能
日本の伝統芸能
(雑能から転送)
江戸時代までは猿楽と呼ばれ、狂言とともに能楽と総称されるようになったのは明治維新後のことである。

能(翁奉納 春日神社 (丹波篠山市))
解説編集
能という語は、元々特定の芸能をさすものではなく、物真似や滑稽芸でない芸能でストーリーのあるもののことを全般に指す語であり、猿楽以外にもこれが用いられていたが、猿楽が盛んになるとともにほとんど猿楽の能の略称となった[1]。そして1881年(明治14年)能楽社の設立を機に猿楽を能楽と改称したため能楽の能を指す語となったものであり、能楽のうち超自然的なものを題材とした歌舞劇のことで比較的高尚なものである[2]。往々にして「能楽」と「能」を同義に用いたりする向きもあるが、誤りである[3]。「能楽」については2008年にユネスコの無形文化遺産に登録された。[4]
主な曲目編集
本節では中世に成立した古典の曲目のうち、現在でも頻繁に上演されているものを紹介する。これらは現行曲と呼ばれ、流派によって異なるが、おおむね二百数十番が現行曲とされている。しかし歴史的にはこれらの他にも2000番から3000番程度の曲が作成されている。これら廃曲となった曲の中には、現代になって再演を試みられる(復曲)こともある。また近代や現代においても新しい曲が書かれることがある。これらは新作能と呼ばれる[5]。
物狂・執心・怨霊・人情など他のジャンルに分類出来ないものは「雑能」(四番目物)と呼ばれる[要出典]。
- 脇能物(初番目物)
- 男神物(高砂、養老など)
- 女神物(西王母、右近など)
- 老神物(放生川(ほうじょうがわ)、老松、白楽天)
- 異神物(東方朔、源太夫、難波、道明寺など)
- 荒神物(江島、和布刈(めかり)、賀茂など)
- 三番目物
- 本髭物(井筒、源氏供養、 松風など)
- 老女物(檜垣、姨捨[6])
- 美男物(小塩、雲林院)
- 精天仙物(杜若、 胡蝶、初雪など)
- 老精物(西行桜、遊行桜、花軍)
- 現在鬘物(祇王、籠祇王、 熊野[7]、大原御幸(おはらごこう)など)
- 現在老女物(関寺小町、鸚鵡小町、卒塔婆小町)
脚注編集
- ^ 国指定文化財等データベース - 重要無形文化財 能楽
- ^ 実世界に題材を求めた世俗的な科白劇が狂言
- ^ 『新版 能・狂言事典』、310頁
- ^ Le théâtre Nôgaku
- ^ 氷川まりこ・梅若六郎『能の新世紀』
- ^ 金剛流・喜多流では伯母捨
- ^ 喜多流では湯谷
参考文献編集
- 西野春雄 羽田昶『新版 能・狂言事典』平凡社、2011年 ISBN 978-4-582-12641-9
- 氷川まりこ・梅若六郎『能の新世紀』小学館、2002年 ISBN 4-09-343151-5
関連項目編集
外部リンク編集
- 国指定文化財等データベース - 重要無形文化財 能楽
- 独立行政法人 日本芸術文化振興会 能楽への誘い
- 公益社団法人 能楽協会
- NPO法人 せんす
- 能楽ジャーナル
- 謡曲集
- 謡曲通解(google books) - 謡曲集。著作権切れのため全文閲覧可。
- 大和田建樹『謡曲通解』博文館、1896年11月、増補。doi:10.11501/876558。
- 半魚文庫、謡曲三百五十番集