ワイプ(wipe)とは、画面Aが紙芝居のように横に引き抜かれて、次の画面Bに替わること。「wipe=(汚れなど)を拭(ふ)き取る」が語源。身近な例に自動車のワイパー(wiper)がある。画面片隅の斜め上下左右から画面を丸形・三角形・ひし形・星形・ハート形・格子形・時計針形に拭(ふ)き取るように切り替えて次画面を映す映像技術も含む。 「ワイプインする」「ワイプアウトする」などと表現する。 転じて画面片隅・小窓に映像を表示することもワイプと呼ぶ(コーナーワイプ)。

ワイプの一例

概要編集

映画で、場面転換、視点や時間などが変わったことを示す、あるいは複数の場所・内容を同時に伝えるといったモンタージュ技法のひとつとして使用。

映像技術としてはワイプパターンによりキーを生成し、キーで元画面を抜き、二つの画面を合成する。転じて、子画面に対象物を映すことを「ワイプで抜く」、また逆に映されることを「ワイプで抜かれる」と言うことがある。

フィルムにおいては光学合成、テレビではミクサー・キーヤー、あるいはデジタル合成によってワイプを行う。

テレビ編集

典型例としては、以下のようなものがある。

  • 子供向け番組では、場所、時間など段落が変わるときに使われる。境目の区切り線や効果音が付く場合も多い。丸型ワイプを途中で停止させて、回想や想像を示すこともある。「さわやか3組」(Eテレ)に初めてワイプが使われた当時(1991)は、画面Aと画面Bの境目が明瞭でないため、ワイプ1回に3秒費やしていた。その後、画面の境目に青やオレンジ色の太い区切り線がつけられるようになり、区切りが明確化されるとともに、ワイプに費やされる時間は短くなった[1]。プレゼンテーションソフトのパワーポイント(PowerPoint, Microsoft社)にはアニメーション機能が付いているが、フェードやスライドインなど画面を切り替えるワイプ機能は、標準設定が0.5秒になっている。
  • テレビ番組で、中継先の映像を同時に表示する。
  • テレビ番組で、VTRを見ている際の出演者の様子を同時に表示する[2]。なお、「邪魔」「必要ない」「不快」など嫌悪感を抱く視聴者も少なくない[2]
  • ニュース番組で、次に伝えるニュース素材を子画面にしてアナウンサーの肩の上に表示する。

テレビ番組において、画面の拡大縮小とともにワイプを行うDVEワイプは1970年代以降普及するが、その嚆矢となったのは1971年に日本テレビナイター中継終了後に後続番組(テレビドラマなど)の中で、ワイプ加工した小画面をはめ込んでナイター中継を続行する手法を採用したことであるという[3][4]

出典編集

  1. ^ 村野井均, 「児童の時制理解にNHK教育テレビが果たした役割:「さわやか3組」の時制表現の分析」、『茨城大学教育学部(教育学)』、茨城大学教育学部、2018年
  2. ^ a b 番組制作者・関係者に聞いた、「ワイプが上手い芸人」は?”. サイゾーウーマン. サイゾー (2013年2月4日). 2020年4月28日閲覧。
  3. ^ スポーツ報知 2014年9月25日24面 「巨人軍80周年 あの時」第15回
  4. ^ 日本テレビ放送網(株)『大衆とともに25年. 沿革史』(1978.08) 渋沢社史データベース