長良川鉄道ながら3形客車
長良川鉄道ながら3形客車(ながらがわてつどうながら3がたきゃくしゃ)は日本国有鉄道(国鉄)ヨ8000形から2両が改造され、1992年(平成4年)から2003年(平成15年)まで使用された長良川鉄道のトロッコ列車用の客車である[7][4]。本項ではながら3形と編成を組んで使用された国鉄ヨ6000形改造の長良川鉄道ながら5形客車(ながらがわてつどうながら5がたきゃくしゃ)、国鉄トキ25000形改造の長良川鉄道ながら7形客車(ながらがわてつどうながら7がたきゃくしゃ)についても記載する。
長良川鉄道ながら3形客車 ながら5形客車・ながら7形客車 | |
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基本情報 | |
改造年 | 1992年 [1] |
運用開始 | 1992年4月29日[2] |
運用終了 | 2003年7月21日[4] |
廃車 | 2005年12月6日[3] |
投入先 | 長良川鉄道越美南線美濃市駅 - 北濃駅[5] |
主要諸元 | |
軌間 | 1,067 mm[4] |
制動装置 | 自動ブレーキ[6] |
備考 | ながら3形、ながら5形、ながら7形共通の値のみ記載 |
概要
編集国鉄越美南線では、国鉄末期にトロッコ列車が運転されていたが、1986年(昭和61年)12月に第三セクター鉄道である長良川鉄道に転換されて以降は運転が休止されていた[5]。長良川沿いの風光明媚な路線を観光資源として活用するため、国鉄ヨ6000形、ヨ8000形、トキ25000形を購入して改造した5両編成の遊覧式トロッコ列車が導入され、保線用車両を改造したNTB-209形機関車に牽引される形で1992年(平成4年)から運転を開始した[5]。好調な乗車率で運転されていた[2]が、2003年(平成15年)7月21日に脱線事故[4]を起こして運転が休止され、再開されないまま2005年(平成17年)に5両全車が廃車された[3]。
形式 | ながら3形 | ながら5形 | ながら7形 | ||
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車両番号 | 3001 | 3002 | 5001 | 5002 | 7001 |
種車[8] | ヨ8921 | ヨ8214 | ヨ6559 | ヨ6000形 (番号不詳) |
トキ26026 |
車両定員[6] | 11人 | 16人 | 52人 | ||
自重[6] | 10.3 t | 9.2 t | 17.5 t | ||
全長[6] | 7,200 mm | 14,186 mm | |||
車体長 | 6,400 mm | 13,386 mm[5] | |||
全幅[6] | 2,660 mm | 2,680 mm | 2,685 mm | ||
車体幅 | 2,622.6 mm | ? | 2,685 mm[5] | ||
全高[6] | 4,075 mm | 3,620 mm | 3,640 mm | ||
床面高さ | 1,135 mm | ? | 1,200 mm[5] | ||
台車 | 2段リンク式 | TR213[9] | |||
車輪径 | 860 mm | 860 mm[9] | |||
固定軸距 | 3,900 mm[4] | 1,650 mm[9] | |||
台車中心間距離 | - | 9,384 mm[5] |
改造内容
編集車掌車を改造したながら3形、ながら5形は室内に座席をそれぞれ11脚、16脚設置、デッキ部にはシリンダで開閉するドアが設置された。ドアが開いている際に点灯する赤色の車側灯も設けられた[5]。無蓋貨車を改造したながら7形には52脚の座席と屋根が設けられたが、窓などは設けられず、オープン構造となった[5]。妻部には各車間をつなぐ通路が設置された[5]。全車白く塗装され、ピンク、緑、青の帯がまかれた。
運用
編集1992年(平成4年)4月28日からモーターカーを改造したNTB-209形に牽引される 3001(とみか) - 5001(しろとり) - 7001(トロッコ車) - 5002(みのし) - 3002(はちまん)の編成で長良川鉄道越美南線美濃市駅 – 北濃駅間で運転を開始した[2]。NTB-209形は北濃駅では転車台で、美濃市駅では自車に設けられた転向装置で転向した[5]。2003年(平成15年)7月21日に牽引機が脱線事故を起こし、以降運休となった[4]。枕木が劣化していたため犬釘を保持する力が弱まり、当時の長良川鉄道で転向横圧が最大だったNTB-209形が通過した際に横圧を支えきれず、軌間が広がったことが原因とされる[4]。脱線後、NTB-209形の転向装置を活用して復線、安全な場所まで移動している[4]。事故後、トロッコ列車の運転は再開されないまま2004年度にながら3形・5形・7形は全車休車となり[10]、2005年(平成17年)に5両全車が廃車された[11]。
出典
編集- ^ 『新車年鑑1993年版』p103
- ^ a b c 『新車年鑑1993年版』p135
- ^ a b 『鉄道車両年鑑2006年版』p216
- ^ a b c d e f g h 『長良川鉄道株式会社 越美南線福野駅-美並苅安駅間 列車脱線事故』
- ^ a b c d e f g h i j k 『新車年鑑1993年版』p134
- ^ a b c d e f 『新車年鑑1993年版』p186
- ^ 『新車年鑑1993年版』p194
- ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻678号p65
- ^ a b c 『台車近影 TR213』
- ^ 『鉄道車両年鑑2005年版』p104
- ^ 『鉄道車両年鑑2006年版』p132
参考文献
編集雑誌記事
編集- 『鉄道ピクトリアル』通巻582号「新車年鑑1993年版」(1993年10月・電気車研究会)
- 藤井信夫、大幡哲海、岸上明彦「各社別車両情勢」 pp. 96-110
- 長良川鉄道(株) 宮地一二三「長良川鉄道 NTB-209形、ながら3・5・7形(トロッコ列車用)」 pp. 134-135
- 「車両諸元表」 pp. 184-186
- 「1992年度車両動向」 pp. 187-209
- 『鉄道ピクトリアル』通巻678号「特集 譲渡車両」(1999年12月・電気車研究会)
- 鉄道ピクトリアル編集部「現有旅客用譲渡車両一覧」 pp. 62-68
- 『鉄道ピクトリアル』通巻767号「鉄道車両年鑑2005年版」(2005年10月・電気車研究会)
- 岸上 明彦「2004年度民鉄車両動向」 pp. 116-141
- 『鉄道ピクトリアル』通巻767号「鉄道車両年鑑2006年版」(2006年10月・電気車研究会)
- 岸上 明彦「2005年度民鉄車両動向」 pp. 118-140
- 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 205-220
Web資料
編集- “鉄道事故調査報告書 長良川鉄道株式会社 越美南線福野駅-美並苅安駅間 列車脱線事故” (pdf). 航空・鉄道事故調査委員会 (2004年6月25日). 2017年9月10日閲覧。
- “台車近影 TR213/樽見鉄道うすずみ1形”. 鉄道ホビダス (2006年2月3日). 2017年7月11日閲覧。