魔女の旅々』(まじょのたびたび)は、白石定規による日本ライトノベル。イラストはあずーるが担当している。連作短編集としてGAノベルSBクリエイティブ)より2016年4月から刊行されている。

魔女の旅々
ジャンル ファンタジー
小説
著者 白石定規
イラスト あずーる
出版社 SBクリエイティブ
レーベル GAノベル
刊行期間 2016年4月14日 -
巻数 既刊11巻(2019年11月現在)
漫画
原作・原案など
  • 白石定規(原作)
  • あずーる(キャラクター原案)
作画 七緒一綺
出版社 スクウェア・エニックス
掲載サイト マンガUP!
レーベル ガンガンコミックスUP!
発表期間 2018年11月29日 -
巻数 既刊1巻(2019年4月現在)
アニメ
原作 白石定規
監督 窪岡俊之
シリーズ構成 筆安一幸
脚本 筆安一幸
キャラクターデザイン 小田武士
アニメーション制作 C2C
放送局 未定
放送期間 未定 -
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル漫画アニメ
ポータル 文学漫画アニメ

概要編集

2014年Amazon Kindleで公開された『魔女の旅々』シリーズをGA文庫の編集者によって大幅加筆修正された形で文庫化された。『このライトノベルがすごい!』(宝島社刊)では2018年版で単行本・ノベルズ部門9位、2019年版で同6位に入っている。

タイトルの「旅々(たびたび)」という単語は、当初タイトルにする予定だった「魔女の旅」では安直すぎ、他のものと被る恐れがあると考えた作者による造語[1]

2017年3月13日にGA文庫により刊行した『リリエールと祈りの国』(リリエールといのりのくに)は、魔女の旅々の世界観を引き継いだ続編となっている[2]

2018年3月漫画版の連載とドラマCD化が発表された[3]

内容編集

魔法が存在する中世に似た世界を舞台とし、その世界で旅する魔女イレイナが様々な場所や人を訪れるという短編形式。一つ一つの話は長くとも中編程度。

基本的には一話完結だが時に話と話に繋がりがある場合があり、3巻では短編集でありながら各話に伏線を交えており、見方によっては長編のようにも読めるという形式になっている[注釈 1]

物語は基本的にイレイナ、あるいはその他の人物の一人称で語られ、三人称視点は用いられない。

登場人物編集

担当声優は特記がない限りドラマCD版およびテレビアニメ版ともに共通。

主要人物編集

イレイナ
声 - 本渡楓[7][8]
本作の主人公。15歳という若さで魔法使いの最高位「魔女」となった18歳の天才少女。二つ名は『灰の魔女』。誕生日は10月17日。灰色の長い髪を持ち、魔女として活動している間は黒いローブと三角帽子、魔女の証である「星を模ったブローチ」を胸元に身に着けている。容姿は自分自身でも「誰もが振り返り、ため息をこぼしてしまうほどの美貌」[9]と表現するほどで、実際に大抵の登場人物には美少女と形容されている[注釈 2]。旅の状況に応じて服装を変えることがある他、自身の姿自体を魔法で動物や別人に変身させることもある[注釈 3]
故郷の平和国ロベッタで魔術試験に合格し、ロベッタの近くの森で暮らしていた星屑の魔女フランの下で修業した後に旅を始める[11]
他の旅人や商人などからの評判を聞いて訪れる国を決めたり[10]、初めて見た列車に「面白そう」という理由で乗ろうとしたり[12]、好奇心が非常に強い。誰に対しても丁寧語を用いて接するが、癖の強い人物やイレイナの癪に障るような発言をした人物には暴言に近い毒舌を放つ[注釈 4]。性格は素直ではなく、金銭に対する執着がやや強く[注釈 5]自身の手に負えない状況には諦めたような反応を示して何も手出しせず、急いで次の国へと向かうなど冷淡な対応をすることも多い[注釈 6]。しかし一方で困っている人や困難に立ち向かおうとする人には自ら進んで報酬や苦労を顧みず協力することも多い。
仕事は主に国や人物から依頼を受け、それを解決する形で金銭を稼いでいるが[14]、その他にも出会った人物の問題に半ば強制的に巻き込まれたり[15]、あるいは自分から報酬を顧みず進んで事件を解決しようとすることもある[16]。その他、魔法や話術を使った詐欺に近い交渉で金銭を稼ぐことも多い[14]。稀に自分自身がなんらかの標的になってしまい、非常に厄介な状況に陥ってしまった話もいくつかある[9]
「正直者の国」では魔力を放出する剣で武装した国王を無力化し[16]、「古びた国」から脱出する時には体調不良のうえ両手が塞がっている状態から魔女を倒し[17]、「願いをかなえる国」での粗暴な私と無個性な私の1対1の戦闘で国の半分以上が瓦礫の山と化すなど[18]、魔法を用いた戦闘技術は非常に卓越している。しかし本人も認めるほどに魔法を使うための杖が無ければ何もできず、ある事故で杖そのものが人間の女性となってしまった時には自身に劣情を持って押し倒してきた杖にどうすることもできず唇を奪われそうになった[5]
「魔法使いの国」では早期の段階から自分のブローチを盗んだ人物の正体に感づいており[9]、「正直者の国」にかかった「嘘をつけない魔法」の欠陥を見抜き[16]、「願いをかなえる国」での自分の状況や過去に聞いた普通の人間から魔女になったシャルロッテの話から悪魔の正体に気付くなど[18]、洞察力も高い。一方で想定していなかった事態には弱く、「民なき国」や「時計郷ロストルフ」では自分の力で解決できると思っていた事件が予想していなかった最悪の結末を迎えてしまい、逃げるように国を去った[19][20]。スリーサイズは95、55、85と本人は言っているが、作中で着替えさせられる際、胸が足りないことをしばしば指摘されている[21][22]ので本当かどうかは怪しい。

準主要人物編集

サヤ
声 - 黒沢ともよ[7][8]
魔女見習いの少女。「魔法使いの国」にある宿屋で働いていた。第2巻以降は魔法統括協会所属の『炭の魔女』。一人称は「ぼく」。短く切り揃えられた艶のある黒髪[23]と黒のローブを身に着けている。小説第2巻からは魔女の証であるブローチを身に着け、イレイナから貰ったお揃いの黒い三角帽子を被っている。
東国の生まれだったが魔女見習いになるため、妹と共に「魔法使いの国」へとやってきた。しかし自分より先に妹だけが魔術試験に合格してしまい、焦りと孤独感に苛まれていたところでイレイナと出会う。妹が傍に居ない寂しさを埋めるために、「魔法使いの国」にてイレイナから魔女のブローチを盗んで隠し持ち、ブローチを見つけ出さない限り国から離れられない彼女の事情を利用して、表向きはブローチ探しを手伝いながら共に宿屋で暮らしていた。しかしブローチ紛失から五日目の夜、イレイナに自身の罪を追求され、説教を受けて改心。以降イレイナとの特訓を活かして魔術試験に挑戦を続け、努力が実り魔女となる。[9]
「正直者の国」でイレイナと再会した際には運命について語りながら求婚したり[24]、「旅人が刻む壁」に彼女への劣情をひたすらに書き綴るなど[25]、イレイナのことを過剰なほどに慕っている。当初は孤独に弱く、他者への依存性が強い性格だったが、「一人で戦うこと」について説教を受けて以降は前向きな性格になった[注釈 7]
フラン
声 - 花澤香菜[7][8]
イレイナに魔法を伝授した師匠。有名な魔法使いだったらしく、旅の途中で度々イレイナが彼女のことを聞かされる。13歳の頃に故郷の国である深い森のビエラで生贄として口封じに殺されそうになったが、イレイナの母親らしき魔女に助けられ、彼女の弟子になる[26]。二つ名は『星屑の魔女』。
アムネシア
声 - 小原好美[7]
アヴィリア
声 - 岡咲美保[7]

その他の人物編集

筋肉の人
本名不明。誘拐された妹を救出すべく、鍛錬をしていた最中イレイナに出会う。

既刊一覧編集

小説編集

巻数 タイトル 発売日[27] ISBNコード
1 魔女の旅々 2016年4月15日 ISBN 978-4-7973-8435-2
2 魔女の旅々2 2016年7月15日 ISBN 978-4-7973-8816-9
3 魔女の旅々3 2016年12月15日 ISBN 978-4-7973-8924-1
4 魔女の旅々4 2017年7月15日 ISBN 978-4-7973-9286-9
5 魔女の旅々5 2017年11月15日 ISBN 978-4-7973-9399-6
6 魔女の旅々6 2018年3月15日 ISBN 978-4-7973-9565-5
7 魔女の旅々7 2018年7月14日 ISBN 978-4-7973-9613-3
8 魔女の旅々8 2018年11月15日
9 魔女の旅々9 2019年4月15日 ISBN 978-4-8156-0099-0
10 魔女の旅々10 2019年8月9日
11 魔女の旅々11 2019年11月14日 ISBN 978-4-8156-0374-8

漫画編集

巻数 発売日 ISBNコード
1 2019年4月12日 ISBN 978-4-7575-6093-2

テレビアニメ編集

2019年10月、テレビアニメ化が発表された[8]

スタッフ編集

  • 原作 - 白石定規[8]
  • キャラクター原案 - あずーる[8]
  • 監督 - 窪岡俊之[8]
  • シリーズ構成・脚本 - 筆安一幸[8]
  • キャラクターデザイン - 小田武士[8]
  • コンセプトデザイン - 内尾和正[8]
  • アニメーション制作 - C2C[8]

脚注編集

[ヘルプ]

注釈編集

  1. ^ 小説第3巻の第5章[4]、7章[5]、9章[6]の物々語など。
  2. ^ 美的感覚が反転している「不細工を虐げる国」[10]では門の向こう側に住む国民の大半に外見を馬鹿にされるという経験をした。
  3. ^ 「行動しやすい」という理由でネズミに変身することを好む。
  4. ^ 相手に対してあまりにも腹が立っている場合には口に出さず、内心で暴言を連ねていることも多い。
  5. ^ 依頼の報酬などで人から金を取る際にはこの世界で非常に高価な金貨を要求することが多い
  6. ^ 解決したいという気持ちが無いわけではなく、「雪がとけるまでに」[13]では獣人の少女エリーゼを救うために、「こなせるかどうか分からない」と感じながらも依頼人の注文に応え尽力していた。
  7. ^ 「正直者の国」[24]でイレイナと別れる際にも「会えなかったらここが最後」という言葉に対して自信を持って「最後になんてさせませんよ」と答えた。

出典編集

  1. ^ 白石定規 2016a, p. 339, 第1巻あとがき.
  2. ^ 「魔女の旅々」の世界観を引き継ぐ、白石定規×あずーるの新シリーズ!! – GA文庫ブログ”. SBクリエイティブ (2017年1月20日). 2017年5月4日閲覧。
  3. ^ “『魔女の旅々』のドラマCD化&コミカライズが決定 長い旅を続ける魔女の新たな別れと出会うための物語”. ラノベニュースオンライン. (2018年3月14日). http://ln-news.com/archives/70430/ 2018年10月15日閲覧。 
  4. ^ 白石定規 2016c, p. 56, 第3巻第5章「物々語:小賢しい師匠と賢しい弟子」.
  5. ^ a b 白石定規 2016c, p. 93, 第3巻第7章「物々語:賢しい弟子と生ける物」.
  6. ^ 白石定規 2016c, p. 123, 第3巻第9章「物々語:廃墟に蔓延る」.
  7. ^ a b c d e “『魔女の旅々』のドラマCDキャストが発表 イレイナ役を本渡楓さん、フラン役を花澤香菜さんなど”. ラノベニュースオンライン. (2018年7月10日). http://ln-news.com/archives/76672/ 2018年10月14日閲覧。 
  8. ^ a b c d e f g h i j k 人気小説『魔女の旅々』がTVアニメ化決定! 気になる出演声優は、本渡楓さん・花澤香菜さん・黒沢ともよさん!”. アニメイトタイムズ (2019年10月19日). 2019年10月20日閲覧。
  9. ^ a b c d 白石定規 2016a, p. 3, 第1巻第1章「魔法使いの国」.
  10. ^ a b 白石定規 2016a, p. 223, 第1巻第11章「不細工を虐げる国」.
  11. ^ 白石定規 2016a, p. 168, 第1巻第9章「魔女見習いイレイナ」.
  12. ^ 白石定規 2016b, p. 5, 第2巻第1章「魔法使いの為の国」.
  13. ^ 白石定規 2016b, p. 80, 第2巻第6章「雪がとけるまでに」.
  14. ^ a b 白石定規 2016a, p. 70, 第1巻第4章「資金調達」.
  15. ^ 白石定規 2016a, p. 148, 第1巻第8章「旅の途中:女の子を取り合う二人の男の話」.
  16. ^ a b c 白石定規 2016b, p. 134, 第2巻8章「正直者の国」.
  17. ^ 白石定規 2016b, p. 260, 第2巻第14章「古びた国とネコ神様の再生」.
  18. ^ a b 白石定規 2016c, p. 288, 第3巻第14章「ありとあらゆるありふれた灰の魔女の物語」.
  19. ^ 白石定規 2016a, p. 245, 第1巻第12章「民なき国の王女」.
  20. ^ 白石定規 2016c, p. 186, 第3巻第11章「遡る嘆き」.
  21. ^ 白石定規 2016, p. 206, 第1巻第10章「緩やかに歩み寄る穏やかな死」.
  22. ^ 白石定規 2019, p. 214, 第9巻第4章「灰かぶり」.
  23. ^ 白石定規 2016b, p. 144, 第2巻第8章「正直者の国」.
  24. ^ a b 白石定規 2016b, p. 134, 第2巻第8章「正直者の国」.
  25. ^ 白石定規 2016c, p. 232, 第3巻第12章「旅人が刻む壁」.
  26. ^ 白石定規 2018, p. 230, 第8巻第7章「星屑が降る夜」.
  27. ^ 魔女の旅々”. SBクリエイティブ. 2019年11月14日閲覧。

参考文献編集

  • 白石定規『魔女の旅々 = THE JOURNEY OF ELAINA』SBクリエイティブ〈GAノベル〉、2016a。ISBN 978-4-7973-8435-2
  • 白石定規『魔女の旅々 = THE JOURNEY OF ELAINA 2』SBクリエイティブ〈GAノベル〉、2016b。ISBN 978-4-7973-8816-9
  • 白石定規『魔女の旅々 = THE JOURNEY OF ELAINA 3』SBクリエイティブ〈GAノベル〉、2016c。ISBN 978-4-7973-8924-1

外部リンク編集