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2016年リオデジャネイロオリンピックのレスリング競技

2016年リオデジャネイロオリンピックのレスリング競技は8月14日から21日までの期間、オリンピックトレーニングセンターホール3で開催された。世界レスリング連合(UWW)管轄。

目次

概要編集

  • 大会の出場枠は開催国であるブラジルから1名を含んだ、2015年にラスベガスで開催された世界選手権や各大陸予選、世界最終予選を勝ち上がった枠で争われる。各階級19名によって争われる。ただし1カ国につき1名しか出場できない。
  • 今大会では、チャレンジルールを1試合につき1回だけ使用することができ、チャレンジを宣告する際には、ベンチに用意された今大会のマスコットキャラクター・ヴィニシウスの人形(ちなみに、判別できるようにそれぞれのコーナーの色の服を着せてある。)を審判目がけて投げる。ビデオ判定の末、チャレンジが認められた場合、人形はベンチに返され、失敗するまで使用できるが、チャレンジ失敗の場合、人形は没収されチャレンジは使用できなくなる[1]
  • 今大会の女子58kg級に出場した日本の伊調馨が、オリンピックの全競技を通じて4人目となる個人種目での4連覇を達成した。女子選手では初めての快挙となった。またレスリング競技で4個の金メダルを獲得した初めての選手ともなった。決勝でロシアのバレリア・コブロワと対戦すると、1-2でリードされるが終了直前に相手のバックを取って3-2となり、劇的な逆転勝ちを果たした[2][3]。一方、同じくオリンピック4連覇を狙っていた53kg級の吉田沙保里は目標を達成することができなかった。決勝でオリンピック種目には採用されていない55kg級の世界チャンピオンであるアメリカのヘレン・マルーリスと対戦するが、1ポイントを先取するもその後ポイントを次々に取られて1-4で敗れた。世界大会では17度目の出場にして初めて金メダルを逃した。また、2001年以来続いてきた個人戦での連勝記録も206で止まった[4][5]
  • 女子63kg級の3位決定戦でポーランドのモニカ・ミハリクに敗れたロシアのインナ・トラジュコワは、負けたことに腹を立てたロシアレスリング連盟会長で、世界レスリング連合(UWW)副会長でもあるミハイル・マミアシビリに公衆の面前で猥褻な言葉を浴びせられながら顔面を2度も殴りつけられたと主張ししている。マミアシビリはこの1件を否定もせず、トラジュコワの示した平凡なパフォーマンスは国に対する反逆であり、メダルを取れなかった責任を取るべきだと非難したとも報じられた。その後、マミアシビリはトラジュコワに暴言を吐いたことは認めたものの、暴力を振るったことは否定したが、結果的にトラジュコワに謝罪した。トラジュコワは法的に訴える可能性を示していたが、目撃者の多くから協力を拒まれていた。しかし、マミアシビリの謝罪を受け入れたために、この件を今後訴え出るかは明らかでない。一方、ロシアのスポーツ界では今回の件で義憤が広まっているものの、マミアシビリは大統領のウラジーミル・プーチンの友人であるなどクレムリンとも関係していることから、何の責任も取らされることはないだろうと考えられている。また、マミアシビリは犯罪組織と関わっていると言う理由から複数の欧米諸国から入国を拒否されたとも伝えられている。さらにまた、日本のレスリング関係者の話によれば、女子75kg級の準決勝でカザフスタンのグゼル・マニュロワに敗れたエカテリーナ・ブキナもマミアシビリに暴行を加えられたという[6][7][8][9][10][11][12]。なおマミアシビリは、57kg級決勝で伊調馨に終了間際に逆転負けを喫したワレリア・コブロワと69kg級決勝で土性沙羅に終盤逆転を許して2位に終わったナタリア・ボロベワに対しても、「2人は勝てたはず。私は(銀メダルを)祝福しない。死んでも10秒耐えなければならなかった」と辛辣なコメントを発していた[13]
  • フリースタイル男子65kg級準々決勝でプエルトリコのフランクリン・ゴメスがウズベキスタンのイフティヨル・ナフルゾフと対戦すると、5-5で迎えた終盤に4ポイントの投げ技を決めたにもかかわらず、なぜか相手に2ポイントが与えられた。それに抗議してゴメス側がチャレンジを試みると、一旦は主張が受け入れられたものの、最終的に覆されて試合に敗れてしまった。その後の調査により、UWWはこの試合で審判を務めたジョージアのテモ・カザラシビリ、ロシアのセルゲイ・ノバコスキー、韓国のチョン・トンクンの3名を資格停止処分に付した[14][15]
  • フリースタイル男子65kg級の3位決定戦で、モンゴルのマンダフナラン・ガンゾリグがウズベキスタンのイフティヨル・ナフルゾフと対戦すると7-6でリードした終了間際に勝ちを確信したガンゾリグが逃げ回りながら相手を挑発する行為に打って出た。これを見た審判が組み合わずに逃げ回っているガンゾリグにペナルティーを科して7-7となり、警告数の差でナフルゾフが勝利し銅メダルを獲得することとなった。これに納得いかないモンゴルのコーチであるツェレンバータル・ツォグバヤルとバイヤンバレンチン・バヤラの両名がマットに上がり込むと、服を脱ぎ捨てボクサーブリーフ一丁で抗議する騒ぎとなった[16][17]。後日、UWWは同国チームのコーチ2名を3年間の資格停止処分とし、モンゴル連盟に対して5万スイスフラン(約515万円)の罰金を科した。選手に対する処分は課されなかった[18][19]

競技結果編集

メダル獲得数編集

国・地域
1   ロシア 4 3 2 9
2   日本 4 3 0 7
3   キューバ 2 1 0 3
4   アメリカ合衆国 2 0 1 3
5   トルコ 1 2 2 5
6   イラン 1 1 3 5
7   アルメニア 1 1 0 2
8   ジョージア 1 0 2 3
9   カナダ 1 0 0 1
  セルビア 1 0 0 1
11   アゼルバイジャン 0 3 6 9
12   ベラルーシ 0 1 2 3
  カザフスタン 0 1 2 3
14   デンマーク 0 1 0 1
  ウクライナ 0 1 0 1
16   ウズベキスタン 0 0 3 3
17   中国 0 0 2 2
  スウェーデン 0 0 2 2
19   ブルガリア 0 0 1 1
  ドイツ 0 0 1 1
  インド 0 0 1 1
  イタリア 0 0 1 1
  韓国 0 0 1 1
  ノルウェー 0 0 1 1
  ポーランド 0 0 1 1
  ルーマニア 0 0 1 1
  チュニジア 0 0 1 1
合計 18 18 36 72

メダリスト編集

男子フリースタイル編集

種目
57kg級   ヴラディメル・ヒンチェガシヴィリ英語版
ジョージア (GEO)
  樋口黎
日本 (JPN)
  ハジ・アリエフ英語版
アゼルバイジャン (AZE)
  ハサン・ラヒミ
イラン (IRI)
65kg級   ソスラン・ラモノフ英語版
ロシア (RUS)
  トグルル・アスガロフ
アゼルバイジャン (AZE)
  フランク・チャミゾ英語版
イタリア (ITA)
  イフティヨル・ナブルゾフ英語版
ウズベキスタン (UZB)
74kg級   ハサン・ヤズダニ
イラン (IRI)
  アニワル・ゲドゥエフ英語版
ロシア (RUS)
  ジャブライル・ハサノフ英語版
アゼルバイジャン (AZE)
  ソネル・デミルタシュ英語版
トルコ (TUR)
86kg級   アブドゥルラシド・サドゥラエフ
ロシア (RUS)
  セリム・ヤシャール英語版
トルコ (TUR)
  シャリフ・シャリホフ
アゼルバイジャン (AZE)
  ジェイデン・コックス英語版
アメリカ合衆国 (USA)
97kg級   カイル・スナイダー (レスリング選手)英語版
アメリカ合衆国 (USA)
  ヘタグ・ガジュモフ
アゼルバイジャン (AZE)
  アルベルト・サリトフ英語版
ルーマニア (ROM)
  マゴメド・イブラギモフ
ウズベキスタン (UZB)
125kg級   タハ・アクギュル英語版
トルコ (TUR)
  コメイル・ガセミ
イラン (IRI)
  イブラヒム・サイダウ英語版
ベラルーシ (BLR)
  ゲノ・ペトリアシヴィリ
ジョージア (GEO)

男子グレコローマン編集

種目
59kg級   イスマエル・ボレロ英語版
キューバ (CUB)
  太田忍
日本 (JPN)
  エルムラト・タスムラドフ英語版
ウズベキスタン (UZB)
  スティ・アンドレ・バルゲ英語版
ノルウェー (NOR)
66kg級   ダヴォル・シュテファネク英語版
セルビア (SRB)
  ミグラン・アルテュニャン英語版
アルメニア (ARM)
  シュマギ・ボルクヴァゼ英語版
ジョージア (GEO)
  ラスル・チュナエフ英語版
アゼルバイジャン (AZE)
75kg級   ロマン・ブラソフ英語版
ロシア (RUS)
  マーク・マセン英語版
デンマーク (DEN)
  金賢宇英語版
韓国 (KOR)
  サイード・アブデヴァリ
イラン (IRN)
85kg級   ダビット・チャクベターゼ英語版
ロシア (RUS)
  ザン・ベレニュク英語版
ウクライナ (UKR)
  ヤビド・ハムザタウ英語版
ベラルーシ (BLR)
  デニス・クドラ英語版
ドイツ (GER)
98kg級   アルトゥル・アレクサニャン英語版
アルメニア (ARM)
  ヤスマニ・ルゴ英語版
キューバ (CUB)
  ジェンク・イールデム英語版
トルコ (TUR)
  ガセム・レザエイ
イラン (IRI)
130kg級   ミハイン・ロペス
キューバ (CUB)
  リザ・カヤールプ英語版
トルコ (TUR)
  サバヒ・シャリアティ英語版
アゼルバイジャン (AZE)
  セルゲイ・セミョノフ英語版
ロシア (RUS)

女子フリースタイル編集

種目
48kg級   登坂絵莉
日本 (JPN)
  マリヤ・スタドニク
アゼルバイジャン (AZE)
  孫亜楠英語版中国語版
中国 (CHN)
  エリツァ・ヤンコワ英語版
ブルガリア (BUL)
53kg級   ヘレン・マルーリス
アメリカ合衆国 (USA)
  吉田沙保里
日本 (JPN)
  ソフィア・マットソン英語版
スウェーデン (SWE)
  ナタリヤ・シニシン英語版
アゼルバイジャン (AZE)
58kg級   伊調馨
日本 (JPN)
  ワレリア・コブロワ
ロシア (RUS)
  マルワ・アムリ英語版
チュニジア (TUN)
  サクシ・マリク英語版
インド (IND)
63kg級   川井梨紗子
日本 (JPN)
  マリア・ママシュク英語版
ベラルーシ (BLR)
  エカテリーナ・ラリオノワ英語版
カザフスタン (KAZ)
  モニカ・ミハリク英語版
ポーランド (POL)
69kg級   土性沙羅
日本 (JPN)
  ナタリア・ボロベワ
ロシア (RUS)
  エルミラ・シズディコワ英語版
カザフスタン (KAZ)
  ジェニ・フランソン英語版
スウェーデン (SWE)
75kg級   エリカ・ウィーブ
カナダ (CAN)
  グーゼル・マニウロワ
カザフスタン (KAZ)
  張鳳柳英語版
中国 (CHN)
  エカテリーナ・ブキナ英語版
ロシア (RUS)

脚注編集

  1. ^ リオ五輪:Ri-Oh! - 毎日新聞
  2. ^ 残り数秒で逆転の金 伊調、レスリング4連覇
  3. ^ リオデジャネイロオリンピック レスリング
  4. ^ 吉田は銀 4連覇ならず レスリング女子53キロ級
  5. ^ リオデジャネイロオリンピック レスリング
  6. ^ ロシア選手団で体罰か レスリングの女子選手が告発 「レスリング協会会長はわいせつな言葉を発し、私を殴り…」
  7. ^ 露レスリング連盟会長が試合後に暴行、被害選手が法的措置を検討
  8. ^ 女子63kg級のインナ・トラズコワ(ロシア)が同国のミハイル・マミアシビリ会長を提訴へ…試合後に顔を2度殴打
  9. ^ ロシアのミハイル・マミアシビリ会長が謝罪…選手への顔面殴打
  10. ^ Media Reports Mamiashvili Punched Female Wrestler
  11. ^ Russian Wrestling Federation President to miss World Championships after refused visa by United States
  12. ^ Pelle Svensson: Jag blev mordhotad
  13. ^ 土性らに「勝てたはずだ」「私は銀メダルを祝福しない」ロシア連盟会長
  14. ^ Rio 2016: Officials suspended after 'suspicious' call involving ex-N.J.wrestler
  15. ^ Three referees suspended after "suspicious officiating" in quarter-final as final Rio 2016 wrestling golds decided
  16. ^ モンゴルのコーチがパンツ一丁姿で猛抗議、リオ五輪レスリング男子
  17. ^ モンゴルコーチが服脱いで抗議、国際大会出場停止処分も
  18. ^ “五輪=モンゴルのレスリングコーチに処分、リオで判定に抗議”. ロイター. (2016年9月22日). http://jp.reuters.com/article/mongol-wresling-idJPKCN11S05Z 2016年9月22日閲覧。 
  19. ^ リオでパンツ一丁になったモンゴルのコーチ、3年間の資格停止処分

外部リンク編集