日産・プレサージュ
プレサージュ(PRESAGE)は、日産自動車が生産していたミニバン。初代の生産は栃木工場で、2代目は九州工場(現・日産自動車九州)で行われた。
日産・プレサージュ | |
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概要 | |
製造国 |
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販売期間 | 1998年 - 2009年8月 |
ボディ | |
ボディタイプ | 5ドアミニバン |
系譜 | |
後継 | エルグランドに統合 |
初代 U30型(1998年 - 2003年) 編集
日産・プレサージュ(初代) U30型 | |
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前期型(1998年6月 - 2001年8月) | |
後期型(2001年8月 - 2003年7月) | |
概要 | |
販売期間 | 1998年6月 - 2003年7月 |
ボディ | |
乗車定員 | 7/8人 |
ボディタイプ | 5ドア ミニバン |
駆動方式 | FF/4WD |
パワートレイン | |
エンジン |
VQ30DE 3.0L V6 220PS KA24DE 2.4L 直4 150PS QR25DE 2.5L 直4 165PS YD25DDTi 2.5L 直4 150PS |
変速機 | 4速AT (E-ATx) |
サス前 |
FF車 前: ストラット式 後: マルチリンクビーム式 4WD車 前: ストラット式 後: マルチリンク式 |
サス後 |
FF車 前: ストラット式 後: マルチリンクビーム式 4WD車 前: ストラット式 後: マルチリンク式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,800mm |
全長 | 4,755mm |
全幅 | 1,770mm |
全高 |
1,720-1,725mm 1,700mm(後期型HWS[注釈 1]) |
車両重量 | 1,550-1,810kg |
系譜 | |
先代 | 日産・クエスト(初代) |
1998年6月23日に発売。N30型ルネッサのプラットフォームをベースにオデッセイの対抗車として設計された[1]。一部のメディアやユーザーからはラルゴの後継車として見做される事もあるが、直接的には繋がりは無く、又、シャシーや車格も違うため、全くの新規車種と捉えるのが正しい[2]。
地上高の高いルネッサをベースとしたため、高床パッケージングとなり、販売は低迷傾向であった。[3]全ドアがヒンジドアのオデッセイの対抗車として開発されたため、プレーリージョイに採用されたスライドドアは採用されず[1]、後席ドアも前席ドアと同じ前ヒンジドアを採用した。又、「高級車から乗り換えても違和感の無い高級感」をアピールしていた事もあり、30代から40代のファミリー層のみならず、セドリックやグロリア等の高級車から乗り換える50代から60代の中高年層もターゲットとしていた。1999年11月に発売されたバサラは当車がベースとなっており、バサラは格子状の縦線メッキグリル等でアメリカ的なイメージで更に押し出しと高級感を強めたアグレッシブなデザインとなっているのに対して、プレサージュはクルーザーの錨に似せたフロントグリルに縦線スリットメッキグリル等で日本的な高級感で日本人志向に合わせた押し出しの強さを持ちつつも保守的なデザインとなっていた。
エンジンは、V型6気筒3.0LのVQ30DE型ガソリンエンジン、直列4気筒2.4LのKA24DE型ガソリンエンジン、新開発の直列4気筒・直噴ディーゼル2.5LのYD25DDTi型インタークーラー付ディーゼルターボエンジンの3種類で、全車4速オートマチックが組み合わせられた。
年表 編集
- 1998年
- 1999年
- 2000年
- 1月19日 - 同年3月末までの期間限定車「NAVIエディション」を発売。CIIをベースとし、カーナビとアルミホイールが標準装備となった。また、インテリアには木目調のオーディオパネルなども装備された。専用色として、ホワイトパール(3コートパール)、プラチナシルバーメタリックが設定された。
- 4月3日 - VQ30エンジンを搭載するグレードの名称をクルージングシリーズに変更し、装備と価格を変更。特別仕様車、NAVIエディションIIを発売。NAVIエディションのボディカラーにブラックを追加し、期間限定ではなくカタログモデルへ変更。
- 6月6日 - NAVIエディションIIが装備を一部変更し、NAVIエディションIIIとなる。
- 6月8日 - kid'sバージョン登場。KA24を搭載したCIIをベースに、専用シート生地や電源コンセントなどを装備。
- 11月1日 - CIとCIIの間のグレードとしてCスプレンド登場。KA24エンジンとYD25エンジン搭載車のグレードの一部廃止と名称と装備の変更。
- 2001年8月29日 - マイナーチェンジ。フロントグリルやヘッドランプ、リアコンビネーションランプ、クォーターウインドウ端のプレサージュのロゴがなくなるなどの外装、パネルやステアリングなどの内装を変更。エンジンはKA24DE型エンジンとYD25DDTi型エンジンが廃止され、QR25DEエンジンが追加された。装備が変更されたのに伴い、グレード名が変更された。また、パシフィークがハイウェイスターに、アクシスがライダーにそれぞれグレード名変更。
- 2003年
-
後期型リア
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前期型アクシス
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前期型アクシス リア
2代目 U31型(2003年 - 2009年) 編集
日産・プレサージュ(2代目) U31型 | |
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前期型(2003年7月 - 2006年5月)X 3.5 | |
後期型(2006年5月 - 2009年8月)ハイウェイスター | |
概要 | |
販売期間 | 2003年7月 - 2009年8月 |
ボディ | |
乗車定員 | 8人 |
ボディタイプ | 5ドア ミニバン |
駆動方式 | FF/4WD |
プラットフォーム | FF-Lプラットフォーム |
パワートレイン | |
エンジン |
QR25DE 2.5L 直4 163ps VQ35DE 3.5L V6 231ps |
変速機 |
エクストロニックCVT 4速AT (E-ATx) |
サス前 |
前: ストラット式 後: マルチリンク式 |
サス後 |
前: ストラット式 後: マルチリンク式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,900mm |
全長 |
4,840mm(前期型標準車) 4,870mm(前期型HWS[注釈 1]) 4,865mm(後期型) |
全幅 |
1,800mm 1,825mm(HWS[注釈 1]) |
全高 |
1,685mm(FF車) 1,695mm(4WD車) |
車両重量 | 1,690-1,860kg |
系譜 | |
後継 | 日産・エルグランド (3代目)および日産・ラフェスタ(2代目)に統合 |
2000年ごろには開発が開始され[5]、2003年7月24日にモデルチェンジ。目標月間販売台数は5000台。プラットフォームはFF-Lプラットフォームを採用した。後席ドアには新たに両側スライドドアが、リヤゲートにはガラスハッチが採用された。なお、2列目助手席側のシートは横へスライドさせることができるようになっており、キャプテンシート2人掛けとベンチシート3人掛けとを使い分けることができる。また、先代ではその高床パッケージングが不評であったが、ティアナなどのセダンにも用いられるプラットフォームを使用することにより低床化がなされた。
2006年5月29日には大幅なマイナーチェンジが行われ、それまでの「地味」な印象を廃し、車内外ともにデザインが大幅に変更されたが、これに当たってはフルモデルチェンジに近いマーケティングリサーチが行われた[6]。
なお、初の海外販売として香港に輸出が行われ、追ってシンガポールへも輸出が開始された。ただし、2.5Lエンジン搭載車のみの輸出に留まっている。
メカニズム 編集
エンジンはV型6気筒 3.5L VQ35DE型と、直列4気筒 2.5L QR25DE型の2種類が搭載される。初代に設定されていたディーゼル車は設定されない。VQ35DEエンジン搭載車には、エクストロニックCVTが組み合わせられ、QR25DEエンジン搭載車には4速ATが組み合わせられる。先代は他の日産製RVに多かった前輪のみベンチレーテッドディスクブレーキであったがこの代より4輪ディスクとなった。
また、2006年5月のマイナーチェンジでは、メカニズム的には大きな変更はなかったが、エンジンの静寂性が向上された[7]。
デザイン 編集
車名のロゴは「Presage」から日産の統一書体、NE-01の「PRESAGE」に変更され、同時にプレサージュのエンブレムが廃止されて日産のCIに変更された。
インパネには、プラットフォームを共有するクエストにも採用されたセンターメーターが用いられていたが、2006年5月のマイナーチェンジにて廃止された。なお、クエストも同年にセンターメーターが廃止された。
後のエクストレイルのフルモデルチェンジを機に日産製のモデルからセンターメーター車は完全に廃止され、三菱自動車工業のeKワゴンからのOEM車であるオッティも、eKワゴンのフルモデルチェンジでセンターメーターが廃止になり、そのOEM車であるオッティもフルモデルチェンジの機に名称変更・NMKV越しに共同開発(製造は三菱のまま)されたデイズの販売開始により生産終了となった。これにより、日産の販売ラインナップからセンターメーター車は完全に無くなった。
2006年5月のマイナーチェンジでは、エクステリアデザインも大きく変更され、同社のSUVであるムラーノと共通テーマを持つフロントとなった。また、後期型ハイウェイスターのバンパーにはエルグランドハイウェイスターのテーマが継承されている[5]。
ラインアップ 編集
グレード構成は当初、16インチアルミホイールなどを装備する上級グレードの「X」、16インチフルホイールカバーを装備する「V」、専用フロントグリル、バンパー、17インチホイールを装備する「ハイウェイスター」が用意され、3.5L車は「X」のみに用意された。その後2005年12月のグレード構成見直しにより、標準車のグレード名称が下から「250XG」、「250XGエアロ」、「350XV」となり、排気量がグレード名に付属するようになった。
2006年5月のマイナーチェンジの際にもグレード構成の変更が行われ、下から「250XE」、「250XG」、「250XL」となり、ハイウェイスターのみに3.5Lと2.5L両方のエンジンが用意された。なお、250XEについては2007年6月のマイナーチェンジで250XGに統合された。
年表 編集
- 2003年7月24日 - 発売。
- 2004年
- 2005年
- 2006年
- 5月29日 - マイナーチェンジ。フロントマスクとインパネを大幅に変更。グレードも整理され、3.5Lエンジン搭載車は4WDが廃止されFFのみとなり、ハイウェイスター、ライダー、ライダーSのみとなった。新たに「ライダーαII」が追加された。
- 12月19日 - 特別仕様車「250ハイウェイスターJ」を追加。250ハイウェイスターをベースに、16インチタイヤを装着するなど、装備を一部省略したグレード。
- 2007年
- 2008年10月30日 - 一部改良。カーウイングスナビゲーションシステム(HDD方式)装着車にETCユニットを標準設定とし、一部グレードにオプションで設定していたプラズマクラスターイオンフルオートエアコン、運転席・助手席SRSサイドエアバッグシステム、SRSカーテンエアバッグシステムを全車標準装備化された。
- 2009年
-
前期型V/250XG
-
後期型250XG/XL
-
リア(前期型ハイウェイスター)
-
リア(後期型250ハイウェイスター)
車名の由来 編集
「予感」を意味するフランス語「Presage」から。新時代の生活シーンを予感させ、ドライバーに走りたい気持ち「スポーツ心」を「予感」させるクルマという意味。
脚注 編集
注釈 編集
出典 編集
- ^ a b 新車試乗記 第280回 日産 プレサージュ ハイウエイスター G パッケージ MOTOR DAYS
- ^ ラルゴはプレサージュの共通点は3ナンバーボディーである事とガソリン車は2400㏄エンジンが搭載されている事位であり、ラルゴはセレナをベースとしているのに対してプレサージュはルネッサがベースとなっており、ドアはラルゴはスライドドアでプレサージュはヒンジドア、更にはプレサージュにはラルゴには無いV6エンジンをラインナップしている等相違点は多数存在している。
- ^ 試乗レポート 日産 プレサージュ Car@nifty
- ^ “プレサージュ(日産)1998年6月~2003年5月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月19日). 2020年1月19日閲覧。
- ^ a b 新型プレサージュのすべて デザイン・インタビュー
- ^ 新型プレサージュのすべて 開発ストーリー
- ^ 新型プレサージュのすべて メカニズム詳密解説
- ^ “プレサージュ(日産)のカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月19日). 2020年1月19日閲覧。
参考文献 編集
- モーターファン別冊 ニューモデル速報 第374弾『新型プレサージュのすべて』三栄書房、2006年8月 ISBN 4-7796-0073-1