唇をかみしめて

吉田拓郎の楽曲。映画『刑事物語』の主題歌。
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唇をかみしめて」(くちびるをかみしめて)は、日本シンガーソングライターである吉田拓郎の楽曲。

「唇をかみしめて」
吉田拓郎シングル
初出アルバム『吉田拓郎ベスト60
B面 B面収録なし (EPレコード)
ジャスト・ア・RONIN (再発盤)
リリース
規格 シングル・レコード
8cmCD (再発盤)
ジャンル ニューミュージック
時間
レーベル FORLIFE
作詞・作曲 吉田拓郎
チャート最高順位
吉田拓郎 シングル 年表
サマータイムブルースが聴こえる
1981年
唇をかみしめて
1982年
あいつの部屋には男がいる
1983年
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武田鉄矢が原作・脚本・主演した映画『刑事物語』の主題歌として[2][3][4][5]1982年3月21日フォーライフ・レコード(現・フォーライフミュージックエンタテイメント)から発売され、1988年5月21日8cmCDへとフォーマットを変えて再発売された。カップリングに同じ武田が脚本・出演した映画『幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬』の主題歌である「ジャスト・ア・RONIN」が収録されている。

シングルと映画エンディングで流れる曲は別テイクであり、映画で使用されたテイクは1985年に発売されたベスト・アルバム吉田拓郎ベスト60』に収録されている。

背景

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1980年代の日本の音楽シーンは中途半端なテクノロジーが混在して[3]、音楽的な閉塞感もあり[3]フォークを聴くにも困難な時代で[3]、フォークはすっかりニューミュージックという名の歌謡曲に取って代わられ[3]、フォークにはたいそう旗色が悪い時代であった[3]。拓郎はそのような時代を切り拓いてきた人でもあるが[3]、そうした時代であっても格別な存在感を示し、フォークシンガー以上の何かを年長の熱狂的なファンから託されていた[3]。後に映画『幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬』(1986年)で高杉晋作役に拓郎を指名したように、武田を始めとする拓郎ファンが、拓郎に何を求めていたか、何を託していたのか[3]、拓郎にとって音楽活動の原点になった広島弁でドスの利かせた独特のシャウトで叫び、強烈な印象を残し、その期待に応えた[3]

また、その状況に加えて当時は、貸しレコード店(現在のレンタルCD)が若者に支持されて急速に店舗を増やしていた[4][6][7][8]。貸しレコードに対して明確な法整備がされてなく[4][6][8]、レコードを買わず、レンタルで済まされるとアーティストにはお金が入らないという問題があった[4]。こんなことが続くと業界が寂れてしまうという危機感から、拓郎は貸しレコード業界への対抗策として、当時の一般的なシングルレコードの価格は1枚700円だったが、レンタル代金とさほど変わらない1枚400円で販売した[2][4][6]。このため日本のレコード業界初の片面レコードとして発売されている[2][4][6]

制作

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武田は『刑事物語』の主題歌を古くからの友人でもある拓郎に直々に依頼[3][4][5]。同映画のために描き下ろされた[3][5]。歌詞が全編拓郎が育った広島県方言である広島弁を用いたため話題を呼んだ[2][3][4][9][10]。拓郎はしぶしぶ引き受けてからも打ち合せに来ないとかがあり[5]、もう間に合わないかと思ったらようやく曲が届き、歌詞を読んだだけで武田は泣いたという[5]。拓郎から武田が「お前が博多弁で歌った(『母に捧げるバラード』)に対抗して俺もやってみた。おまえのマネをして広島弁で曲を歌ってみたよ」と言われた[5]

編曲にクレジットされている「広島二人組」は[2]、拓郎と青山徹のことで[11]、ギターも青山が演奏しておりレコードジャケットにも記載されているが、発売当時のチラシでは編曲の名義が「吉田拓郎・青山徹」とクレジットされている[2]

収録曲

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EPレコード盤

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Side:A

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  1. 唇をかみしめて(4分38秒)
    作詞・作曲:吉田拓郎 編曲:広島二人組

8cmCD盤

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  1. 唇をかみしめて(4分38秒)
    作詞・作曲:吉田拓郎 編曲:広島二人組
  2. ジャスト・ア・RONIN (4分13秒)
    作詞:安井かずみ 作曲:加藤和彦 編曲:瀬尾一三
    歌:吉田拓郎・加藤和彦

収録ディスク

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アルバム

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カバー

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脚注

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  1. ^ 『オリコン・シングル・チャートブック(完全版):1968 - 2010』オリコン・エンタテインメント、2012年2月、367頁。ISBN 978-4-87131-088-8
  2. ^ a b c d e f g h i j k 田家秀樹; 前田祥丈; 菅岳彦; 池田謙; 村野弘正『アーティストファイル 吉田拓郎 オフィシャル・データブックヤマハミュージックメディア、2014年、64,108,133,152,162,192–194.196,201,203–206,248,259,261頁。ISBN 9784636904413https://www.ymm.co.jp/p/detail.php?code=GTB01090441 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 「拓郎、この一曲『唇をかみしめて』 文・和田彰二」『吉田拓郎読本』音楽出版社〈CDジャーナルムック〉、2008年、41頁。ISBN 978-4-86171-041-4 
  4. ^ a b c d e f g h 唇をかみしめて/吉田拓郎の独特な広島弁に癒される・・・。歌詞の意味を徹底解釈!【YouTube動画】”. 音楽メディアOTOKAKE. 株式会社Tech Factory. 2024年3月22日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 鷲崎健 (2024年2月18日). “大阪、広島、鹿児島……。選び抜かれた「方言」曲の数々をお届け!”. 鷲崎健のヒマからぼたもち. 文化放送. 2024年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月22日閲覧。
  6. ^ a b c d 音楽も価格破壊!「300円CD」登場スポニチアネックス、2002年8月12日。(インターネットアーカイブのキャッシュ)。
  7. ^ “公取委、貸しレコード問題で協会の制裁措置に警告。”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社): p. 26. (1982年12月16日) 
  8. ^ a b 本間義人 (1981年11月12日). “貸しレコードを訴えた日本レコード協会会長 正坊地隆美”. 毎日新聞 (毎日新聞社): p. 1 
  9. ^ 竹下幸之介(DDTプロレスリング)の『ニシナリライオット』第25回:「“プロレスラーになる”という夢が消えた日
  10. ^ 編集長のつぶやき 目撃、吉田拓郎さん。”. 昭和40年男. 2024年3月22日閲覧。
  11. ^ 奥田民生 / 唇をかみしめて

関連項目

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