函館の水族館構想(はこだてのすいぞくかんこうそう)とは、北海道函館市で構想されていた水族館構想である。

建設予定地の一つ緑の島

断念後についても記述する。

概要 編集

湯川地区から緑の島へ 編集

1988年昭和63年)湯川地区で「湯の川マリンパーク構想」が構想されたが[1][2]同地区での立地を断念、水族館第三セクターによるウォーターフロント開発の中核施設建設などの計画が持ち上がり[3][4][5]1997年平成9年)には函館市コクドが「函館アクアコミュニティ構想」における基本協定を締結したが[6]大観覧車建設による景観問題や収支計画における採算面に市議会や市民から厳しい見方が強まり[7][8][9]2001年(平成13年)に建設を断念した[10]

函館商工会議所は1997年7月の会報にて、函館は家族連れで楽しむ場所がないので一日も早く完成してほしいと思うのは皆同じではなかろうかと期待を寄せていた[11]

海の生態科学館構想 編集

その後も市は規模を縮小しての科学館「海の生態科学館」やコンベンション施設建設を検討していたが[12][13][14]2007年(平成19年)に事業断念を表明した。

海の生態科学館は社会教育施設として位置付けることで採算性の批判をかわす方針に転換し、平成の大合併2004年<平成16年>12月1日、戸井町恵山町南茅部町椴法華村との合併)を記念して建設する方針であった[15]赤字を想定しており、コスト削減のため公設民営方式を取るとの考えであったが、「民営で社会教育を充実させられるのか」「民営ならば黒字を目指すべきでは」との意見が寄せられた[16]。事業費は約30億円で、市は北海道大学大学院教授の私案「道南パノラマ大水槽」を採用する意向であった[17]津軽海峡を再現し、イカの群泳する海、小さなイルカ海鳥昆布などを配置する。水槽をチューブトンネルで通れる構造とし、様々な角度から観察できるようにする案だった。現在の水族館は娯楽要素が強すぎる、博物館図書館のような機能を持ち、楽しく学べる海洋科学館を目標としていた[2]

市は2004年(平成16年)よりプラズマディスプレイを利用した「まちかどデジタル水族館」の設置をしていた[18]

構想断念後の動き 編集

2014年(平成26年)に旧函館どつく跡地に水産・海洋分野の研究開発拠点などとなる施設「函館市国際水産・海洋総合研究センター」[19]2015年(平成27年)には湯川町函館市民体育館を改築する形でスポーツやコンベンションなどの多目的施設「函館アリーナ」がオープンしている。

2019年令和元年)からは日本財団の支援を受けたBlue Commons Japanによって函館朝市えきに市場内に「函館朝市ミニ水族館」を設置、運営を開始した[20]2023年(令和5年)には新たに水槽を2基加えるリニューアルを行った[21]

はこだてみらい館では2021年(令和3年)夏に、はこだて海のみらい展として、デジタル水族館等体験イベントを開催した[22]

脚注 編集

  1. ^ ともえNo.83 1988年2月20日 函館商工会議所
  2. ^ a b 函館の水族館 公立はこだて未来大学 2004年
  3. ^ 難航のマリンパーク構想 湯川立地を断念 市長表明 緑の島で水族館整備”. フォト北海道(道新写真データベース). 北海道新聞社 (1990年12月13日). 2018年5月24日閲覧。
  4. ^ 函館港の観光構想*コクドが参画検討*「緑の島」*水族館など整備へ*第三セクターの中核に”. フォト北海道(道新写真データベース). 北海道新聞社 (1994年11月29日). 2018年5月24日閲覧。
  5. ^ <函館港を考える>第4部 転機の海に*8*生まれ変わる水際(下)*官民の情報交換カギ*一貫性ある施設整備を”. フォト北海道(道新写真データベース). 北海道新聞社 (1994年12月17日). 2018年5月24日閲覧。
  6. ^ 函館港緑の島レジャー施設*基本協定26日調印*市とコクド*2000年オープン”. フォト北海道(道新写真データベース). 北海道新聞社 (1997年2月24日). 2018年5月24日閲覧。
  7. ^ 函館市の水族館構想*100メートル級観覧車を計画*コクド*新たに景観問題も”. フォト北海道(道新写真データベース). 北海道新聞社 (1999年9月4日). 2018年5月24日閲覧。
  8. ^ 函館市・アクアコミュニティ計画*水族館核の基本構想明らかに*2003年開業へ大きく前進*採算面、景観調和が課題”. フォト北海道(道新写真データベース). 北海道新聞社 (2000年9月9日). 2018年5月24日閲覧。
  9. ^ <波動>函館港アクアコミュニティ計画*難問群れなす念願の水族館*採算は? “70万人入場”に疑問符*大観覧車「自慢の景観を損なう」”. フォト北海道(道新写真データベース). 北海道新聞社 (2000年10月1日). 2018年5月24日閲覧。
  10. ^ <アクア断念>下*水族館*市長は建設に意欲*財政厳しく実現不透明”. フォト北海道(道新写真データベース). 北海道新聞社 (2001年12月5日). 2018年5月24日閲覧。
  11. ^ ともえ1999年7月号 函館商工会議所 1999年
  12. ^ <どうなんリポート>一度は断念…今度は「社会教育」*再び浮上 水族館論議*市「小規模で」*本年度から調査、検討*求められる情報公開”. フォト北海道(道新写真データベース). 北海道新聞社 (2003年6月29日). 2018年5月24日閲覧。
  13. ^ 「海の生態科学館」素案を検証*ソフト重視で個性化”. フォト北海道(道新写真データベース). 北海道新聞社 (2005年2月2日). 2018年5月24日閲覧。
  14. ^ 函館市、補正予算案発表*一般会計*1.9%減 1242億円*21億円余りを追加*縄文文化交流センター*整備推進費500万円”. フォト北海道(道新写真データベース). 北海道新聞社 (2007年6月12日). 2018年5月24日閲覧。
  15. ^ 平成16年度 第2回 函館市南茅部地域審議会会議録 函館市 2005年
  16. ^ "水族館建設基本構想策定委初会合" e-Hakodate/函館新聞 2004年4月27日更新 2023年12月26日閲覧
  17. ^ 水族館建設基本構想策定委、事業費30億円ベース e-Hakodate/函館新聞 2004年11月11日11:15更新
  18. ^ "函館駅にデジタル水族館/海の生物間近に" e-Hakodate/函館新聞 2006年11月3日10:33 2023年12月23日閲覧
  19. ^ 函館市国際水産・海洋総合研究センター”. 函館市公式観光情報サイトはこぶら. 2018年5月25日閲覧。
  20. ^ 『函館朝市にミニ水族館 近海の魚介類を展示』 日本経済新聞 2019年7月16日18:22更新 2023年10月14日閲覧
  21. ^ "函館朝市 ミニ水族館に新たに2つの水槽加わる" 北海道 NEWS WEB NHK 2023年4月29日19時20分更新 2023年12月26日閲覧
  22. ^ "はこだて海のみらい展" はこだてみらい館 2023年12月27日閲覧

関連項目 編集