ローランド・ハナ
ローランド・ハナ(Roland Hanna、1932年2月10日 - 2002年11月13日)は、アメリカ合衆国のジャズ・ピアニスト、作曲家、教師である[1]。
ローランド・ハナ Roland Hanna | |
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ローランド・ハナ(左)とエド・ワイリー(2001年) | |
基本情報 | |
出生名 | Roland Pembroke Hanna |
生誕 | 1932年2月10日 |
出身地 | アメリカ合衆国 ミシガン州デトロイト |
死没 | 2002年11月13日(70歳没) |
ジャンル | ジャズ、アヴァンギャルド・ジャズ、フュージョン |
職業 | ミュージシャン、作曲家、バンドリーダー |
担当楽器 | ピアノ、エレクトリック・ピアノ、チェロ |
略歴
編集ハナは11歳からクラシック・ピアノを学んでいたが、友人のピアニストであるトミー・フラナガンから教えられたジャズに強い関心を持っていた[2]。この関心は、1950年から1952年にかけて兵役に就いた後、さらに高まっていった。1953年にイーストマン音楽学校で短期間勉強し、2年後にニューヨークへ引っ越してジュリアード音楽院に入学した[2]。1950年代にベニー・グッドマンやチャールズ・ミンガスを含む幾人かの有名人たちと仕事をしつつ、1960年に卒業を迎えた[2]。1963年から1966年の間、ハナは自分のトリオを率い、1966年から1974年まで、サド・ジョーンズ/メル・ルイス・オーケストラの正メンバーとなった[2]。ハナはまた、1972年にこのオーケストラでソビエト連邦をツアーした[3]。1970年代には、ニューヨーク・ジャズ・カルテットのメンバーを務めている。
ローランド・ハナは1980年代のほとんどを半引退していたが、サラ・ヴォーンの1982年のアルバム『枯葉』の曲「Seasons」を書き、ピアノを弾いており、10年を経た後に音楽界へと戻ってきた。1980年代後半から1990年代初頭にかけて、ハナはリンカーン・センター・ジャズ・オーケストラと、スミソニアン・ジャズ・マスターワークス・オーケストラのメンバーを務めている[2]。この頃、彼は室内楽とオーケストラ音楽の作曲もするようになった。また、彼が書いたバレエが上演された[3]。
1970年、ハナはリベリアのウィリアム・タブマン大統領から、教育のための資金を調達すべく国内で演奏したコンサートが認められ、名誉騎士の称号を授与された[2][4]。それからのハナは、しばしば「サー・ローランド・ハナ」として知られる存在となった。ハナはニューヨークのフラッシングにあるニューヨーク市立大学クイーンズ校(CUNY)のアーロン・コープランド音楽学校でジャズの教授を務め、他のいくつかの音楽学校でも教鞭をとっていた[2]。彼はニュージャージー州ティーネックの居住生活者であった[5]。
ディスコグラフィ
編集リーダー・アルバム
編集- 『デストリー・ライズ・アゲイン』 - Destry Rides Again (1959年、ATCO)
- 『イージー・トゥ・ラヴ』 - Easy to Love (1959年、ATCO)
- 『チャイルド・オヴ・ジェミニ』 - Child of Gemini (1971年、MPS)
- The New Heritage Keyboard Quartet (1973年、Blue Note)
- 『やさしく歌って』 - Sir Elf (1973年、Choice)
- Let It Happen (1974年、RCA)
- Walkin' (1974年、Jazz Hour) ※with ジョージ・ムラーツ、メル・ルイス、ステファン・グラッペリ
- 『ペルージア〜ライヴ・アット・モントルー'74』 - Perugia (1974年、Freedom)
- Informal Solo (1974年、Hi-Fly)
- 『1 X 1 (ワン・バイ・ワン)』 - 1 X 1 (1974年、Toho) ※with ジョージ・ムラーツ
- 『ポーギー&ベス』 - Porgy & Bess (1976年、Trio) ※with ジョージ・ムラーツ
- 『24のプレリュード集 - VOL.1』 - 24 Preludes Book 1 (1976年、Salvation) ※with ジョージ・ムラーツ
- 『コンセプト』 - Roland Hanna Trio (1976年、Salvation) ※with ロン・カーター、ベン・ライリー
- 『タイム・フォー・ザ・ダンサーズ』 - Time for the Dancers (1977年、Progressive) ※with ジョージ・ムラーツ、リチャード・プラット
- 『サー・エルフ・プラス1』 - Sir Elf Plus 1 (1977年、Choice) ※with ジョージ・ムラーツ
- 『グラブ』 - Glove (1977年、Trio) ※with ジョージ・ムラーツ、日野元彦
- 『ジャズ・ポートレイト』 - At Home With Friends (1977年、Progressive) ※with ジョージ・ムラーツ、リチャード・プラット
- 『24のプレリュード集 - VOL.2』 - 24 Preludes Book 2 (1977年、Salvation) ※with ジョージ・ムラーツ
- 『プレイズ・ミュージック・オブ・アレック・ワイルダー』 - Roland Hanna Plays the Music of Alec Wilder (1978年、Inner City)
- 『ディス・マスト・ビー・ラヴ』 - This Must Be Love (1978年、Progressive) ※with ジョージ・ムラーツ、ベン・ライリー
- 『ローランドスケイプ』 - Rolandscape (1978年、Progressive) ※with ジョージ・ムラーツ、ベン・ライリー
- 『バード・ウォッチング』 - Bird Tracks (1978年、Progressive)
- 『プレイ・フォー・モンク』 - Roland Hanna and George Mraz Play for Monk (1978年、Musical Heritage Society) ※with ジョージ・ムラーツ
- A Gift from the Magi (1978年、West 54)
- 『スウィング・ミー・ノー・ワルツィズ』 - Swing Me No Waltzes (1979年、Storyville)
- 『トリニティ』 - Trinity (1979年、L+R) ※with ハンス・コラー、アッティラ・ゾラー
- Piano Soliloquy (1979年、L+R)
- 『インプレッションズ』 - Impressions (1979年、Black & Blue) ※with メジャー・ホリー、アラン・ドーソン
- Och Jungfrun Gick Åt Killan... (1979年、Sonet)
- Sunrise, Sunset (1979年、Lob) ※with ジョージ・ムラーツ
- 『ロマネスク』 - Romanesque (1982年、Trio) ※with ジョージ・ムラーツ
- 『ガーシュイン=カーマイケル=キャッツ』 - Gershwin Carmichael Cats (1982年、CTI)
- 『マンハッタン・クリスマス』 - Manhattan Christmas (1987年、Fun House)
- Round Midnight (1987年、Town Crier Recordings)
- This Time It's Real - Live At Slukefter-Tivoli Gardens (1987年、Storyville)
- 『ペルジア・マイ・ディア』 - Persia My Dear (1987年、DIW) ※with リチャード・デイヴィス、フレディ・ウェイツ
- 『瞬間移動音楽装置VOL.2〜THE BAR』 - The Bar (1988年、Fun House) ※with クリント・ヒューストン、ルイス・ナッシュ
- Duke Ellington Piano Solos (1990年、MusicMasters)
- 『メモアール』 - Memoir (1990年、Century) ※with 中山英二
- Sir Roland Hanna Quartet Plays Gershwin (1993年、LRC/Laserlight)
- Maybeck Recital Hall Series, Volume Thirty-Two (1993年、Concord)
- Jazz Sonatas (1994年、Angel)
- 3 for All (1996年、Cymekob Enterprises) ※with バッキー・ピザレリ、ジョン・バー
- 『ハッシャ・バイ』 - Hush A Bye (1996年、What'sNew) ※with 中山英二、小松誠司
- The Three Black Kings (1997年、Jazz Friends Productions) ※with リチャード・デイヴィス、アンドリュー・シリル
- Family & Friends (1998年、Prestige Elite) ※with マイケル・ハナ (ボーカル)
- 『アイ・ラヴ・ビバップ』 - I Love Be-Bop (1998年、Rahanna Music) ※with 青森義雄、クリス・ロゼリ
- Royal Essence: An Evening of Ellington (1998年、Jazzmont) ※with デイヴィー・ヤーボロー
- Ancestral Light (1999年、Red Earth Jazz) ※with ジョージ・ムラーツ
- 『ドリーム』 - Dream (2001年、Venus) ※with ポール・ウエスト、エディ・ロック
- 『ミラノ、パリ、ニューヨーク』 - Milano, Paris, New York: Finding John Lewis (2002年、Venus) ※with ジョージ・ムラーツ、ルイス・ナッシュ
- Everything I Love (2002年、IPO)
- I've Got a Right to Sing the Blues (2002年、IPO) ※with カリー・スミス
- Tributaries: Reflections on Tommy Flanagan (2002年、IPO)
- 『夢のあとで』 - Après Un Rêve (2002年、Venus) ※with ロン・カーター、グラディ・テイト
- 『ラストコンサート』 - Last Concert (2002年、What’s New) ※with 中山英二、硲美穂子
ニューヨーク・ジャズ・カルテット
編集- 『ライブ・イン・ジャパン』 - In Concert In Japan (1975年、Salvation)
- Song of the Black Knight (1977年、Sonet)
- 『サージ』 - Surge (1977年、Enja)
- 『ブルース・フォー・サーカ』 - Blues for Sarka (1978年、Enja)
- New York Jazz Quartet in Chicago (1981年、Bee Hive)
- 『オアシス』 - Oasis (1981年、Enja)
ミンガス・ダイナスティ
編集- 『ライヴ・アット・モントルー』 - Live At Montreux (1981年、Atlantic)
- 『リインカーネーション』 - Reincarnation (1982年、Soul Note)
- Mingus' Sounds Of Love (1988年、Soul Note)
- 『ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』 - Live At The Village Vanguard (1989年、Storyville)
- 『チャールス・ミンガス・エピタフ』 - Epitaph (1990年、Columbia) ※ミンガス名義。チャールズ・ミンガス作品集
脚注
編集- ^ “Roland Hanna | Biography & History”. AllMusic. February 17, 2020閲覧。
- ^ a b c d e f g h Keepnews, Peter (November 15, 2002) "Roland Hanna, a Jazz Pianist and Composer, Dies at 70". New York Times
- ^ a b Feather, Leonard & Gitler, Ira (2007) The Biographical Encyclopedia of Jazz, p. 292, Oxford University Press
- ^ Stryker, Mark (2019-07-08) (英語). Jazz from Detroit. University of Michigan Press. ISBN 978-0-472-12591-3
- ^ Wilson, John S. "Jazz Pianist Sees the Stardom at End of Tunnel", The New York Times, June 1, 1975. Accessed June 28, 2019. "Then last June, the Thad Jones‐Mel Lewis Band, which plays every Monday night at the Village Vanguard in New York, suddenly lost its pianist, Roland Hanna of Teaneck, who left to form his own group."