for you…」(フォー・ユー)は、1982年3月5日に発売された髙橋真梨子の8枚目のシングル。

「for you…」
髙橋真梨子シングル
初出アルバム『Dear』
B面 ワインのようなKiss
リリース
ジャンル 歌謡曲
時間
レーベル Invitation
作詞・作曲 大津あきら(作詞)
鈴木キサブロー(作曲)
プロデュース ヘンリー広瀬
ゴールドディスク
髙橋真梨子 シングル 年表
夜明けのララバイ
(1981年)
for you…
(1982年)
come back to me〜フラワーホテルの女客
(1982年)
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解説

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髙橋のライブコンサートなどでは欠かせない曲の一つとなっている。

ペドロ&カプリシャス時代から髙橋と行動を共にしてきたヘンリー広瀬が、髙橋作品のプロデュースを初めて担当。

作詞者の大津あきらと作曲者の鈴木キサブローは、酒を飲みながら「音楽賞レースに向けて血眼になって曲を作るのはなんかカッコ悪い。」「でも、やっぱり賞は欲しい。」と語り合ったことから、「東京音楽祭の金賞獲得」を狙って制作された。

当初考えられたタイトルは、サビのフレーズでもある「あなたが欲しい」だったが、あまりにストレートすぎる表現に髙橋は拒否した。

曲の主人公の語りに相当するAメロは24小節(8小節が3セット)もある。その理由として鈴木は「ボロボロになった女は泣きながらボソボソと思い出を語り、やがて立ち直る。つまり歌えるようになるには時間がかかるはずだ、と。だから語りは3回。2回ではどうしても足りない。」と説明している。鈴木歌唱の仮歌を入れたデモテープを聴いた髙橋は、Aメロを「お経みたい。」と感じたといい、当初は歌い方に悩み、その後は3セットでそれぞれ違う歌い方を心掛けているという。

発売当時、シングル盤は爆発的に売れることはなく、第11回東京音楽祭の金賞受賞後に少々売れた程度だった[1]。なお、本作を収録したアルバム『Dear』は16万枚を売り上げた[2]

当初は別のアレンジャーが編曲を担当し、伴奏を録り終えたが、鈴木や他の制作スタッフは出来栄えに納得がいかず、その様子に広瀬は頭を抱えるほどだった。そして鈴木が代表して髙橋の所属事務所社長に直談判し、若草恵が起用された。若草が完成させた編曲は、東京音楽祭のレセプション会場に来ていた世良譲に「あのアレンジは最高だね」と褒められた。

2013年第64回NHK紅白歌合戦』では紅組トリで歌唱した。

それから4年後の2017年第68回NHK紅白歌合戦』で2回目の披露。

当時の髙橋の年齢は68歳9ヶ月と、紅白歌合戦の紅組歌手としては最年長出場記録を上回った。

荻野目洋子新里宏太はともにプライベートでは「for you…」を歌うという[3]

収録曲

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  1. for you… [04:30]
    作詞:大津あきら/作曲:鈴木キサブロー/編曲:若草恵
  2. ワインのようなKiss [04:40]
    作詞:康珍化/作曲:浜田金吾/編曲:大谷和夫

カバー

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関連項目

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脚注

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  1. ^ 川上貴光『高橋真梨子とびらを開けて』文藝春秋、2000年、204-205頁。ISBN 4-16-356-050-5
  2. ^ 『高橋真梨子とびらを開けて』176-177頁。
  3. ^ 今でも「後輩たちが焦るほど」練習する荻野目洋子、プライベートで歌うのは高橋真梨子の名曲”. 読売新聞オンライン. 2021年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月8日閲覧。
  4. ^ “Da-iCE大野雄大、ビルボードライブ開催。昭和・平成の名曲をカバーするEPも発売決定”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2020年10月5日). https://www.barks.jp/news/?id=1000190193 2022年1月14日閲覧。 

参考文献

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  • 週刊現代』(講談社)2019年2月9日号p.130-133「週現『熱討スタジアム』第315回 髙橋真梨子『for you…』を語ろう」
    • ヘンリー広瀬・鈴木キサブロー・松本久(日刊スポーツ新聞社)による対談と、髙橋によるコメントで構成。