水田除草機(すいでんじょうそうき)は、除草剤に頼らない水田雑草防除の物理的方法で、動力又は人力でイネの条間・株間の除草をする農業機械農具である。他の防除法としては、布マルチ・再生紙マルチ[1]直播栽培と生物的防除法では合鴨農法ジャンボタニシがある。

概要 編集

水田雑草は、田植え後の7~10日で発生するため、初期除草・中期除草・後期除草の3~5回(7~10日毎)は必要である。また多数回による中耕除草増収効果もある[2][3]。大規模栽培では高能率な乗用型で対応できるが、コスト削減ができる湛水直播栽培では、播種の方法を条播(じょうは)でなく、一定間隔の点播(てんぱ)にしないと株間の除草に対応できない。他の除草剤に頼らない水田雑草防除では耕種的防除法として、深水管理(20cm以上)、2回代かき、冬期湛水、秋期・冬期の耕起、田畑輪換栽培があるので、雑草の種類にあわせた有効な方法を組み合わせる防除法になる。

乗用型 編集

 
オーレック乗用除草機の実演(2017.7.12)
魚沼コシヒカリ圃場(南魚沼市

田植機の種類によって、4条・6条・8条用と条間(じょうかん:田植機走行方向の隙間の幅)の区分では、マット苗(30cm)とポット苗用(33cm)の種類がある。乗用型は作業速度(最速1.2m/s)が速く、除草効果も2回で約80%で、旋回時の欠株率も3%以下となっている。作業能率は、歩行型の4倍で4条タイプが約20分/10a(1)、6条タイプが約14分/10a、8条タイプで約10分/10aと作業負担を軽減している[4][5]2017年4月27日、直進キープ機能付田植機[6]6月16日、自動運転田植機が開発[7]されているので、水田除草機でも対応した実用化が必要である[8][9]

歩行型 編集

動力(2・3・4条・チェーン)[10][11][12][13]と除草下駄がある[14]

手押型 編集

1条・2条・3条(アルミ製)[15]と草刈機用アタッチメント除草[16][17][18]があるが、株間の除草は出来ないタイプである。水田の条間・株間除草対応タイプもある[19][20][21]

その他 編集

歴史 編集

  • 2008年(平成20年)- アイガモロボットの研究が始まる。
  • 2012年(平成24年)- 乗用管理機等に搭載する水田用除草装置の開発[29][30]
  • 2017年(平成29年)- 8月31日、除草機構「回転式レーキ」と「除草刃ローター」付の水田除草機(WEED MAN)の開発[31]
    • 9月14日、除草ボート開発の特許公開[32]
  • 2019年 (令和元年) - 4月16日、水田除草機WEEDMAN(ウィードマン)が、第31回「中小企業優秀新技術・新製品賞」において、優秀賞を受賞[33][34][35]
  • 2021年〈令和3年〉- 6月10日、田んぼ「抑草」ロボットを公開[36]
  • 2022年(令和4年) - 3月、山陽熱工業が乗用型田植機に装着する除草機アタッチメント「楽とーる」(4条・6条仕様)を開発、3月に発売を開始する[37][38][39][40][41]
  • 2023年〈令和5年〉7月9日、田植え機装着型除草装置 楽田楽(らくでんがく)を発表[42][43]

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ 人力敷設機を用いた再生紙マルチ直播シート栽培技術”. 農業・食品産業技術総合研究機構. 2017年12月14日閲覧。
  2. ^ 光合成細菌が生物多様な田んぼを育む【栽培を科学する】”. 養生LABO. 2017年12月13日閲覧。
  3. ^ 江戸時代の農書における水田の多数回中耕除草とその効果”. 2017年12月13日閲覧。
  4. ^ 水田除草機 WEED MAN 特設ページ”. オーレック. 2017年12月13日閲覧。
  5. ^ 水田駆動除草機シリーズ”. みのる産業. 2017年12月13日閲覧。
  6. ^ 業界初!「直進キープ機能付田植機」を新発売”. クボタ. 2017年12月14日閲覧。
  7. ^ (研究成果) 自動運転田植機を開発”. 農業・食品産業技術総合研究機構. 2017年12月14日閲覧。
  8. ^ 「生産性革命」のためのイノベーション創出に向けて”. 総合科学技術・イノベーション会議. 2017年12月14日閲覧。
  9. ^ 自動運転田植機を開発”. SIP生産システムコンソーシアム事務局. 2018年8月2日閲覧。
  10. ^ 【動画あり】苗を傷つけず雑草だけ除去 オーレックが自走式農機開発”. 西日本新聞社 (2020年7月14日). 2020年7月15日閲覧。
  11. ^ 共立 水田除草機 パワーカルチ PC3000/3 実演動画≪タナキカ≫”. YouTube. 2017年12月13日閲覧。
  12. ^ WADO 水田除草機 MSJ-4”. 2017年12月13日閲覧。
  13. ^ チェーン除草機「ジュディー」で除草作業中!”. YouTube. 2017年12月13日閲覧。
  14. ^ 除草下駄”. 朝倉企画. 2017年12月13日閲覧。
  15. ^ 除草機レクチャー:谷戸田に学ぶ。農力向上大作戦!”. YouTube. 2017年12月14日閲覧。
  16. ^ 刈払機アタッチメント 水田カルチ ATC-315S 水田除草機 美善”. 美善. 2020年7月15日閲覧。
  17. ^ すいすいカッター アイガモン”. 平城商事. 2017年12月13日閲覧。
  18. ^ 水田での作業 草刈機用アタッチメント「アイガモン」”. YouTube. 2017年12月13日閲覧。
  19. ^ 水草取りまー”. idechアイデック. 2019年12月31日閲覧。
  20. ^ アイデック「水草取りまー」Weed Shaver Twin 水田除草”. YouTube. 2019年12月31日閲覧。
  21. ^ 【水田除草】中野式除草機が水田除草に革命を起こす”. チョコマシュブログ (2019年8月20日). 2020年7月15日閲覧。
  22. ^ ラジコン除草ボート 草取まつお”. 和仁農園. 2017年12月13日閲覧。
  23. ^ ラジコン除草ボート 草取まつお”. YouTube. 2017年12月13日閲覧。
  24. ^ 新世代農業用機械「アイガモロボット」”. 農林水産省. 2017年12月13日閲覧。
  25. ^ 「小型水田用除草ロボット (アイガモロボット)の開発」”. みのる産業. 2017年12月13日閲覧。
  26. ^ 除草剤を使わずに雑草を抑制 「アイガモロボ」開発本格化”. JAcom農業協同組合新聞. 2022年3月31日閲覧。
  27. ^ 「お掃除ロボみたい!」 田んぼで役立つ“アイガモロボ”を日産の技術者が開発したワケ”. FNNプライムオンライン. 2022年3月31日閲覧。
  28. ^ 「アイガモロボ」有機農法後押し 17都府県で実験中”. 河北新報社. 2022年3月31日閲覧。
  29. ^ 高速作業が可能な水田用除草装置実用化に見通し”. 農業・食品産業技術総合研究機構. 2017年12月13日閲覧。
  30. ^ 吉田隆延, 水上智道「ミッドマウント型高能率水田用除草装置の開発」第77巻4 {pages=243-245、農業食料工学会誌、2015年、2020年4月2日閲覧 
  31. ^ 新製品「水田除草機 WEED MAN(ウィードマン) SJ600・SJ800」を発売いたします”. オーレック. 2017年12月13日閲覧。
  32. ^ 除草用ラジコンボート (JP 2017-158507 A 2017.9.14)”. Patent Concepts. 2017年12月14日閲覧。
  33. ^ 第31回「中小企業優秀新技術・新製品賞」受賞技術・製品一覧”. 公益財団法人 りそな中小企業振興財団 (2019年4月9日). 2020年7月15日閲覧。
  34. ^ [優 秀 賞]水田除草機 WEED MAN”. オーレック (2019年4月9日). 2020年7月15日閲覧。
  35. ^ 水田除草機 WEED MANが「第31回中小企業優秀新技術・新製品賞」優秀賞を受賞いたしました”. オーレック (2019年4月9日). 2020年7月15日閲覧。
  36. ^ 田んぼ「抑草」ロボット公開 坂東 井関農機と有機米デザイン”. 茨城新聞 (2021年6月11日). 2022年3月31日閲覧。
  37. ^ 山陽熱工業の「アタッチ」式除草機で株間と条間を同時除草”. 農村ニュース (2022年2月7日). 2023年2月19日閲覧。
  38. ^ 楽とーる”. 山陽熱工業. 2023年2月19日閲覧。
  39. ^ 水田用除草機「楽とーる」RAKUTOOL走行テスト動画①(令和3年6月)”. 水田除草機「楽とーる」RAKUTOOL 走行動画. 2023年2月19日閲覧。
  40. ^ 水田除草機「楽とーる」RAKUTOOL 走行動画”. 水田除草機「楽とーる」RAKUTOOL 走行動画. 2023年2月19日閲覧。
  41. ^ 田植機に乗りながら株間・条間をらくらく除草! みどり戦略に貢献する「楽とーる」の実演会を開催”. クボタ営農ナビ. 2023年2月19日閲覧。
  42. ^ 田植え機で草取り楽々と 筑北村 坂井の北郷俊明さん 装置を開発 特許申請 ”. 株式会社 市民タイムス (2023年7月9日). 2023年7月11日閲覧。
  43. ^ 田植え機装着型除草装置 楽田楽(らくでんがく)”. shin農研. 2023年7月11日閲覧。

外部リンク 編集