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準男爵准男爵、じゅんだんしゃく)、バロネット(baronet)は、イギリス世襲称号の1つ、またそれを持つ者。男爵(baron)の下、ナイト(knight)の上に位置する[1]

準男爵は世襲称号の中では最下位で、貴族ではなく平民である[2]貴族院にも議席を有さない[3]。敬称はナイトと同様であるが、一代限りのナイトと違って世襲の称号である。

女性形はバロネテス(baronetess)で、女準男爵と訳すことがある。これは女性が当主である場合である。準男爵の妻はレディ(lady)の敬称で呼ばれる[4]。短縮形は、baronetはBtまたはBart、baronetessはBtss

目次

創設の経緯編集

アイルランド征服・開拓のための資金を渇望していたイングランドジェームズ1世が集金目的で1611年5月22日の勅許で新しく創設した称号である。兵士30人を3年間養える費用(1,095ポンド)を献納した地主に与えられた[5][6][7]

当初は200人に限定するはずであったが、ジェームズ1世の治世末にはすでに200人を超えており、価格も1619年には700ポンド、1622年には220ポンドと急速に下落した[4]

1619年にはアイルランド準男爵、1622年にはスコットランド準男爵位が創設され、アイルランドとスコットランドでも売りに出された[4]1707年にイングランドとスコットランドが合同してグレートブリテン王国が成立するとグレートブリテン準男爵が創設され、1801年にアイルランドも合同して連合王国が成立すると連合王国准男爵が創設された[1]

名前の呼ばれ方・表記方法編集

男性の准男爵編集

男性の准男爵の敬称サー(Sir)であり、「サー」はファーストネームあるいはファーストネーム+苗字とともに付けられ、苗字だけには付けられない。首相を務めた第2代準男爵サー・ロバート・ピールの場合で言えば、「サー・ロバート」あるいは「サー・ロバート・ピール」とは呼ばれても「サー・ピール」とは呼ばれない[8]

表記においては、名前の後に「Bart.」もしくは「Bt.」を付ける。たとえば、「Sir Robert Peel, Bt.」のように表記される[8]

男性の准男爵の配偶者の敬称はレディのあとに苗字だけをつけられる(例:レディ・ピール)。ただし2人以上が同じ敬称となる場合はファーストネームをつけられる(例:レディ・アン・ピールとレディ・ローズ・ピール)。

女准男爵編集

女准男爵の敬称デイム(Dame)であり、「デイム」はファーストネームあるいはファーストネーム+苗字とともに付けられ、苗字だけには付けられない。たとえばデイジー・ダンバー准男爵の場合で言えば、「デイム・デイジー」あるいは「デイム・デイジー・ダンバー」とは呼ばれても「デイム・ダンバー」とは呼ばれない。

表記においては、名前の後に「Btss」を付ける。たとえばデイジー・ダンバー准男爵の場合、「Dame Daisy Dumber Btss」のように表記される。

女准男爵の配偶者には敬称は用いられない。

宮中席次編集

一代貴族の庶子の下、ナイトの上が席次である[8]

近年の傾向編集

かつては商工業界の成功者には準男爵位を与えられることが多かったが、19世紀からはこうした層にも貴族の爵位が与えられることが増えていき、準男爵位の授与は減少した。20世紀半ばに一代貴族制度が誕生すると一層激減した[8]

1964年以降は叙任例がなくなっていたが[9]1991年にはデニス・サッチャーマーガレット・サッチャーの夫)が妻を支えた功績から準男爵位に叙せられた[8]

著名な準男爵編集

Category:イギリスの準男爵も参照

参考文献編集

  • 小川賢治『勲章の社会学』晃洋書房、2009年(平成21年)。ISBN 978-4771020399
  • 君塚直隆『女王陛下のブルーリボン ガーター勲章とイギリス外交』NTT出版、2004年(平成16年)。ISBN 978-4757140738
  • 神戸史雄『イギリス憲法読本』丸善出版サービスセンター、2005年(平成17年)。ISBN 978-4896301793
  • 松村赳富田虎男『英米史辞典』研究社、2000年(平成12年)。ISBN 978-4767430478

脚注編集