中山グランドジャンプ

日本の中央競馬の重賞競走

中山グランドジャンプ(なかやまグランドジャンプ)は、日本中央競馬会(JRA)が中山競馬場で施行する中央競馬重賞競走J・GI)である。競馬番組表での名称は「農林水産省賞典 中山グランドジャンプ (のうりんすいさんしょうしょうてん なかやまグランドジャンプ)」と表記される[2][3]。略称は「中山GJ」[4]

中山グランドジャンプ
Nakayama Grand Jump
第25回中山グランドジャンプ
優勝馬:イロゴトシ
鞍上:黒岩悠
開催国 日本の旗 日本
主催者 日本中央競馬会
競馬場 中山競馬場
創設 1999年4月11日[1]
2023年の情報
距離 障害芝4250m
格付け J・GI
賞金 1着賞金6600万円
出走条件 サラ系障害4歳以上 (国際)
負担重量 定量 (4歳62kg、5歳以上63kg、牝馬2kg減)
出典 [2][3]
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正賞は農林水産大臣賞、日本馬主協会連合会会長賞[2][3]

概要 編集

 
第24回中山グランドジャンプ
優勝馬:オジュウチョウサン
鞍上:石神深一
 
中山グランドジャンプの優勝レイ (2022年)

当時の中山競馬倶楽部理事長であった肥田金一郎が、東京優駿 (日本ダービー)に匹敵する中山競馬場の名物レースを開催する目的で1934年12月に「大障害特別」を創設、これが本競走の前身である[5]。第2回から春・秋の年2回施行となった[5]

その後、度重なる名称変更を経て1948年秋より「中山大障害」の名称で定着していた[5]が、1999年に障害競走改革の一環としてグレード制が導入された際、中山大障害 (春)がリニューアル[5]され現名称となり、あわせて最高峰のJ・GIに格付けされた[5]。第1回の距離は中山大障害と同じ芝4100mだったが、第3回より芝4250mに変更され、現在に至る[6]

2000年から2010年までは国際招待競走であったが、2011年より国際競走へ変更[5]され、JRAによる招待および費用の負担は廃止された。

2023年現在、障害重賞競走では唯一第11競走(メインレース)で施行される競走となっている[3][注 1]

競走条件 編集

以下の内容は、2023年現在[2][3]のもの。

出走資格:サラ系障害4歳以上 (出走可能頭数:最大16頭)

  • JRA所属馬
  • 外国調教馬 (優先出走)

負担重量:定量 (4歳62kg、5歳以上63kg、牝馬2kg減)

  • 第1回は4歳61kg・5歳以上62kg・牝馬2kg減、第2回は4歳62kg・5歳以上63kg・牝馬2kg減、第3回〜第12回は4歳61.5kg・5歳以上63.5kg・牝馬2kg減、第13回は3歳61.5kg・4歳以上63.5kg・牝馬2kg減だった[16][17]

外国馬を除く出馬投票を行った馬から「通算の収得賞金」+「過去1年の収得賞金」+「過去2年のJ・GI競走の収得賞金」の大きい順に出走馬を決定する[18]

賞金 編集

2023年の1着賞金は6600万円で、以下2着2600万円、3着1700万円、4着990万円、5着660万円[2][3]

コース 編集

中山競馬場の障害コース・襷コース (大障害コース)を周回し、直線は芝コースを使用。全体の距離は4250m[注 2]

第3コーナー付近からスタートし、まず順回りで4分の3周(この間に4回の飛越と1回の昇り降りがある)。向正面から年に2回しか使われない大障害コースに入り、大竹柵を飛越して逆回りに変わる。第4コーナーから第3コーナーを通って(1回ずつの飛越と昇り降りがある)再び大障害コースに入り、大生垣を飛越。再び順回りに戻る。ここまでは中山大障害と同じコースであるが、第2コーナーを過ぎた向正面から中山大障害と異なり芝外回りコースに進入し、第3コーナーにかけての2つと最後の直線に1つ設けられた障害を飛越してゴールする。

大障害 編集

 
大竹柵
 
大生垣

中山競馬場の襷コースは「大障害コース」とも呼ばれ、大竹柵と大生垣の障害が設けられている。大障害コースは本競走と中山大障害の時のみ使用され、他の障害に比べ幅・高さともに大きい。

大竹柵 編集

スタートから5番目に飛越する障害。高さ160cm・幅205cm・竹柵部分の高さ140cm[19]

大生垣 編集

スタートから7番目に飛越する障害。高さ160cm・幅240cm・生垣の高さ140cm[19]。前面土塁部分に赤レンガのデザインが施されている。

歴史 編集

  • 1999年 - 5歳以上の馬による障害の重賞 (J・GI)として創設[5]
  • 2000年 - 国際招待競走となり、外国調教馬が8頭まで出走可能となる[5]
  • 2001年
    • 馬齢表記を国際基準へ変更したことに伴い、出走条件を「4歳以上」に変更。
    • 施行距離を障害芝4250mに変更[5]
  • 2011年
    • 出走条件を国際競走に変更[5]
    • 東日本大震災の影響により7月に延期される。
    • この年のみ、出走条件を「3歳以上」とする。
    • 芝Cコースでの開催となったため、障害芝4260mで施行。
  • 2020年 - 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、「無観客競馬」として実施[20]

歴代優勝馬 編集

優勝馬の馬齢は、2000年以前も現行表記に揃えている。

距離のコース種別は、最後の直線コースを走行する際の馬場で記述する。

回数 施行日 競馬場 距離 優勝馬 性齢 所属 タイム 優勝騎手 管理調教師 馬主 1着本賞金
第1回 1999年4月11日 中山 芝4100m メジロファラオ 牡6 JRA 4:56.2 大江原隆 大久保洋吉 メジロ商事(株) 8000万円
第2回 2000年4月15日 中山 芝4100m ゴーカイ 牡7 JRA 4:43.1 横山義行 郷原洋行 吉橋計
第3回 2001年4月14日 中山 芝4250m ゴーカイ 牡8 JRA 4:52.3 横山義行 郷原洋行 吉橋計
第4回 2002年4月13日 中山 芝4250m セントスティーヴン[5] 騸8 AUS 4:50.9 C.ソーントン J.ウィーラー J.ウィーラー
第5回 2003年4月19日 中山 芝4250m ビッグテースト 牡5 JRA 4:48.9 常石勝義 中尾正 (有)ビッグ
第6回 2004年4月17日 中山 芝4250m ブランディス 騸7 JRA 4:47.0 大江原隆 藤原辰雄 (有)サンデーレーシング
第7回 2005年4月16日 中山 芝4250m カラジ 騸10 AUS[5] 4:50.4 B.スコット E.マスグローヴ P.モーガン
第8回 2006年4月15日 中山 芝4250m カラジ 騸11 AUS 4:50.8 B.スコット E.マスグローヴ P.モーガン
第9回 2007年4月14日 中山 芝4250m カラジ 騸12 AUS 4:50.4 B.スコット E.マスグローヴ P.モーガン
第10回 2008年4月19日 中山 芝4250m マルカラスカル 牡6 JRA 4:57.7 西谷誠 増本豊 河長産業 (株)
第11回 2009年4月18日 中山 芝4250m スプリングゲント 牡9 JRA 4:49.1 白浜雄造 野村彰彦 加藤春夫
第12回 2010年4月17日 中山 芝4250m メルシーモンサン 牡5 JRA 5:03.5 高野容輔 武宏平 永井康郎 7500万円
第13回 2011年7月2日 中山 芝4260m マイネルネオス 牡8 JRA 4:51.6 柴田大知 稲葉隆一 (株)サラブレッドクラブ・ラフィアン 7000万円
第14回 2012年4月14日 中山 芝4250m マジェスティバイオ 牡5 JRA 5:02.9 柴田大知 田中剛 バイオ 6500万円
第15回 2013年4月13日 中山 芝4250m ブラックステアマウンテン 騸8 IRE[5] 4:50.5 R.ウォルシュ W.マリンズ S.リッチー
第16回 2014年4月19日 中山 芝4250m アポロマーベリック 牡5 JRA 4:50.7 五十嵐雄祐 堀井雅広 アポロサラブレッドクラブ
第17回 2015年4月18日 中山 芝4250m アップトゥデイト 牡5 JRA 4:46.6 林満明 佐々木晶三 今西和雄
第18回 2016年4月16日 中山 芝4250m オジュウチョウサン 牡5 JRA 4:49.4 石神深一 和田正一郎 (株)チョウサン 6600万円
第19回 2017年4月15日 中山 芝4250m オジュウチョウサン 牡6 JRA 4:50.8 石神深一 和田正一郎 (株)チョウサン
第20回 2018年4月14日 中山 芝4250m オジュウチョウサン 牡7 JRA R4:43.0 石神深一 和田正一郎 (株)チョウサン
第21回 2019年4月13日 中山 芝4250m オジュウチョウサン 牡8 JRA 4:47.6 石神深一 和田正一郎 (株)チョウサン
第22回 2020年4月18日 中山 芝4250m オジュウチョウサン 牡9 JRA 5:02.9 石神深一 和田正一郎 (株)チョウサン
第23回 2021年4月17日 中山 芝4250m メイショウダッサイ 牡8 JRA 4:50.1 森一馬 飯田祐史 松本好雄
第24回 2022年4月16日 中山 芝4250m オジュウチョウサン 牡11 JRA 4:52.3 石神深一 和田正一郎 (株)チョウサン
第25回 2023年4月15日 中山 芝4250m イロゴトシ 牡6 JRA 4:54.1 黒岩悠 牧田和弥 内田玄祥
第26回 2024年4月13日 中山 芝4250m イロゴトシ 牡7 JRA 4:47.2 黒岩悠 牧田和弥 内田玄祥

中山グランドジャンプの記録 編集

  • レースレコード - 4分43秒0(2018年・オジュウチョウサン)
    • 優勝タイム最遅記録 - 5分3秒5(2010年・メルシーモンサン)
  • 最年長優勝馬 - 12歳(2007年・カラジ)
  • 最多優勝馬 - 6回(2016〜2020年、2022年・オジュウチョウサン)
  • 最多優勝騎手 - 6回(2016〜2020年、2022年・石神深一)
  • 最多優勝調教師 - 6回(2016〜2020年、2022年・和田正一郎)
  • 最多優勝種牡馬 - 7回(2011年、2016〜2020年、2022年・ステイゴールド

外国調教馬の成績 編集

脚注・出典 編集

参考文献 編集

  • 「農林水産省賞典中山グランドジャンプ(J・GI)」『中央競馬全重賞競走成績集【障害・廃止競走編】』日本中央競馬会、2006年、23-170頁。 

注釈 編集

  1. ^ 中山大障害は第10競走[7]、新潟ジャンプステークス、小倉サマージャンプは第4競走[8][9]、東京ハイジャンプは第9競走[10]、その他の障害重賞競走は第8競走で施行されている[11][12][13][14][15]
  2. ^ 芝コースにおける移動柵の設定がCコースの場合、4260mになる。2011年のみ採用された。

出典 編集

  1. ^ netkeiba.com・レース詳細検索/中山グランドジャンプ
  2. ^ a b c d e 重賞競走一覧 (レース別・関東)” (PDF). 日本中央競馬会. p. 12 (2023年). 2023年9月10日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 令和5年第3回中山競馬番組” (PDF). 日本中央競馬会. 2023年9月10日閲覧。
  4. ^ 【本日の注目ポイント】オジュウチョウサンが中山GJの5連覇に挑む | 最新競馬ニュース”. netkeiba.com. 2020年4月18日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m レースについて:中山グランドジャンプ 今週の注目レース”. 日本中央競馬会. 2023年9月11日閲覧。
  6. ^ 2023年度第3回中山競馬特別レース名解説” (PDF). 日本中央競馬会. p. 4. 2023年9月11日閲覧。
  7. ^ 令和5年第5回中山競馬番組” (PDF). 日本中央競馬会. 2023年9月10日閲覧。
  8. ^ 令和5年第2回新潟競馬番組” (PDF). 日本中央競馬会. 2023年9月11日閲覧。
  9. ^ 令和5年第2回小倉競馬番組” (PDF). 日本中央競馬会. 2023年9月10日閲覧。
  10. ^ 令和5年第4回東京競馬番組” (PDF). 日本中央競馬会. 2023年9月11日閲覧。
  11. ^ 令和5年第1回阪神競馬番組(第7~12日)” (PDF). 日本中央競馬会. 2023年9月10日閲覧。
  12. ^ 令和5年第1回京都競馬番組(第7~12日)” (PDF). 日本中央競馬会. 2023年9月10日閲覧。
  13. ^ 令和5年第3回東京競馬番組” (PDF). 日本中央競馬会. 2023年9月11日閲覧。
  14. ^ 令和5年第4回阪神競馬番組” (PDF). 日本中央競馬会. 2023年9月11日閲覧。
  15. ^ 令和5年第2回京都競馬番組” (PDF). 日本中央競馬会. 2023年9月11日閲覧。
  16. ^ 中央競馬全重賞競走成績集【障害・廃止重賞編】
  17. ^ 2011年の成績表参照。
  18. ^ 令和4年度競馬番組一般事項” (PDF). 日本中央競馬会. 2023年9月11日閲覧。
  19. ^ a b 中山競馬場 (コース紹介)”. 日本中央競馬会. 2016年4月11日閲覧。
  20. ^ 4月19日(日曜)までの中央競馬の開催等について”. 日本中央競馬会 (2020年4月2日). 2020年6月20日閲覧。

各回競走結果の出典 編集

外部リンク 編集