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唐木 英明(からき ひであき、1941年12月3日[1] - )は、日本獣医師農学者獣医薬理学)。学位農学博士東京大学1971年)。東京大学名誉教授、世界健康リスクマネージメントセンター国際顧問、公益財団法人食の安全・安心財団理事長。

唐木 英明
Hideaki Karaki cropped 2 Tom Vilsack Caroline Kennedy and Member of the US Japan Agricultural Trade Hall of Fame 20151120.jpg
生誕 (1941-12-03) 1941年12月3日(77歳)
東京府東京市麹町区
居住 日本の旗 日本
国籍 日本の旗 日本
研究分野 農学
研究機関 東京大学
テキサス大学
お茶の水女子大学
出身校 東京大学農学部卒業
東京大学大学院
生物系研究科中途退学
主な受賞歴 日本農学賞(1997年
読売農学賞(1997年)
プロジェクト:人物伝
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東京大学農学部教授、東京大学アイソトープ総合センターセンター長(第10代)、日本学術会議副会長、食品安全情報ネットワーク代表、食の信頼向上をめざす会代表、倉敷芸術科学大学学長などを歴任した。娘は浪曲師春野恵子

来歴編集

生い立ち編集

東京府東京市麹町区(現・東京都千代田区)出身。戦中は父親の出生地である長野県上伊那郡中箕輪に疎開。戦後帰京し、千代田区立九段小学校、千代田区立麹町中学校東京都立日比谷高等学校を経て東京大学に進学し、農学部獣医学科に進んで獣医学を学んだ。医者である父の意向とは別の道だったため勘当された[2]1964年に同大学を卒業(農学士)、同年には獣医師免許も取得している。大学卒業後は、東京大学大学院生物系研究科にて学んでいたが、1965年に中途退学し、東京大学の助手として採用された。なお、1971年には、東京大学より農学博士の学位を取得した。「腸管平滑筋のバリウム収縮に関する研究」。

研究活動編集

1965年より東京大学の助手として勤務し、1972年には助教授に昇任した。1978年からはテキサス大学ダラス医学研究所にて研究員を務めた。その後、1987年に東京大学の教授に就任し、以来、農学部にて獣医薬理学を中心に講じた。1999年、東京大学のアイソトープ総合センターのセンター長に就任した。2003年には、東京大学より名誉教授の称号が贈られた。2004年、世界健康リスクマネージメントセンターの客員教授に就任した。また、同年には、情報サービス企業であるトムソンが運営するISIの論文被引用状況の調査により、「World's Most Cited Authors」に選ばれた。2007年からは、お茶の水女子大学のライフワールド・ウオッチセンターにて講師を務めた。

また、2000年に、内閣府特別の機関である日本学術会議の会員に選出された。2008年には、日本学術会議にて第21期の副会長に選出され、日本学術会議の国際活動について所掌することとなった[3]。副会長就任にあたり、唐木は「我が国の科学の向上発達に資するため、日本学術会議の国際活動の在り方について議論を深めていく」[4]と述べるなど、その抱負を語った。

2011年に日本学術会議の副会長を任期満了のため退任し、倉敷芸術科学大学の学長を務め、現在は公益財団法人食の安全・安心財団理事長。また、世界健康リスクマネージメントセンターでは、国際顧問を務めている[5][6]

公的活動編集

文部科学省の大学設置・学校法人審議会の専門委員や、大学評価・学位授与機構の評価委員などを務めた。内閣府食品安全委員会では肥料・飼料専門調査会の座長と企画等専門調査会の専門委員を務め、現在は専門参考人。また、さまざまな学術団体の役職を務め、日本比較薬理学・毒性学会の会長、日本トキシコロジー学会の理事長、日本薬理学会の理事、日本獣医学会の理事、日本平滑筋学会の理事、日本循環薬理学会の理事、日本予防医学リスクマネージメント学会の感染症・食品安全部会の部会長、日本農学アカデミーの副会長、などを歴任した。

科学的知識の普及・啓蒙編集

科学者として疑似科学似非科学への警鐘を鳴らし、科学的知識の普及や啓蒙に精力的に取り組む、としている。

美味しんぼ
ビッグコミックスピリッツ』に掲載された「美味しんぼ」の作中にて遺伝子組み換え作物についての不正確な記述があったと述べ、小学館ビッグコミックスピリッツ編集部に対して訂正するよう要請した[7][8]。その結果、ビッグコミックスピリッツ編集部と唐木が代表を務める食品安全情報ネットワークとが話し合う場を設けることとなり、そこで議論を重ねたものの、双方が納得する合意に達するまでには至らなかった[7]
ホメオパシー
学術的な会合でホメオパシー関連商品の展示が急増したことに疑念を抱き、ホメオパシーを喧伝する書籍の調査に着手した[9]。その結果、ホメオパシーを紹介する書籍に複数の医療機関が実名で掲載されていたことがわかり、日本学術会議会長金澤一郎に報告し[9]、1年以上かけて対応を議論した[10]
この議論を踏まえたうえで、日本学術会議はホメオパシーの科学的根拠を否定する会長談話を取りまとめ、2010年8月24日に公表した[10][11]。記者会見に同席した唐木は「この談話で一番重要なのは、ホメオパシーは科学的に否定されているということです」[9]と語り、会長談話の狙いや意義を説明した。そのうえで唐木は「科学的に全否定されているものを医療従事者が使えば患者を通常の医療から遠ざけかねず危険だ。『ホメオパシーは効かない』というメッセージを伝えることが重要と考えた」[10]と指摘し、日本国内の医療現場に広がり始めたホメオパシーの危険性を訴えた。

BSE問題編集

2005年、唐木はリスクコミュニケーション専門調査会委員でありながら、直接利害にかかわる米国食肉輸出連合会の米国牛の安全パンフレットの監修を食品安全委員会専門委員の肩書を使用して行ったことで、消費者団体である食の安全・市民監視委員会より罷免請求が提出され、国会においても野党議員から専門委員罷免の要求が出された[12]。この間の出来事について、2010年に『牛肉安全宣言――BSE問題は終わった』を、2014年に『不安の構造 リスクを管理する方法』、2018年に『証言BSE問題の真実 全頭検査は偽りの安全対策だった』を出版している。

福島第一原子力発電所事故編集

2011年9月10日横浜市が市内全戸に配布した「広報よこはま 放射線特集号」は唐木が監修したが、そのなかで「規制値を超える放射性セシウムで汚染された牛肉が出回り、騒ぎになりました。しかし、規制値は『安全と危険の境界』ではないので、一時的にその牛肉を食べてしまった人にも健康影響が出るような心配はないのです」と述べている[13]

略歴編集

  • 1964年 - 東京大学農学部卒業。
  • 1964年 - 獣医師免許取得。
  • 1965年 - 東京大学大学院生物系研究科中途退学。
  • 1965年 - 東京大学農学部助手。
  • 1971年 - 農学博士(東京大学)取得。論文の題は"腸管平滑筋のバリウム収縮に関する研究"
  • 1972年 - 東京大学農学部助教授。
  • 1978年 - テキサス大学ダラス医学研究所研究員。
  • 1987年 - 東京大学農学部教授。
  • 1987年 - 日本比較薬理学・毒性学会会長。
  • 1995年 - 日本トキシコロジー学会理事長。
  • 1999年 - 東京大学アイソトープ総合センターセンター長。
  • 1999年 - 文部科学省大学設置学校法人審議会専門委員。
  • 2000年 - 日本学術会議会員。
  • 2002年 - 大学評価・学位授与機構評価委員。
  • 2003年 - 東京大学名誉教授。
  • 2004年 - 日本予防医学リスクマネージメント学会感染症・食品安全部会部会長。
  • 2004年 - 世界健康リスクマネージメントセンター客員教授。
  • 2004年 - 日本農学アカデミー副会長。
  • 2007年 - お茶の水女子大学ライフワールド・ウオッチセンター講師。
  • 2008年 - 日本学術会議副会長。
  • 2011年 - 倉敷芸術科学大学学長。
  • 2012年 -公益財団法人食の安全・安心財団理事長。

賞歴編集

  • 1997年 - 日本農学賞。
  • 1997年 - 読売農学賞。
  • 2011年 -U.S. Agricultural Trade Hall of Fame 授与

皇室行事編集

  • 2006年 -皇室「講書始の儀」招待
  • 2007年 -皇室「秋の園遊会」招待
  • 2008年 -皇室「天皇誕生日祝宴」招待
  • 2009年 -皇室「講書始の儀」招待
  • 2012年 -皇居御所において両陛下にご進講

著作編集

単著編集

  • 唐木英明研究代表者『平滑筋の収縮制御機構に対する海産物由来の生理活性物質の作用』唐木英明、1990年
  • 唐木英明研究代表者『血管および腸管平滑筋の生理・生化学的差異に関する研究――平滑筋収縮の周期性の生理・生化学的機序』唐木英明、1996年
  • 唐木英明研究代表者『エンセドリン受容体の選択的作動薬・拮抗薬の開発と実用化』唐木英明、1997年
  • 唐木英明著・監『暮らしのなかの死に至る毒物・毒虫60』講談社2000年ISBN 9784062641531
  • 唐木英明研究代表者『海洋生物由来のアクチン重合阻害物質――研究試薬としての実用化と医薬への応用』唐木英明、2001年
  • 唐木英明研究代表者『獣医学教育の抜本的改善の方向と方法に関する研究』唐木英明、2001年。
  • 唐木英明著『牛肉安全宣言――BSE問題は終わった』PHP研究所2010年ISBN 9784569778198
  • 唐木英明著『不安の構造 リスクを管理する方法』エネルギーフォーラム新書、2014年。 ISBN 978-4-88555-429-2
  • 唐木英明編著『証言BSE問題の真実 全頭検査は偽りの安全対策だった』さきたま出版会、2018年。ISBN 978-4-8789-1464-5

共著編集

  • 唐木英明研究代表者『平滑筋の各種リン酸化酵素による制御機構』唐木英明、1992年
  • 唐木英明研究代表者『ホスファターゼ阻害剤の研究試薬としての実用化』唐木英明、1994年
  • 尾崎博研究代表者『海洋天然物の薬理資源としての開発』尾崎博、2002年
  • 堀正敏研究代表者『消化管運動調節系としての神経・ペースメーカー・免疫のクロストーク――消化管機能改善による動物生産性向上のための基盤研究』堀正敏、2004年
  • 日本学術協力財団編集、金澤一郎ほか執筆『食の安全を求めて――食の安全と科学』日本学術協力財団、2010年。ISBN 9784990498900
  • 小島正美編『誤解だらけの遺伝子組換え作物』エネルギーフォーラム、2015年。ISBN 978-4-88555-455-1

編纂編集

  • 唐木英明ほか編集『細胞内カルシウム実験法』羊土社、1989年
  • 浦川紀元・唐木英明編集『カルシウムと情報伝達系――平滑筋研究の現状と実験法』文永堂出版、1991年ISBN 9784830030932
  • 浦川紀元・唐木英明編集『平滑筋実験マニュアル』文永堂出版、1995年ISBN 9784830031298

趣味編集

趣味は写真撮影。作品はInstagramおよびFacebookに本名で掲載している。

脚注編集

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  1. ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.403
  2. ^ PHP研究所 人名事典
  3. ^ 「歴代会長・副会長一覧」『歴代会長・副会長一覧|日本学術会議日本学術会議
  4. ^ 「唐木英明副会長」『副会長室|日本学術会議日本学術会議
  5. ^ "WHRMC Body", WHRMC Office, World Health Risk Management Center.
  6. ^ 「国際顧問名簿」『国際顧問』世界健康リスクマネージメントセンター。
  7. ^ a b 遺伝子組換えで「美味しんぼ」に訂正要求 食品安全の啓発団体とバトル : J-CASTニュースジェイ・キャスト2010年7月7日
  8. ^ 美味しんぼ - FSINetwork』食品安全情報ネットワーク。
  9. ^ a b c 長野剛・岡崎明子「医療敬遠に危機感――学術会議ホメオパシー否定――元利用者『宗教のよう、洗脳されていた』」『朝日新聞』44660号、14版、朝日新聞東京本社2010年8月25日、3面。
  10. ^ a b c 岡崎明子・長野剛「ホメオパシー効果否定――日本学術会議――医療現場に自粛要請」『朝日新聞』44660号、14版、朝日新聞東京本社2010年8月25日、1面。
  11. ^ 金澤一郎『ホメオパシー』についての会長談話2010年8月24日
  12. ^ 平成十七年十月二十八日提出 質問第四三号 BSE問題に関する質問主意書 提出者 川内博史
  13. ^ 【参考】訂正前の広報よこはま震災対策特別号(放射線特集) (PDF)

関連項目編集

外部リンク編集

学職
先代:
鈴木紀夫
東京大学
アイソトープ総合センターセンター長

第10代 : 1999年 - 2003年
次代:
巻出義紘