M198 155mm榴弾砲英語: M198 155mm Howitzer)は、アメリカ合衆国の155mm榴弾砲である。

アメリカ陸軍のM198榴弾砲

概要編集

M198榴弾砲は、M114 155mm榴弾砲の後継として開発された中型の牽引式榴弾砲であり、このクラスの榴弾砲としては標準的な性能を持っているが、同時期にイギリス西ドイツイタリアが共同開発したFH70フランス製のTRF1と比較すると、自走用の補助エンジンを持っていないため陣地に配備する際の最終位置調整は人力で行う必要がある上に連射速度もやや低い[1]が、その分低コストかつ軽量で信頼性も高い。

 
CH-53で空輸されたM198

パラシュートによる輸送機からの投下が可能なように設計されているほか、CH-47 チヌークCH-53E スーパースタリオンの機体下に吊り下げての輸送が可能であることからアメリカでは海兵隊の主力野戦榴弾砲として、第1海兵師団隷下の第11海兵連隊、第2海兵師団隷下の第10海兵連隊、第3海兵師団隷下の第12海兵連隊、第4海兵師団隷下の第14海兵連隊の合計4個連隊に配備運用されている。

陸軍でも第18空挺砲兵旅団(元々は第18空挺軍団司令部直属部隊であったが、2008年第82空挺師団隷下に移管)やストライカー旅団戦闘団などの軽装で戦略的機動力の高い部隊に配備されている[2]

ベトナム戦争への参加経験は不明であるが、湾岸戦争には確実に投入されている。その後は、アフガニスタン戦争イラク戦争でも使用されているが、現在は海兵隊と陸軍の双方で軽量化を推し進めて設計されたM777に更新が進められており、近い将来に退役する予定である。

アメリカ以外ではタイ王国陸軍オーストラリア陸軍レバノン軍イラク軍などが採用している。

同性能の牽引式榴弾砲の比較
 / / FH70  TRF1  G5  2A65  M198  M777
画像            
主砲 39口径155mm 40口径155mm 45または52口径155mm 47口径152mm 39.3口径155mm 39口径155mm
全長 9.8 m(牽引時)
12.4 m(射撃時)
10 m(牽引時) 9.1 m(牽引時) 11.4 m - 12.7 m(射撃時) 7.09 m(牽引時)
11.3 m(射撃時)
9.5 m(牽引時)
10.7 m(射撃時)
全幅 2.56 m(牽引時) 3.09 m(牽引時) 3.3 m(牽引時) 不明 2.79 m(牽引時)
8.53 m(射撃時)
3.3 m(牽引時)
全高 2.56 m(牽引時) 1.79 m(射撃時) 2.1 m(牽引時) 2.12 m(牽引時)
1.8 m(射撃時)
不明
重量 7.8 t - 9.6 t 10.52 t 13.75 t 7 t 7.162 t 4.218 t
砲員数 8名 7名 8名 6 - 11名 11名 5名
最大射程 24 km(通常弾)
30 km(RAP弾)
30 km(通常弾)
50km(RAP弾)
24.7 km(通常弾)
28.9 km(RAP弾)
22.4 km(M107弾
26.5 km(M795弾
30km(RAP弾)
24 km(M107弾)
30 km(ERFB弾)
40 km(M982弾
発射速度 3発/15秒(最大)
3-6発/分(持続射撃)
3発/分(最大)
1発/分(連続射撃時)
8発/分(最大)
1発/分(連続射撃時)
4発/分(最大)
2発/分(持続射撃)
5発/分(最大)
2発/分(持続射撃)
採用国 10 3 6 7 10 4

諸元・性能編集

出典: Christopher Chant (1987). A compendium of armaments and military hardware. Routledge. ISBN 9780710207203. http://books.google.co.jp/books?id=k9cNAAAAQAAJ 

諸元

  • 種別: 榴弾砲
  • 口径: 155mm
  • 砲身: 39.3口径長
  • 重量: 7,162kg
  • 全長: 11.3m(射撃時)/7.09m(牽引時)
  • 全幅: 8.53m(射撃時)/2.79m(牽引時)
  • 全高: 1.80m(射撃時)/2.12m(牽引時)
  • 砲員数: 11名

作動機構

性能

  • 俯仰角: -5°~+72°
  • 旋回角: 45度
  • 砲口初速: 827m/秒
  • 最大射程: 18,150m(通常弾), 30km(RAP弾英語版
  • 発射速度: 4発/分(最大), 2発/分(持続射撃)

砲弾・装薬

運用史

運用者編集

登場作品編集

続・戦国自衛隊
戦国時代タイムスリップしたアメリカ海兵隊の装備として登場。大坂の陣にて使用され、大阪城周辺に展開する豊臣軍砲撃する。

補足編集

  1. ^ FH70やTRF1には連射速度を向上させるため砲撃後に尾栓を自動開放する機構や半自動式の装填補助装置を装備しているが、M198にはそれらが付いていないので砲弾の装填や尾栓の開閉をすべて手動で行わなければならない
  2. ^ なお、アメリカ陸軍ではM1A2エイブラムス戦車M2ブラッドレー歩兵戦闘車などの重装甲戦闘車両を多数装備する重旅団戦闘団の砲兵大隊にはM109 155mm自走榴弾砲を、第82空挺師団の第1-第4旅団戦闘団や第101空中強襲師団第10山岳師団第25歩兵師団en)などの空挺・山岳・軽歩兵旅団戦闘団の砲兵大隊にはM119 105mm榴弾砲をそれぞれ配備している

関連項目編集

アメリカ軍榴弾砲
M198と同世代の榴弾砲

外部リンク編集