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遠泳(えんえい)とは、海、湖、川など、自然の水の中で長い距離を泳ぐことをいう。日本では学校などを中心に集団で行うものがよく知られる。大人数が列をなして泳ぐさまは夏の風物詩とされ、季語にもなっている。

国際的に明確なルールを定めている長距離の競泳競技については、オープンウォータースイミングを参照。

目次

歴史編集

江戸時代の日本では各において武芸十八般の1つとして水術の修得が奨励された。日本泳法の流派の1つ、観海流はより長く泳ぐために発生したもので、津藩が採用したものである。平泳ぎを基本としたその泳法は遠泳に適しているとされる。観海流には陣笠鉢巻水衣水褌などを着用し、陣太鼓にあわせて掛け声をかけながら集団で遠泳を行う「古式沖渡り」がある。明治時代になるとこれらの泳ぎを修得する機会として、遠泳が海軍学校教育において採り入れられた。昭和期にはさまざまな形式で遠泳大会が各地の海水浴場で開かれた。

現代の遠泳編集

昭和期からつづく、狭義の遠泳について述べる。現代でも臨海学校を行う学校では、その行事としてしばしば海・湖などで遠泳を実施し、生徒たちが隊列を組んで集団で泳ぐ。最後まで隊列を崩さずに全員が完泳することが目標である。そのために個々人の泳力の向上が求められることはもちろん、一定のペースで泳ぐこと、周囲の状況を確認しながら(原則として顔を上げたまま)泳ぐこと、潮流・潮汐・波浪・風の影響や強い日射に耐え、足のつかない(底の見えない)深さに対する恐怖心・不安感を克服すること、全員で1つの目標を達成する協調性も求められる。

泳力のある指導者が隊列の先頭・後方・外側で隊列全体に目を配り、方向を示し、脱落しそうな者を発見次第接近して安全を確保する。また、責任者は船で伴走して生徒を支援、監視し、遠泳継続不能な者は伴走船に収容する。トラブルに備え、参加者全員を収容できるだけの伴走船が準備される。

速く泳ぐことよりも長い距離を泳ぎ切ることに主眼がおかれ、精神的および肉体的鍛錬の1つとして位置づけられている。団体で泳ぐことで、集団生活における協調性を養うことや、ともに完泳することによって互いに達成感を共有し、仲間との精神的一体感を醸成することもその目的である。伝統校には、今日でも古式に則った形式で泳ぐ学校もある。

伝統行事として遠泳を行なっている主な学校編集

東京学芸大学附属小金井小学校

海峡横断泳編集

長距離を泳ぐという意味では遠泳であるが、上記、狭義の遠泳とは質的に異なるスポーツである。冒険的要素を含んだスポーツであり、第一に泳ぎ切る事に意義がある。多くは単独泳(当然、支援船・支援者は多数)だが、リレー形式をとることもある。10時間を超える場合もあり、体温の維持、飲食物の補給に十分な配慮が必要である。挑戦者が多い有名な海峡横断泳では記録が公認されるなどの組織的な活動が見られる。有名な海峡横断泳には、ドーバー海峡横断泳(イギリス・フランス)、ロットネス海峡横断泳(オーストラリア)、オーシャンズセブン制覇などがある。

2013年9月2日14時前、64歳の女性ダイアナ・ナイアド英語版が5度目の挑戦でサメ除けケージなしでは史上初めてフロリダ海峡キューバハバナ〜米フロリダ州キーウェスト間)の約110マイル(177km)を、53時間で泳ぎ渡った(8月31日9時前出発)[4][5]

日本での海峡横断泳の実績は以下の通り

海峡 方向 距離 氏名 日付 時間 備考
津軽海峡 北→青 27km スティーブン・レッドモンド 1990年7月 6時間16分
青→北 6時間34分
北→青 五十嵐憲 1999年7月 11時間30分
青→北 藤田美幸 2005年8月30日 11時間36分
宗谷海峡 日→露 43Km 五十嵐憲 2002年7月 20時間1分
対馬海峡 日→韓 56Km 2003年7月 18時間37分 3日に分けて実施
奥尻海峡 奥→北 27km 2006年8月14日 13時間30分

オープンウォータースイミング編集

本質的に上記の遠泳とは異なる、自然環境における長距離の競泳である。詳しくはオープンウォータースイミング(OWS)を参照。

脚注編集

  1. ^ 伝統の遠泳 海上自衛隊第1術科学校
  2. ^ 臨海学校(沼津游泳) 学習院中等科
  3. ^ 伝統に根ざした臨海教室
  4. ^ “Diana Nyad Completes Record-Breaking Cuba to Florida Swim” - NBC Miami(2013年9月3日). 2013年9月4日閲覧。
  5. ^ “64歳米女性、キューバからフロリダ海峡横断に成功” - CNN.co.jp(CNNj (2013年9月3日). 2013年9月4日閲覧。

参考文献編集

外部リンク編集