吉祥寺プラザ(きちじょうじプラザ、Kichijoji Plaza)は、かつて東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-19にあったミニシアター[1](小規模映画館)。1956年(昭和31年)9月8日に吉祥寺東映劇場として開館し、1997年(平成9年)7月12日に吉祥寺プラザへ改称した。2024年(令和6年)1月31日をもって閉館した。216席の1スクリーンを有していた[2]。経営母体は東興映画[2]

吉祥寺プラザ
Kichijoji Plaza
地図
情報
正式名称 吉祥寺プラザ
旧名称 吉祥寺東映劇場
開館 1956年9月8日
開館公演忍術快男児
髑髏銭
閉館 2024年1月31日
最終公演君たちはどう生きるか[1]
もののけ姫[1]
客席数 216席[2]
設備 ドルビーデジタル5.1ch、DLP
用途 映画上映
運営 東興映画[3]
所在地 180-0004
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-19[4]
位置 北緯35度42分23.6秒 東経139度34分49.9秒 / 北緯35.706556度 東経139.580528度 / 35.706556; 139.580528 (吉祥寺プラザ)座標: 北緯35度42分23.6秒 東経139度34分49.9秒 / 北緯35.706556度 東経139.580528度 / 35.706556; 139.580528 (吉祥寺プラザ)
最寄駅 吉祥寺駅北口から徒歩7分
最寄バス停 西武バス関東バスサンロード入口」停留所
外部リンク www.toukoueiga.com/kichi/index.html
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特色 編集

デジタル上映3D上映に対応している。全席自由席で各回入替制。かつては看板下に手書き看板などが取り付けられていたが、その後は黒字に白抜きゴシック体のロゴとなった。吉祥寺東興ビルの最上階(屋上)は吉祥寺プラザが運営するバッティングセンターとなっている。

歴史 編集

旧館時代(1956年~1979年) 編集

1956年(昭和31年)9月8日、武蔵野市吉祥寺2061に東映封切館として吉祥寺東映劇場が開館した[5]。最初の上映作品は『忍術快男児』『髑髏銭』の二本立だった。東映直営館ではなく東興映画の経営であり、開館時の支配人は荒井直一だった[5]

日本の映画観客数がピークを迎えた1958年(昭和33年)、吉祥寺には吉祥寺オデヲン、吉祥寺スバル座、吉祥寺東宝、吉祥寺大映、吉祥寺コニー、井の頭松竹、吉祥寺東映、武蔵野映画劇場、吉祥寺名画座の9館の映画館があった[6]。吉祥寺東映では片岡千恵蔵ら主演の時代劇映画や、高倉健主演の任侠映画などが人気を集めた[1]。なお、武蔵野映画劇場(1984年に吉祥寺バウスシアターに改称)は吉祥寺東映劇場の東側の隣接地にあった。

吉祥寺東興ビル時代(1979年~) 編集

 
隣接地にあった吉祥寺バウスシアター

1977年(昭和52年)には千葉市新東宝直営館などを立て直してきた平野一郎が吉祥寺東映劇場の支配人に就任した[3]。1979年(昭和54年)5月には現在の吉祥寺東興ビルが竣工し、吉祥寺東映劇場は吉祥寺東興ビル内に移った。平野はアニメの時代が訪れることを予想してアニメーション映画に力を入れ、国鉄中央本線沿線の荻窪駅から国分寺駅までの周辺などで割引券を配った[3]

平野の知人の東宝映画関係者が吉祥寺における『もののけ姫』(宮崎駿監督)の上映先に困っていたことから、東映本社など各所に根回しをしたうえで1997年(平成9年)7月12日には吉祥寺プラザに館名を変更し、東宝作品である『もののけ姫』を上映した[3][1]。前日まで東映『失楽園』(森田芳光監督)で満員御礼を出していたため、この決断は業界を驚かせたという[3][1]。『もののけ姫』は21週間にわたるロングラン上映となり、吉祥寺プラザのみで1億5000万円もの興行収入を記録した[3]。その後は映画配給元の縛りを受けない独立系映画館となったが、以降も東宝系アニメーション作品を積極的に上映した。

なお、同じく東興映画が経営していた三軒茶屋東映は、名画座としてリニューアルして三軒茶屋シネマに改称した後、2014年(平成26年)7月22日に閉館した[7]

閉館 編集

2020年(令和2年)に放送されたテレビアニメ『呪術廻戦』第1期では、吉祥寺プラザの外観をモデルとする映画館「キネマシネマ」が登場し、聖地巡礼に訪れるアニメファンも多く見られた[1]

館内設備の老朽化による大規模改修に充当する収益の確保を見込めないとして、2024年(令和6年)1月31日をもって閉館した[1]。最終プログラムは『君たちはどう生きるか』と『もののけ姫』だった[1]

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f g h i 吉祥寺に愛されたミニシアター閉館へ 「失楽園」「もののけ姫」…ヒット続いた時代遠く デジタル投資重荷 東京新聞 TOKYO Web(2024年1月22日)/『東京新聞』夕刊2024年1月23日1面
  2. ^ a b c 吉祥寺プラザ、来年1月閉館へ 都内で愛された老舗映画館に惜しむ声朝日新聞デジタル(2023年9月12日)2024年2月7日閲覧
  3. ^ a b c d e f 第010回 「吉祥寺プラザ」専務取締役 平野一郎さん”. 日本映画映像文化振興センター. 2018年4月17日閲覧。
  4. ^ 吉祥寺プラザ 上映スケジュール”. Movie Walker. 2021年11月1日閲覧。
  5. ^ a b 「映画館」『キネマ旬報』第161号(1956年11月15日)
  6. ^ 『映画年鑑 1958年版 別冊 映画便覧 1958』時事通信社、1958年
  7. ^ “二階堂ふみ、三軒茶屋シネマの閉館を嘆く”. 日刊スポーツ. (2014年7月22日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20140722-1338765.html 2018年4月17日閲覧。 

外部リンク 編集