。
フォードからタタ・モーターズに売却された後も、フォードからダウンサイジングターボエンジンである「エコブースト」の供給を受けていたが、2014年より、完全自社設計・開発・製造の新世代モジュラーエンジン「インジニウム」に順次切り替えた。
かつてランドローバーでは車種を、そのホイールベース長によって、88・109などと呼称していた。1986年にはレンジローバーが採用するフルタイムトランスファーやコイルサスペンションを流用し、これに伴ってホイールベースが92.5インチ、110インチに延長され、それぞれ90・110と呼ばれた。また、さらにホイールベースが長いピックアップトラックの130もある。エンジンはディーゼルとガソリンの二種類。ラダーフレームにアルミボディを載せた構造は低重心であり、傾斜安定性にも寄与している。
車種一覧
編集全車に共通する高い走破性能に加え、レンジローバーシリーズはラグジュアリーのテリトリーを担う。
過去の車種
編集- シリーズI
- 1947年に作られたシリーズIの試作車では、農業などの作業用途を考慮して、ステアリングホイールは中央に配置されていた。欧州大陸の市場を念頭に、試作車の運転席を左右どちらにするか迷ったあげく、中央に位置することになったという説もある。
- シリーズII
- シリーズIII
- フリーランダー
市販車
編集- レンジローバー
- レンジローバースポーツ
- レンジローバーイヴォーク
- ディフェンダー
- ランドローバーには英国王室御用達を示すワラントが発行されている。1970年代からはエディンバラ公フィリップが愛用しており、生前自ら葬儀に使う霊柩車についてもディフェンダーを改造して作るよう指示していた。フィリップの指示により制作された霊柩車は、2021年の葬儀の際に実際に使用された[7]。
- ディフェンダー (2代目)
- ディスカバリー(本田技研工業にOEM提供していた姉妹車、初代クロスロードを含む)
- ディスカバリースポーツ
- レンジローバーヴェラール
軍用車
編集コンセプトカー
編集- レンジストーマー(2004年)
- LRX(2008年)
- DC100/DC100 スポーツ(2011年)
- ディスカバリー・ビジョン・コンセプト(2015年)
モータースポーツ
編集ランドローバー車はダカール・ラリーなどの自動車競技で使用されている。また1981年から2000年まで開催されていたラリーイベント・キャメルトロフィーではランドローバーが車両を提供していた。
日本での販売
編集種類 | 株式会社 |
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本社所在地 |
日本 東京都品川区北品川6丁目7番29号 ガーデンシティ品川御殿山 |
設立 | 2008年4月1日 |
業種 | サービス業 |
法人番号 | 3010401075166 |
代表者 | マグナス・ハンソン(代表取締役) |
資本金 | 35億1000万円(2009年12月31日時点) |
純利益 | 4億8759万8000円(2009年12月期) |
純資産 |
75億113万7000円 (2009年12月31日時点) |
総資産 |
116億6429万1000円 (2009年12月31日時点) |
決算期 | 12月末日 |
主要株主 | ジャガーランドローバー・リミテッド(100%) |
外部リンク |
jaguar.co.jp landrover.co.jp |
2000年、当時の親会社BMWはローバー・グループを解体、ランドローバー部門はフォード・モーター社に売却された。従前の輸入販売者であったローバージャパンがBMWジャパンに吸収され、ランドローバー事業から撤退したため、同年フォードによってランドローバージャパン株式会社が設立され、輸入・販売業務を引き継いだ。2001年12月、同じくフォード傘下であるジャガージャパン社と合併してピー・エー・ジーインポート株式会社へと改組されたが、名目上は「ランドローバージャパン」「ジャガージャパン」の名称もそれぞれ継続使用された。この頃から、ブランドごとの店舗と同時に、ジャガーとランドローバーの併売ショールーム店舗も開店した。
2005年には、ジャガージャパンとランドローバージャパンの2つの組織を統合し、ジャガー&ランドローバージャパンとして両ブランドが同一オペレーションで運営することとなった。
2008年、フォード社はランドローバーをジャガーとともにインドのタタ・モーターズに売却、それに伴い日本の現地法人としてジャガーランドローバージャパン株式会社が設立された。フォードグループからは離脱したが、フォード時代から現在に至るまで日本法人の所在地は同一である。
2013年から全国販売網がジャガーとの併売店に一本化され、規定の店舗面積を確保できなかった店舗は、契約打ち切りとなった。
脚注
編集- ^ Robson, Graham (1981). The Rover company (2 ed.). Patrick Stephens. ISBN 0-85059-543-6
- ^ “【歴代 ランドクルーザー 写真蔵】海賊を駆逐する巡洋艦”. レスポンス (2007年9月28日). 2025年5月4日閲覧。
- ^ 「ランドローバー」がブランド誕生70周年を迎える! CAR CARE PLUS
- ^ “フォード、ジャガー&ランドローバーを23億ドルで売却 【ニュース】 - webCG”. www.webcg.net (2008年3月27日). 2008年3月28日閲覧。
- ^ “Annual Report 2012/2013” (pdf). Jaguar Land Rover Automotive PLC. p. 91. 2018年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月26日閲覧。
- ^ “スバル四駆の始祖? 1960年代初期に輸入された ランドローバー…ノスタルジック2デイズ2020”. レスポンス (2020年2月24日). 2025年5月4日閲覧。
- ^ “フィリップ殿下の特注霊きゅう車を公開 自身も開発に携わり”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2020年4月16日) 2021年4月18日閲覧。
外部リンク
編集- ランドローバー
- ランドローバー (@LandRover) - X(旧Twitter)
- LAND ROVER Japan (@landroverjpn) - Instagram
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