UNDERWORLD (VAMPSのアルバム)

VAMPSのアルバム

UNDERWORLD』(アンダーワールド)は、日本ロックユニットVAMPSの4作目のアルバム2017年4月26日発売。発売元はVirgin Music

UNDERWORLD
VAMPSスタジオ・アルバム
リリース
ジャンル ロック
時間
レーベル Virgin Music
プロデュース Kane Churko(#1~#6,#10,#11)
Howard Benson(#7,#8)
Richard Z. Kruspe(#8)
VAMPS(#9)
APOCALYPTICA(#9)
チャート最高順位
VAMPS アルバム 年表
BLOODSUCKERS
2014年
UNDERWORLD
2017年
COMPLETE BOX -GOLD DISC Edition-
2018年
『VAMPS』収録のシングル
  1. SIN IN JUSTICE
    リリース: 2015年11月20日
  2. INSIDE OF ME feat. Chris Motionless of Motionless In White
    リリース: 2016年8月31日
  3. CALLING
    リリース: 2017年3月22日
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解説 編集

前作『BLOODSUCKERS』以来約2年半ぶりとなるアルバム。

アルバムタイトルの『UNDERWORLD』は、VAMPSの活動を始める上で、HYDEが当初考えていた世界観を表したワードとなっている。アルバムタイトルについて、HYDEは「今までも、ステージの背景を地下っぽく作ったりとか。街なんだけど下をスラムっぽくしたりとか。(VAMPSとしての活動の)最初から常に、まったくどこにもない世界観を作ろうとは思ってなくて、日常の中で普段は気づかないけど、よくみたら"あれ?"っていうようなところに実は入り口がある…っていうようなイメージ。でも、僕たちが表現しようとするその世界に名前がなかったんです。だからそこに付けたのが『UNDERWORLD』[2]」と語っている。ジャケットに描かれた扉は、HYDEの言うアンダーワールドへの入り口を表現している。

レコーディングはアメリカラスベガスなどで行われ、ハワード・ベンソンケイン・チャーコといったアメリカの音楽プロデューサーを迎え制作されたアルバムとなっている。新たにプロデューサーを迎えることとなったのは、アメリカのロックシーンを意識したアルバムを作るという目的によるもので、HYDEは「これまでアメリカをいろいろ廻ったりしてきた中で、アルバムが出て、向こうのマネージメントが決まったりしても、"このままだと自分たちの思ってるところになかなかいけないな"と痛感する部分があってね。とにかく短期間でそこへもっていくために、向こう(アメリカ)のアーティストと同じようなやり方で、プロデューサーも付けて、しっかりやりたいっていうところから始めました[3]」と語っている。また、K.A.Zも「例えば海外に出たとき、普通に自分たちの曲がラジオで流れるようなポジションに行きたいっていう。そういうことを考えると、向こうの第一線でやってるプロデューサーを付けてやってみたかった。いかにVAMPSの音楽にテイストとして落としてもらえるか、試してみたいっていうのがあった[3]」と語っている。

前作と比べ、より音楽的な方向性がデジタル色やラウドな部分に絞り込んだ作品となっている。また、前作よりも重ね録りも少なく、録音作業について、K.A.Zは「今回は明らかに重ねてる音が少ない。曲次第ではあるんだけど、以前はどっちかというとギターを重ねることでテンション感を出したりして構築する曲が多かった。でも、今回は本当にストレートにポーンと芯のテーマとなるフレーズを弾いて。重ねる音が少なくなった分、チューニングもそんなにシビアにならなくていいなっていうところが大きかった。逆に「BREAK FREE」とかだと、逆にチューニングを狂わしてやろうっていうぐらい、ラフな弾き方をしたところもあったりした[4]」「ギターは何小節かを延々にループさせている上で、自分はそこに集中して何回も弾いて。例えば4テイク録ったら、そこから2テイク良いのを選んで。その後、今度は音を変えてもう4テイク録ったら、また2テイク選んで、それを左右に振り分けたりとか。バッキングはそういう作業の繰り返しで構築していった[5]」と述べている。また、ボーカル録りもギター録りと同様に、1行だけのフレーズをずっとループさせ歌録りしている[3]。さらに、3曲目に収録された「BREAK FREE」や、4曲目に収録された「DON'T HOLD BACK」などでは[6]、これまでの作品以上にボーカルに歪みのエフェクトをかけており[6]、HYDEは「ずっと試行錯誤してて、毎年歌い方が違うとは思うんですけど。歪ませ方が今まで安定しなくて、あんまりやってなかったところを、今回どうやったら安定させられるかっていうのを考えながら歌ったらうまくいった気がします[6]」「今回、"あぁ、外国人ってこういう風に歌ってるんだな"っていうのが、ちょっと分かった気がしますね。"日本人の歌い方はキンキン来る"って言われるところをずっと研究してたんですけど、今回"あぁ、こういうことか"って思う部分があった[6]」と語っている。

収録曲には、シングルとしてリリースされた「INSIDE OF ME」や「CALLING」に加え、ドイツのインダストリアル・メタルバンド、ラムシュタインのギタリストであるリヒャルト・Z・クルスペとの初のコライトソングとなる「RISE OR DIE」、フィンランドヘヴィメタルバンドアポカリプティカとのコラボレーションソング「SIN IN JUSTICE」を含めた全11曲が収録されている。本作の特徴として、ヘヴィかつキャッチーな楽曲が多いこと、そして前作まで比べ、収録曲全体で曲調に統一感のある曲が多くなっている。このことについて、HYDEは「これまでのVAMPSは自分の好きな曲、自分なりのロックを好き勝手に作ってきた感じがあったけど、今回は"いい曲"っていうのがものさしじゃなくて。言ってしまったら、同じような曲でもいいから1つのVAMPS色っていうものを出すことが重要かなって思ってた[7]」「アメリカのシーンにおいて自分たちがどう戦うべきかということを考えたとき、なるべくハードでキャッチーで、散漫にならないよう同じような曲調っていうのが良いと思った[8]」と語っている。

3曲目に収録された「BREAK FREE」には、ロックバンド、MAN WITH A MISSIONのベーシストであるKamikaze Boyがベース演奏で参加している。Kamikaze Boyの参加の経緯について、K.A.Zは「たまたま彼ら(MAN WITH A MISSION)がLAにレコーディングで来てて、オフのときにラスヴェガスに来るっていうから、"じゃあ、何か弾いてもらおうよ"っていうぐらいの声掛けで(笑)[9]」と述べている。

本作は、初回限定盤A(SHM-CD+BD)、初回限定盤B(SHM-CD+DVD)、初回限定盤C(SHM-CD+BD+DVD+GOODS)、通常盤(SHM-CD)の4形態でリリースされた[10]。初回盤A及び初回盤Cには2016年9月17日に行われたライヴツアー「VAMPS LIVE 2016」のZepp Tokyo公演の模様を収録されたBlu-rayが付属し、初回盤Bび初回盤Cにはシングル表題曲2曲のミュージック・ビデオとリリック・ビデオ2作、メイキング映像、ツアードキュメンタリーなどが収録されたDVDが付属している。ジャケットデザインは、前作『BLOODSUCKERS』に引き続き、ロッキン・ジェリー・ビーンが描き下ろしており、初回盤Cには同氏の手掛けたイラストを使用したオリジナルスカジャンが付属している。

収録曲 編集

#タイトル作詞作曲時間
1.「UNDERWORLD」Kane Churko, HYDEHYDE
2.CALLINGKane Churko, HYDEK.A.Z
3.「BREAK FREE feat. KAMIKAZE BOY of MAN WITH A MISSIONKane Churko, HYDEK.A.Z
4.「DON'T HOLD BACK」Kane Churko, HYDEHYDE
5.「BLEED FOR ME」Kane Churko, HYDEK.A.Z
6.「IN THIS HELL」Kane Churko, HYDEHYDE
7.INSIDE OF ME feat. Chris Motionless of Motionless In WhiteHYDE, Howard Benson, Lenny Skolnik, Seann BoweHYDE
8.RISE OR DIE feat. Richard Z.Kruspe of Emigrate / RammsteinRichard Z. Kruspe, HYDE, Howard Benson, Lenny Skolnik, Seann BoweRichard Z. Kruspe, HYDE, Howard Benson, Lenny Skolnik, Seann Bowe
9.SIN IN JUSTICE feat. APOCALYPTICAHYDEK.A.Z
10.「B.Y.O.B (BRING YOUR OWN BLOOD)」Kane Churko, HYDEK.A.Z
11.「RISE UP」Kane Churko, HYDEHYDE

初回限定盤A、C付属Blu-ray 編集

2016年9月17日Zepp Tokyoで開催されたライヴツアー「VAMPS LIVE 2016」の模様を収録
  1. INSIDE OF ME
  2. LIPS
  3. COUNTDOWN
  4. EVIL
  5. VAMPIRE DEPRESSION
  6. EUPHORIA
  7. DEVIL SIDE
  8. PIANO DUET
  9. GHOST
  10. RISE OR DIE
  11. AHEAD
  12. ANGEL TRIP
  13. SIN IN JUSTICE
  14. BLOODSUCKERS
  15. MIDNIGHT CELEBRATION
  16. THE JOLLY ROGER
  17. MEMORIES
  18. LOVE ADDICT
  19. SEX BLOOD ROCK N' ROLL

初回限定盤B、C付属DVD 編集

  1. INSIDE OF ME feat. Chris Motionless of Motionless In White -Music Video-
    ディレクター:斎藤渉
  2. CALLING -Music Video-
    ディレクター:Nick Peterson
  3. SIN IN JUSTICE -Lyric Video-
    ディレクター:Craig Gowans
  4. RISE OR DIE feat. Richard Z.Kruspe of Emigrate / Rammstein -Lyric Video-
    ディレクター:Craig Gowans
  5. CALLING -Making Video-
  6. VAMPS LIVE 2016 -Tour Documentary-

参加ミュージシャン 編集

UNDERWORLD
  • ケイン・チャーコ:プロデュース、ベース、プログラミング、レコーディング、ミックス、マスタリング
  • VAMPS:コプロデュース
  • h1r0:コプロデュース
  • HYDE:ボーカル
  • K.A.Z:ギター、プログラミング
  • WolfJunk:プリプロダクション
  • 村山晋一郎:プリプロダクション
CALLING
  • ケイン・チャーコ:プロデュース、ベース、プログラミング、レコーディング、ミックス、マスタリング
  • VAMPS:コプロデュース
  • h1r0:コプロデュース
  • HYDE:ボーカル
  • K.A.Z:ギター、プログラミング
BREAK FREE feat. KAMIKAZE BOY of MAN WITH A MISSION
  • ケイン・チャーコ:プロデュース、プログラミング、Gang Vo.、レコーディング、ミックス、マスタリング
  • VAMPS:コプロデュース
  • h1r0:コプロデュース、Gang Vo.
  • HYDE:ボーカル
  • K.A.Z:ギター、プログラミング、Gang Vo.
  • KAMIKAZE BOY of MAN WITH A MISSION:ベース
DON'T HOLD BACK
  • ケイン・チャーコ:プロデュース、ベース、プログラミング、レコーディング、ミックス、マスタリング
  • VAMPS:コプロデュース
  • h1r0:コプロデュース
  • HYDE:ボーカル
  • K.A.Z:ギター、プログラミング
  • WolfJunk:プリプロダクション
  • 村山晋一郎:プリプロダクション
BLEED FOR ME
  • ケイン・チャーコ:プロデュース、ベース、プログラミング、レコーディング、ミックス、マスタリング
  • VAMPS:コプロデュース
  • h1r0:コプロデュース
  • HYDE:ボーカル
  • K.A.Z:ギター、プログラミング
IN THIS HELL
  • ケイン・チャーコ:プロデュース、ベース、プログラミング、レコーディング、ミックス、マスタリング
  • VAMPS:コプロデュース
  • h1r0:コプロデュース
  • HYDE:ボーカル
  • K.A.Z:ギター、プログラミング
INSIDE OF ME feat. Chris Motionless of Motionless In White

RISE OR DIE feat. Richard Z.Kruspe of Emigrate / Rammstein
  • ハワード・ベンソン:プロデュース、レコーディング
  • リヒャルト・Z・クルスペ:プロデュース、プログラミング
  • VAMPS:コプロデュース
  • h1r0:コプロデュース
  • HYDE:ボーカル
  • K.A.Z:ギター
  • フィル・X:ギター
  • ALI:ベース
  • ジョー・リカード(ex.イン・フレイムス):ドラム
  • Diamante:Gang Vo., Ch
  • Sidnie Tipton:Gang Vo., Cho
  • Meron Ryan:Gang Vo., Cho
  • Lenny Skolnik:Gang Vo., Cho
  • Seann Bowe:Gang Vo., Cho
  • クリス・ロード・アルジ:ミックス
  • マイク・ボッツィ:マスタリング
SIN IN JUSTICE feat. APOCALYPTICA
  • VAMPS:プロデュース
  • アポカリプティカ:プロデュース
  • HYDE:ボーカル
  • K.A.Z:ギター、ベース、プログラミング
  • エイッカ・トッピネン(アポカリプティカ):チェロ、プログラミング
  • パーヴォ・ロトヨネン(アポカリプティカ):チェロ
  • ペルットゥ・キヴィラークソ(アポカリプティカ):チェロ
  • ミッコ・シレン(アポカリプティカ):ドラム
  • 中山千恵子:ボーカルディレクション
  • Jun Umemoto:コーディネーター
  • ジョシュ・ウィルバー:ミックス
  • ケイン・チャーコ:マスタリング
B.Y.O.B (BRING YOUR OWN BLOOD)
  • ケイン・チャーコ:プロデュース、ベース、プログラミング、Gang Vo.、レコーディング、ミックス、マスタリング
  • VAMPS:コプロデュース
  • h1r0:コプロデュース、Gang Vo.
  • HYDE:ボーカル
  • K.A.Z:ギター、プログラミング、Gang Vo.
  • Akira Watanabe:Gang Vo.
RISE UP
  • ケイン・チャーコ:プロデュース、ベース、プログラミング、Gang Vo.、レコーディング、ミックス、マスタリング
  • VAMPS:コプロデュース
  • h1r0:コプロデュース、Gang Vo.
  • HYDE:ボーカル
  • K.A.Z:ギター、プログラミング、Gang Vo.
  • 村山晋一郎:プリプロダクション
  • Akira Watanabe:Gang Vo.

参考文献・サイト 編集

脚注 編集

  1. ^ UNDERWORLD”. Oricon. 2017年5月3日閲覧。
  2. ^ 『GiGS』、p.30、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
  3. ^ a b c 『GiGS』、p.14、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
  4. ^ 『GiGS』、p.15、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
  5. ^ 『GiGS』、p.26、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
  6. ^ a b c d 『GiGS』、p.22、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
  7. ^ 『GiGS』、p.21、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
  8. ^ VAMPS最新作『UNDERWORLD』:HYDEが語る、海外進出における戦術とは - Rolling Stone Japan
  9. ^ 『GiGS』、p.31、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
  10. ^ VAMPSが2年半ぶりアルバムリリース、6月からは全国ツアー - ナタリー