戴資穎

台湾の女子バドミントン選手

戴資穎(たい・しえい[1]、タイ・ツーイン、ラテン文字 : Tai Tzu-ying、ピン音 : Dài Zīyǐng、1994年6月20日 - )は、台湾高雄市出身の女子バドミントン選手[2]

戴資穎
Tai Tzu-Ying
基本情報
生年月日 (1994-06-20) 1994年6月20日(29歳)
性別 女子
国籍 中華民国の旗 台湾
出身地 高雄市
身長 162cm
選手情報
利き腕
種目 女子シングルス(WS)
主な戦績
世界ランク(最高) 1位
獲得メダル
女子バドミントン
チャイニーズタイペイの旗 チャイニーズタイペイ
オリンピック
2020 東京 女子シングルス
世界選手権
2021 ウエルバ 女子シングルス
アジア競技大会
2018 ジャカルタ 女子シングルス
2014 仁川 女子シングルス
アジア選手権
2017 武漢市 女子シングルス
2018 武漢市 女子シングルス
2015 武漢市 女子シングルス

2011年には16歳6か月で台湾バドミントン選手権で優勝し、最年少優勝記録を更新した。22歳だった2016年12月にはBWF世界ランキングで1位となり、2018年4月に2週のみ日本の山口茜に1位の座を譲った後、再び1位の座に君臨している。2017年と2018年のアジアバドミントン選手権大会、2018年のアジア競技大会バドミントン競技で優勝している。

経歴 編集

2012-2016 編集

戴資穎の父親は消防士であり、高雄市バドミントン連盟の会長だった。戴資穎は小学3年生の時にバドミントンをはじめた。2009年には15歳で国際大会に初出場し、ベトナム・オープンで準優勝した。同年7月には台湾バドミントン選手権でベスト8となっている。同じく7月にはマレーシアで開催されたアジアユースU19バドミントン選手権大会で準優勝した。同年12月には香港で開催された東アジア競技大会に出場し、銀メダル1個と銅メダル1個を獲得した。

2012年にはヨネックスオープンジャパンで優勝し、BWFスーパーシリーズの最年少優勝者となった。なお、2013年にはタイのラチャノック・インタノンが最年少記録を更新し、また同年には日本の山口茜にも抜かれている。2012年には台湾オープンでも決勝でインドネシアのリンダウェニ・ファネトリを破って優勝した。

2013年の台湾オープンでは決勝で韓国の成池鉉に敗れた。同年のBWFスーパーシリーズファイナルズ英語版には第8シードとして出場し、準決勝では第1シードの中国の王適嫻を破ったが、決勝では中国の李雪芮に敗れた[3]

2014年アジア競技大会では3位となり、同大会で初めてメダルを獲得した台湾人バドミントン選手となった[4]。同年の香港オープンでは決勝で日本の奥原希望を下して優勝した。同年のBWFスーパーシリーズファイナルズ英語版には第6シードとして出場し、準決勝ではインドのサイナ・ネワールを、決勝では韓国の成池鉉を下して初優勝した[5]

2015年のシンガポール・オープンでは第5シードとして出場し、第4シードの王儀涵などを下して決勝まで勝ち上がったが、決勝で中国の孫瑜に敗れた[6]。同年のBWFスーパーシリーズでは優勝することができなかった。

2016年6月のインドネシア・オープンでは決勝で中国の王儀涵を下して優勝した。同年8月にブラジルのリオデジャネイロで開催された2016年リオデジャネイロオリンピックのバドミントン競技には第8シードとして出場したが、決勝トーナメント1回戦でインドのシンドゥ・プサルラに敗れた[7]

2016- 編集

 
世界選手権を欠場してまでユニバーシアードに出場した戴資穎

2016年11月の香港オープンでは決勝でインドのシンドゥ・プサルラを下して優勝した。同年12月には台湾人選手として初めてBWF世界ランキングで1位となった[8]。同年のBWFスーパーシリーズファイナルズ英語版には第1シードとして出場し、決勝では2年前と同じく韓国の成池鉉を下して2度目の優勝を飾った[9]李雪芮に続いて同大会で複数回優勝した2人目の選手となり、また同大会で3度決勝に出場した初の選手となった。

2017年シーズン開幕前には、同年8月にスコットランドのグラスゴーで開催される世界バドミントン選手権大会を欠場すると発表し、その代わりに同時期に台湾で開催される2017年夏季ユニバーシアードに出場すると発表した[10]。台湾でユニバーシアードほどの規模のスポーツ大会が開催されることはまれであり、台湾勢の好成績を世界に印象付けたい狙いもあった[10]。戴資穎の決断を蔡英文台湾総統も賞賛し、同年のスポーツエリート賞中国語版では特別功労賞を受賞した[11]

BWF世界ランキング1位でスタートした2017年シーズンは、3月の全英・オープンでは決勝でタイのラチャノック・インタノンを下して優勝した[12]。4月にはマレーシア・オープン[13]シンガポール・オープン[14]2週続けて、決勝でスペインのカロリーナ・マリンを下して優勝した。同じく4月に中国の武漢市で開催されたアジアバドミントン選手権大会では、日本の山口茜を下して優勝した[15]。アジア選手権では台湾人選手として初の優勝だった。これによって、出場した6大会連続で優勝するという快挙を達成している。9月の韓国オープンでは2回戦で、同じく9月のヨネックスオープンジャパンでは1回戦で敗れた。

2018年4月には67週連続で保持してきたBWF世界ランキング1位の座を日本の山口茜に譲ったものの[16]、同じく4月の2018年アジアバドミントン選手権大会で優勝し[17]、わずか2週間の陥落後には1位の座を奪い返した。同年7月から8月に開催された世界バドミントン選手権大会には第1シードとして出場したが、準々決勝で第6シードの中国の何冰嬌に敗れた[18]。8月にインドネシアのジャカルタで開催された2018年アジア競技大会では、決勝でインドのシンドゥ・プサルラを下して優勝した[19]。同年10月のデンマーク・オープンを終えた時点のランキングポイントは101,517点であり、女子では中国の李雪芮以来となる10万点越えを達成した選手となった。同じく10月のフランス・オープンでは準優勝して101,644点とし、かつての李雪芮を上回って歴代最多ポイント記録者となった。

2021年開催の東京オリンピックは第2シードで出場して決勝戦まで勝ち上がり、中国の陳雨菲に敗れたが銀メダルを獲得した

論争 編集

 
2018年台湾オープン

2016年リオデジャネイロオリンピックにおいて、戴資穎は台北バドミントン協会の協賛企業であるヨネックスから提供されたシューズが足に合わなかったとして、個人スポンサーのビクタースポーツのシューズをロゴを隠した状態で履いて試合に出場した。これによって大会後には戴資穎の行動の妥当性について、台北バドミントン協会との間で議論が起こった[20][21]

成績 編集

アジア競技大会 編集

女子シングルス
開催地 対戦相手 スコア 結果
2018 インドネシアジャカルタ   シンドゥ・プサルラ 21–13, 21–16 金メダル
2014 韓国仁川市   李雪芮 16–21, 26–24, 8–21 銅メダル

アジア選手権 編集

女子シングルス
開催地 対戦相手 スコア 結果
2018 中国武漢市   陳雨菲 21–19, 22–20 金メダル
2017 中国武漢市   山口茜 18–21, 21–11, 21–18 金メダル
2015 中国武漢市   ラチャノック・インタノン 22–20, 9–21, 12–21 銅メダル

脚注 編集

  1. ^ バドミントン女子シングルス、中国の陳雨菲が金メダル 東京五輪”. 新華通信社. 2022年9月29日閲覧。
  2. ^ Tai Tsu Ying”. victorsport.com. 2011年7月22日閲覧。
  3. ^ Li Xuerui Crowned at BWF World Superseries Finals Women of China、2013年12月16日
  4. ^ Lee, Chin-wei; Kao, Evelyn. “Tai Tzu-ying wins bronze for Taiwan in women's singles badminton”. Central News Agency. http://focustaiwan.tw/news/aeas/201409270020.aspx 2014年9月27日閲覧。 
  5. ^ Tai Tzu Ying stops the run of India’s Saina Nehwal at BWF Destination Dubai badminton finals The National、2014年12月20日
  6. ^ OUE SINGAPORE OPEN 2015 世界バドミントン連盟
  7. ^ Rio Olympics: Sindhu beats Tai Tzu Ying to reach quarterfinal The Times of India、2016年8月16日
  8. ^ Badminton rankings: Tai Tzu Ying creates history as first Taiwanese shuttler to claim singles top-spot International Business Times、2016年12月2日
  9. ^ Tai Tzu Ying is badminton’s top prize-winner for 2016, with US$271,025 Bad Zine、2016年12月28日
  10. ^ a b BadmintonPlanet.com (2017年9月2日). “Tai Tzu Ying wins two Universiade gold for Taiwan - BadmintonPlanet.com” (英語). BadmintonPlanet.com. http://www.badmintonplanet.com/badminton-news/10806-tai-tzu-ying-wins-two-universiade-gold-taiwan.html 2017年11月18日閲覧。 
  11. ^ President Tsai meets 2017 Universiade athletes, coaches, and staff from Taiwan” (英語). english.president.gov.tw. 2017年11月18日閲覧。
  12. ^ Badminton star Tai Tzu-ying wins All England Open title Taiwan Today、2017年3月15日
  13. ^ Malaysia Open: Tai Tzu Ying claims title of women's singles final Xinhua Net、2017年4月9日
  14. ^ Singapore Open: Tai Tzu Ying trumps Carolina Marin to claim fifth consecutive Superseries title First Post、2017年4月17日
  15. ^ Tai Tzu Ying claims title of women's singles at Badminton Asia Championships Xinhua Net、2017年4月30日
  16. ^ 山口茜が念願の世界ランク1位に輝く! バドスピ、2018年4月19日
  17. ^ Taiwan’s Tai Tzu-ying retains Badminton Asia Championships title Taiwan Today、2018年4月30日
  18. ^ TOTAL BWF WORLD CHAMPIONSHIPS 2018 世界バドミントン選手権大会
  19. ^ “World No. 1 Tzu-ying not surprised that she’s finally beaten”. The Star Online. (2018年8月4日). https://www.thestar.com.my/sport/badminton/2018/08/04/world-no-1-tzuying-not-surprised-that-shes-finally-beaten/ 2018年8月28日閲覧。 
  20. ^ RIO 2016: Badminton quarrel prompts outrage Taipei Times、2016年8月19日
  21. ^ Top badminton player Tai Tzu-ying stands by her actions in shoe row China Post、2016年8月19日

外部リンク 編集