(114514) 2003 BX5

小惑星帯に位置する小惑星

(114514) 2003 BX5 は、太陽系小惑星帯に位置する小惑星の1つである。2003年1月26日に発見され、その後の追跡観測で軌道が確定した結果2005年10月19日小惑星番号114514番が与えられた[5]。その後、2022年現在まで命名されておらず、小惑星番号と発見時に与えられた仮符号2003 BX5(2003年の1月後半に発見された148番目の小惑星という意)のまま呼ばれている。

(114514) 2003 BX5
2003 BX5の軌道
2003 BX5の軌道
仮符号・別名 2003 BX5
小惑星番号 114514
見かけの等級 (mv) 18.3-20.7[1]
分類 小惑星
軌道の種類 小惑星帯
軌道要素と性質
元期:TDB 2459600.5(2022年1月21.0日[2]
軌道長半径 (a) 2.654749272895364 au[2]
近日点距離 (q) 2.407824399190086 au[2]
遠日点距離 (Q) 2.901674146600642 au[2]
離心率 (e) 0.09301250262175335[2]
公転周期 (P) 1579.914891863528 日
(4.325571230290289 年)[2]
平均軌道速度 0.2278603751720928 °/日[2]
軌道傾斜角 (i) 15.97587735191636 °[2]
近日点引数 (ω) 88.7009094176456 °[2]
昇交点黄経 (Ω) 118.0855830461063 °[2]
平均近点角 (M) 82.63275286813032 °[2]
前回近日点通過 JED 2459237.853564411006
(2021年1月23日)[2]
ティスラン・パラメータ (T jup) 3.327
物理的性質
直径 4.54 km[3][注 1]
スペクトル分類 C型小惑星[3][注 2]
絶対等級 (H) 14.83[2]
14.86[3]
アルベド(反射能) 0.10[3][注 3]
発見
発見日 2003年1月26日[4]
発見者 NEAT[4]
発見方法 自動検出
他のカタログでの名称
114514
2003 BX5
Template (ノート 解説) ■Project

発見とその後の観測 編集

発見 編集

 
2003 BX5を発見したハレアカラ天文台内のアメリカ空軍の観測施設

2003 BX5は、2003年1月26日に地球近傍小惑星追跡(NEAT)プロジェクトが、アメリカハワイマウイ島最高峰ハレアカラ山頂近くのハレアカラ天文台英語版内にあるAMOS望遠鏡を用いた掃天観測によって、しし座γ星近くに19.9で発見した[4]。NEATは1995年12月から2007年4月の間、NASAジェット推進研究所によって運営されていた地球に衝突する危険のある小惑星の早期発見を目的としたサーベイ観測プロジェクトで、副産物として地球に衝突する危険のない小惑星・彗星も数多く発見した。2003年当時、NEATはアメリカ空軍空軍マウイ光学・スーパーコンピューティング観測所英語版 (AMOS)にある1.2m望遠鏡とアメリカカリフォルニア州サンディエゴパロマー天文台にあるサミュエル・オシン望遠鏡英語版を使って地球近傍小惑星を探していた[6]。2003 BX5の発見から2日後の1月28日には、サミュエル・オシン望遠鏡でも検出された[7]

過去の観測からの検出 編集

2003 BX5の発見が報告されると、過去の観測記録の中に2003 BX5が写ったものがないか確認作業が行われた。まず2003年2月16日、同年1月26日のハワイでの発見の数時間前にアメリカ・アリゾナ州フラッグスタッフにあるローウェル天文台アンダーソンメサ観測所英語版が行っている小惑星サーベイLONEOS英語版(Lowell Observatory Near-Earth-Object Search)の60cmF1.8シュミット式望遠鏡での撮影データに写っていたこと、さらにその1か月近く前の2002年12月31日にアメリカ・ニューメキシコ州ソコロホワイトサンズ・ミサイル実験場内にあるリンカーン研究所実験サイトで行われている小惑星サーベイLINIAR(LIncoln Near-Earth Asteroid Research)の1m望遠鏡が発見時の位置から5ほど離れたところにあるその姿を捉えていたことが公表された[8]。続いて2003年3月18日の発表ではさらに過去の観測データまで遡った結果が発表され、1999年3月21日から2002年1月12日までの3年近くの間にLINEAR・LONEOS・NEATの計8日間の観測中に28回撮影されていたことがわかった [9]。その後2006年9月17日になって、アメリカアリゾナ州ツーソンにあるキットピーク国立天文台で行われている小惑星サーベイスペースウォッチ1995年7月23日に90cm望遠鏡でこの小惑星を撮影していたことが発表された[10]

その後も、世界各地のサーベイ観測で検出されており、オーストラリアニューサウスウェールズ州サイディング・スプリング天文台サイディング・スプリングサーベイ、アメリカ・アリゾナ州スチュワード天文台カタリナ観測所カタリナ・スカイサーベイ、アメリカ・アリゾナ州のレモン山天文台レモン山サーベイハワイハレアカラ山頂のPan-STARRSの1台目の望遠鏡「PS-1」、2014年には当時アメリカ・ニューメキシコ州にあった宇宙監視望遠鏡英語版ロシアキスロヴォツクにある国際科学光学ネットワークのキスロヴォツク観測所、中国南京市紫金山天文台2016年にはモロッコマラケシュ=タンシフト=アルハウズ地方ウカイメデン天文台英語版、ハワイのATLASハレアカラ山頂にある望遠鏡、カナリア諸島テネリフェ島にあるMASTER(Mobile Astronomical System of Telescope-Robots)、2018年にはパロマー天文台のZTF英語版(Zwicky Transient Facility)、ハワイのATLASマウナロア山頂にある望遠鏡、Pan-STARRSの2台目の望遠鏡「PS-2」など、2021年8月30日までに1051回の観測記録が残されている[4]

そのため現在求められている軌道の誤差は小さく、小惑星センターはこの小惑星の軌道の不確定性を10段階評価で最も精密な「U=0」と分類している[11]

特徴 編集

小惑星帯を真円に近い軌道で公転しているため、太陽系の惑星とは離れた位置を保っている。最も接近する惑星である火星でも最小で0.866 天文単位 (au) まで、地球とは最小でも1.466 auまでしか接近しないため、PHA(潜在的に危険な小惑星)には分類されていない。

この小惑星の直径を決めるうえで大きな要素となる絶対等級 (H) は、Minor Planets and Comets Orbit Supplement(MPO)のMPO637473では14.83等級とされている[12]。 また、2015年Pan-STARRSの口径1.8mのPS-1望遠鏡で全天の小惑星を観測した3年間のデータから25万個以上の小惑星の絶対等級が求められた際は、2003 BX5の絶対等級は15.19等級と求められた[13]

2005年の番号登録から10年以上が経過しているため、規則により発見グループのNEATは命名の優先権を失っており、提案が可能となっている[14]

この小惑星による恒星食は現在までに観測されておらず、直近で明るい恒星を隠すイベントも予報されていない[15]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ アルベドと絶対等級による推定値
  2. ^ 属するグループから推定
  3. ^ 属するグループからの推定値

出典 編集

  1. ^ Horizons System”. JPL. 2022年5月26日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m Small-Body Database Lookup”. JPL (2021年10月8日). 2022年5月20日閲覧。
  3. ^ a b c d LCDB Data”. 2022年5月20日閲覧。「Object Search」より検索。
  4. ^ a b c d (114514) = 2003 BX5”. MPC. 2022年5月20日閲覧。
  5. ^ MPC 55127” (2005年10月19日). 2016年9月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月25日閲覧。
  6. ^ Near-Earth Asteroid Tracking (NEAT)”. Near Earth Object Program. NASA/JPL. 2004年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月9日閲覧。
  7. ^ MPS 71872” (2003年2月7日). 2022年5月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月20日閲覧。
  8. ^ MPS 73333” (2003年2月16日). 2016年9月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月25日閲覧。
  9. ^ MPS 74287” (2003年3月18日). 2017年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月25日閲覧。
  10. ^ MPS 178988” (2006年9月17日). 2012年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月25日閲覧。
  11. ^ Uncertainty Parameter U and Orbit Quality Codes”. 2016年2月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月25日閲覧。
  12. ^ MPO 637473” (2021年8月10日). 2022年5月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月25日閲覧。
  13. ^ Vereš, Peter; Jedicke, Robert; Fitzsimmons, Alan; Bolin, Bryce; Chastel, Serge; Wainscoat, Richard J.; Burgett, William S.; Chambers, Kenneth C. et al. (2015). “Absolute magnitudes and slope parameters for 250,000 asteroids observed by Pan-STARRS PS1 - Preliminary results”. Icarus 261 (2): 34-47. Bibcode2015Icar..261...34V. doi:10.1016/j.icarus.2015.08.007. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2015Icar..261...34V/abstract. 
  14. ^ RULES AND GUIDELINES FOR NAMING NON-COMETARY SMALL SOLAR-SYSTEM BODIES”. WG Small Body Nomenclature. IAU (2021年12月20日). 2022年5月29日閲覧。
  15. ^ OWCloud”. 2022年1月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月26日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集


前の小惑星
(114513) 2003 BQ1
小惑星
(114514) 2003 BX5
次の小惑星
(114515) 2003 BA7