清水寺 (加東市)
兵庫県加東市にある寺院
清水寺(きよみずでら)は、兵庫県加東市にある天台宗の寺院。山号は御嶽山(みたけさん)。本尊は十一面観世音菩薩。西国三十三所第25番札所。同じ西国三十三所の第16番札所である京都市の音羽山清水寺と区別するため播州清水寺と呼ばれる。
清水寺 | |
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根本中堂 | |
所在地 | 兵庫県加東市平木1194 |
位置 | 北緯34度58分20.98秒 東経135度4分54.56秒 / 北緯34.9724944度 東経135.0818222度座標: 北緯34度58分20.98秒 東経135度4分54.56秒 / 北緯34.9724944度 東経135.0818222度 |
山号 | 御嶽山 |
宗派 | 天台宗 |
本尊 | 十一面観世音菩薩(秘仏) |
創建年 | 伝・景行天皇時代 |
開山 | 伝・法道仙人 |
別称 | 播州清水寺 |
札所等 |
西国三十三所第25番 播磨西国三十三箇所第21番 播州薬師霊場第10番 神仏霊場巡拝の道第78番(兵庫第13番) |
文化財 | 大刀 三口 附:拵金具十箇・大字法華経 巻第五(重要文化財)、銅造菩薩立像など(県指定有形文化財) |
公式サイト | 播州清水寺 西国第25番札所|公式サイト |
法人番号 | 5140005016717 |
札所本尊真言:おん ばざら たらま きりく そわか
ご詠歌:あはれみや普(あまね)き門(かど)の品々(しなじな)に なにをかなみのここに清水
歴史
編集寺伝では1,800年前(古墳時代)、天竺(古代インド)僧の法道が創建したとされ、推古天皇35年(627年)に推古天皇直々に根本中堂を建立。さらに神亀2年(725年) 聖武天皇が行基に命じて大講堂を建立したと伝える。
日本へ仏教が伝来したのは6世紀のことであり、「1,800年前に法道が創建」との伝承は後世の付託である。法道は天竺から紫の雲に乗って日本へ渡来したとされる伝説上の人物である。法道開基を伝える寺院は兵庫県南部に集中していることから、「天竺から紫の雲に乗って」云々はともかくとして、その由来につながる仏教者がこの地に存在したことは想定される[1]。
境内
編集駐車場のすぐ上にある仁王門をくぐって左へほぼ平坦な石垣の道を約300m歩くと薬師堂があり、大講堂(標高505m辺り)がある。その右側の石段を上がって行くと途中の右側に地蔵堂、左側に鐘楼がある。石段を上りきると正面に根本中堂がある。その裏側をさらに上がると境内で一番高い標高540m辺りに多宝塔跡がある。
- 根本中堂(本堂、国登録有形文化財) - 1913年(大正2年)に焼失し、1917年(大正6年)7月に再建。本尊十一面観音立像と両脇仏の毘沙門天立像・吉祥天立像は30年に一度の開帳の秘仏で加東市指定有形文化財。
- 地蔵堂 - 1982年(昭和57年)再建。
- 薬師堂 - 1984年(昭和59年)再建。もとは平清盛の義母である池禅尼の創建という。
- 大講堂(札所堂、国登録有形文化財) - 1913年(大正2年)に焼失し、1917年(大正6年)7月に再建[2]。札所本尊千手観音坐像(大正時代作)は拝観可能。
- 本坊(国登録有形文化財) - 1917年(大正6年)再建。
- 客殿(国登録有形文化財) - 1917年(大正6年)再建。
- 鐘楼(国登録有形文化財) - 1913年(大正2年)に焼失し、1920年(大正9年)に再建。開運の鐘と呼ばれる。
- 稲荷社 - 祭神:荼枳尼天尊
- 十三重石塔
- おかげの井戸 - 法道が水神に祈って湧水したといわれる寺名由来の霊泉「滾浄水(こんじょうすい)」。根本中堂の左裏にある。
- 多宝塔(大塔)跡 - 1907年(明治40年)に焼失、1923年(大正12年)に再建されるが、1965年(昭和40年)に台風で層輪が大きく傾く。さらに1973年(昭和48年)夏、落雷のため上層部が崩壊、その後撤去され、現在は基壇だけが残る[3]。
- 月見亭
- 阿弥陀堂跡
- 常行堂跡
- 仁王門 - 1965年(昭和40年)に全壊し、1980年(昭和55年)に再建。金剛力士像は1921年(大正10年)に菅原大三郎が作成したもの。
- 赤松氏範の墓
- 赤松氏範の切腹石
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仁王門
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おかげの井戸
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薬師堂
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鐘楼
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多宝塔(大塔)跡
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本坊
文化財
編集重要文化財
編集国登録有形文化財
編集兵庫県指定有形文化財
編集加東市指定有形文化財
編集- 木造十一面観音菩薩立像 - 檜の一木造、像高139.3cm、平安時代中頃作、1987年(昭和62年)3月31日指定[12]
- 木造毘沙門天立像 - カヤの一木造、像高69.2cm、平安時代中頃作、1987年(昭和62年)3月31日指定
- 木造吉祥天立像 - 檜の寄木造、像高62.2cm、室町時代末期、1987年(昭和62年)3月31日指定
- 天部立像 - 像高146.5cm、2016年(平成28年)3月30日指定
- 紺紙金字妙法蓮華経・経箱 - 2008年(平成20年)3月31日指定
- 清水寺瑞柳院旧記 - 全48丁の小冊子、1995年(平成7年)4月25日指定
- 制札及び制札箱 - 2004年(平成16年)12月22日指定
- 銅椀 - 2008年(平成20年)3月31日指定
加東市指定天然記念物
編集年中行事
編集- 修正会 1月元旦
- 無縁経法要 4月第3日曜日
- 花まつり(仏生会) 5月8日(月おくれ)及び5月5日 - 8日の間の最後の休日
- 精霊会 8月13日 - 15日
- 地蔵盆 8月24日
- 二十六夜待法要 8月26日
- 朝粥会(読経と座禅) 4月 - 12月の毎第3日曜日、午前6時より
- 月例護摩供 毎月第3日曜日、午前8時30分より
前後の札所
編集交通
編集旧摂津国・播磨国・丹波国の3つの国境に位置する御嶽山(標高552m)の山頂付近にあり、かつては2kmの参道を登るしかなかったが、1975年(昭和50年)に登山道路が開通した[13]。
相野駅(JR宝塚線)から神姫バス清水寺行きで終点「清水寺」下車。
- 旧今田町の中心部を経由する便と経由しない便とがあり、所要時間で10分前後の違いがある。タクシー利用の場合は相野駅の案内では所要時間17分となっている。
- 1日2往復のみであるため発車時刻に注意を要する。2便とも清水寺で1時間前後停車ののち相野駅に向けて折り返すため、この時間を利用して参拝するのが一般的である。
- 終点の「清水寺」で下車する際は入山料の500円をバスの運転士が別途徴収する。バスの運賃はICカードでの支払いが可能であるが、入山料の支払いは現金のみである。
周辺
編集脚注
編集- ^ 本節での「法道仙人」に関する記述は、田中日佐夫 『仏像のある風景』(駸々堂出版、1989年)の、87頁 - 97頁に拠っている。
- ^ 『ひょうごの塔』前田重夫/北村泰生、1984年神戸新聞出版センター
- ^ 『ひょうごの塔』前田重夫/北村泰生 1984年神戸新聞出版センター
- ^ “文化遺産データベース「大刀」”. 文化庁. 2015年11月29日閲覧。
- ^ “文化遺産データベース「大字法華経巻第五」”. 文化庁. 2015年11月29日閲覧。
- ^ “文化遺産データベース「清水寺根本中堂」”. 文化庁. 2015年11月29日閲覧。
- ^ “文化遺産データベース「清水寺大講堂」”. 文化庁. 2015年11月29日閲覧。
- ^ “文化遺産データベース「清水寺鐘楼」”. 文化庁. 2015年11月29日閲覧。
- ^ “文化遺産データベース「清水寺本坊」”. 文化庁. 2015年11月29日閲覧。
- ^ “文化遺産データベース「清水寺客殿」”. 文化庁. 2015年11月29日閲覧。
- ^ “県指定文化財”. 加東市 (2017年11月10日). 2020年3月9日閲覧。
- ^ “市指定文化財”. 加東市 (2017年11月15日). 2020年3月9日閲覧。
- ^ 『西国三十三所めぐり』JTB パブリッシング〈楽学ブックス〉、2015年、118頁。ISBN 978-4-533-10722-1。