ランドローバー

イギリスの自動車会社
ランドローヴァーから転送)

ランドローバーLand Rover )は、高級四輪駆動車を専門とする、英国自動車メーカー・ブランド。2019年現在、インドタタ自動車の子会社である。

ランドローバー
Land Rover
種類 株式会社
略称 ランドローバー
本社所在地 イギリスの旗 イギリス
設立 1978年[1]
業種 自動車製造業
事業内容 自動車
主要株主 イギリスの旗 ジャガーランドローバー
外部リンク www.landrover.com
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当初はローバー製多目的車の車名であり、その後は同社のオフロード車~SUVを包括する部門名/ブランド名となっていた。現在はジャガーとともにインド・タタ・モーターズ傘下のジャガーランドローバーの一部である。

概要 編集

 
ランドローバー・シリーズI
 
手前からランドローバー 88 シリーズII
レンジローバー スポーツ
ディスカバリー III

第二次世界大戦後の1948年、ローバー・モーター社がオフロード向け車両として発売した「ランドローバー・シリーズI」が、同年4月30日のオランダで開催されたアムステルダムモーターショーにて初公開された[2]。これがランドローバーの始まりである。ランドローバー・シリーズIは同社の乗用車・ローバー・P3と構造を共有する、大戦中に使用された米国のジープにならって作られた四輪駆動車であった。シリーズIの中でも特に著名なものは、陸軍特殊部隊であるSASで使用された「ピンクパンサー」で、砂漠に溶け込む全面ピンクの塗装や砂漠に適応させるための低圧タイヤ、ボンネット上に装着されるサンドマットが特徴であった。ローバー・モーターの本社・コヴェントリー工場は戦時中の爆撃によって被害を受けていたため、ランドローバー・シリーズIの製造はソリハルにあった航空機工場跡において行われた。

ランドローバーが「シリーズIII」まで進化していた1978年、ローバー・モーターの親会社となっていたBL社はランドローバーを子会社として再組織した。その後ランドローバーは、1986年からはローバー・グループ、1988年からはブリティッシュ・エアロスペース、1994年からはBMWという親会社の変遷のもと、車種名/ブランド名/子会社として存続した。

2000年、BMWは当時のローバー・グループを解体し、ランドローバー部門/ランドローバー・ブランドはフォード・モーター社に売却された。売却後フォードはランドローバー部門/ランドローバー・ブランドを、同時期に買収した「ボルボ・カーズ」「アストンマーティン」および1989年から所有していた「ジャガー」と統合し、「プレミアム・オートモーティブ・グループ」(PAG)としてビジネスを展開。4つのブランドを同一オペレーションで運営した。

しかし世界的大不況の影響によりブランドの保有が困難になり、2008年フォードは、ジャガーとともにランドローバーをインドタタモーターズに売却した。現在、ランドローバーは、ジャガーと単一の自動車会社組織「ジャガーランドローバー」(JLR)、もしくはジャガーカーズ社(Jaguar Cars Ltd.)として運営している。 フォードからタタ・モーターズに売却された後も、フォードからダウンサイジングターボエンジンである「エコブースト」の供給を受けていたが、2014年より、完全自社設計・開発・製造の新世代モジュラーエンジン「INGENIUM(インジニウム)」に順次切り替えた。

かつてランドローバーでは車種を、そのホイールベース長によって、88・109などと呼称していた。1986年にはレンジローバーが採用するフルタイムトランスファーやコイルサスペンションを流用し、これに伴ってホイールベースが92.5インチ、110インチに延長され、それぞれ90・110と呼ばれた。また、さらにホイールベースが長いピックアップトラックの130もある。エンジンはディーゼルとガソリンの二種類。ラダーフレームにアルミボディを載せた構造は低重心であり、傾斜安定性にも寄与している。

車種一覧 編集

全車に共通する高い走破性能に加え、レンジローバーシリーズはラグジュアリーのテリトリーを担う。

市販車 編集

軍用車 編集

コンセプトカー 編集

日本での販売 編集

ジャガー・ランドローバー・ジャパン株式会社
種類 株式会社
本社所在地   日本
東京都港区虎ノ門四丁目3番13号
業種 サービス業
代表者 ラッセル・マクドナルド・アンダーソン
代表取締役
資本金 35億1000万円(2009年12月31日時点)
純利益 4億8759万8000円(2009年12月期)
純資産 75億113万7000円
(2009年12月31日時点)
総資産 116億6429万1000円
(2009年12月31日時点)
決算期 12月末日
外部リンク http://www.jaguar.com/jp/ja/
http://www.landrover.co.jp
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2000年、当時の親会社BMWローバー・グループを解体、ランドローバー部門はフォード・モーター社に売却された。従前の輸入販売者であったローバージャパンBMWジャパンに吸収され、ランドローバー事業から撤退したため、同年フォードによって「ランドローバージャパン株式会社」が設立され、輸入・販売業務を引き継いだ。2001年12月、同じくフォード傘下であるジャガージャパン社と合併して「ピー・エー・ジーインポート株式会社」へと改組されたが、名目上は「ランドローバージャパン」「ジャガージャパン」の名称もそれぞれ継続使用された。この頃から、ブランドごとの店舗と同時に、ジャガーとランドローバーの併売ショールーム店舗も開店した。

2005年には、ジャガージャパンとランドローバージャパンの2つの組織を統合し、「ジャガー&ランドローバージャパン」として両ブランドが同一オペレーションで運営することとなった。

2008年、フォード社はランドローバー部門をジャガー部門とともにインドのタタモーターズに売却、それに伴い日本の現地法人として「ジャガーランドローバージャパン株式会社」が設立された。フォードグループからは離脱したが、実際上のところは、フォード時代から現在に至るまで日本法人の所在地は同一である。

2013年から全国販売網がジャガーとの併売店に一本化される。これに伴い、規定の店舗面積を確保できなかった店舗は、契約打ち切りとなる。

その他 編集

  • 1947年に作られたシリーズIの試作車では、農業などの作業用途を考慮して、ステアリングホイールは中央に配置されていた(欧州大陸の市場を念頭に、試作車の運転席を左右どちらにするか迷ったあげく、中央に位置することになった という説もある)。
  • 1981年から2000年までランドローバーはキャメルトロフィーにも使用されていた。
  • イギリス軍も軍用車として採用している。
  • 日本の実業家で自動車趣味人でもあった白洲次郎は1950年代に東北電力の会長職を務めたが、同社のダム建設計画にあたって公用車にランドローバーを輸入させ、自身もそのハンドルを握って現場を巡察した逸話がある。
  • ランドローバーには英国王室御用達を示すワラントが発行されている。1970年代からはエディンバラ公フィリップが愛用しており、生前自ら葬儀に使う霊柩車についてもランドローバー・ディフェンダーを改造して作るよう指示していた。フィリップの指示により制作された霊柩車は、2021年の葬儀の際に実際に使用されている[3]
  • 2017年読売ジャイアンツのオフィシャルスポンサーとなり、ジャガーと共に、監督・コーチ・選手・職員の足としてオフィシャルカー70台を貸与する。
  • 明石家さんまのかつての愛車だった。27時間テレビでは1991年~1995年まで五年連続でさんま所有のランドローバーがビートたけしらによって破壊されるのが同番組の風物詩だった。
  • トヨタ・ランドクルーザーは、「ランドローバーを駆逐する」という意味を企図してRover(盗賊、海賊船)に対してCruiser (巡洋艦)の語が入れられた。

参考文献 編集

  1. ^ Robson, Graham (1981). The Rover company (2 ed.). Patrick Stephens. ISBN 0-85059-543-6 
  2. ^ 「ランドローバー」がブランド誕生70周年を迎える! CAR CARE PLUS
  3. ^ フィリップ殿下の特注霊きゅう車を公開 自身も開発に携わり”. 毎日新聞 (2020年4月16日). 2021年4月18日閲覧。

外部リンク 編集