ウイニングポスト

Winning Postから転送)

ウイニングポスト』 (Winning Post) は、1993年1月14日に日本の光栄から発売されたPC-9801育成シミュレーションゲーム

ウイニングポスト
ジャンル 育成シミュレーション
競馬シミュレーション
対応機種 PC-9801 (PC98)
開発元 光栄
発売元 光栄
プロデューサー シブサワ・コウ
音楽 山崎洋一、新井智詞
シリーズ ウイニングポストシリーズ
人数 1人
メディア 5インチフロッピーディスク
3.5インチフロッピーディスク
発売日 日本 199301141993年1月14日
その他 型式:KN10381010 (5")
KN10381020 (3.5")
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同社の『ウイニングポストシリーズ』第1作目。プレイヤーは馬主として競走馬を育成し凱旋門賞を獲得する事を目的としている。レースへの登録や競走馬の調教などはすべて調教師が行うため、プレイヤーは経営に専念する形となっている。

開発は光栄が行い、プロデューサーはシブサワ・コウ、音楽はテレビ朝日系テレビアニメ『クレヨンしんちゃん』(1992年 - )のエンディングテーマなどを手掛けた作曲家の山崎洋一、オリジナルファンファーレは作編曲家の新井智詞が担当している。

PC-9801版の発売後、様々なパソコン機種に移植された他、スーパーファミコンメガCD3DO REALなどの家庭用ゲーム機にも移植された。3DO REAL版、Macintosh版では実写映像が使用されており、後に発売されたマイナーチェンジ版のセガサターンおよびPlayStation用ソフト『ウイニングポストEX』(1995年)にもその流れが受け継がれた。Windows用ソフト『コーエー25周年記念パック Vol.6』(2003年)にも復刻版が収録され、2005年7月15日廉価版であるコーエー定番シリーズで単品発売もされた。

後にスーパーファミコン用ソフト『ウイニングポスト2』(1995年)が発売され、以後シリーズ化された。

ゲーム内容 編集

システム 編集

  • ゲームは1億円の資金と2頭の競走馬を所有した状態でスタートする[1]。一定の条件を満たすことで競走馬を生産するための牧場を開設し、最大5頭の繁殖牝馬を繋養することが可能となる。
  • 日本国内は中央競馬のみを舞台としており、地方競馬のレースは存在しない。条件戦およびオープン特別はプレイヤーの拠点(関東・関西)において行われるレースのみ出走可能。日本国外のレースは凱旋門賞のみで、一定以上の成績を収めた競走馬のみ出走可能。プレイヤーは凱旋門賞優勝を目指すこととなる[2]
  • 競走馬生産の方法は単純で、強い馬同士を掛け合わせ、強い馬が偶然に誕生するのを待つのみである[3]。これは本作が馬主の活動をリアルに再現することを目指したため、強い競走馬を生産することよりも強い競走馬を見つけ出すことに重点が置かれたためである[4]
  • ゲーム中にはスーパーホースと呼ばれる、能力が極めて高いライバル競走馬が登場する[5]
  • 勝てば勝つほど競走馬の能力が上がるというシステムだったため、能力が平凡な馬でも勝ち続ければスーパーホースに勝つことも可能である。ただしEX版では新たに成長度の概念が導入されており、個体差はあるものの一定の時期を過ぎるとレースでの勝ち負けとは関係なく競走馬の競走能力が衰える。
  • 騎手および調教師(調教師は一部作品のみ)には年齢が設定されており、加齢に伴って引退する。引退した者が再び登場することはない。また、毎年架空の人物が騎手として登場する。

イベント 編集

牧童イベント
牧童が働いている(早来、静内以外の)専売牧場が生産した幼駒をプレイヤーが所有している状態で、専売牧場を訪問することで発生。幼駒が高い競走能力をもつスーパーホースとなる。さらに牧童は騎手となり、プレイヤーと同じ拠点でデビューすれば当初から高い友好度が得られる[6]

主な登場人物・スーパーホース 編集

人物 編集

有馬桜子
秘書。前述の実写映像が使用されている作品では実写で登場。

新人騎手 編集

  • 竹川雄二(1作目のみ。2作目以降、名前は雄一となっている)
  • 石田茂
  • 結城新吾
  • 小野あかね
  • 黒木幸恵

竹川、結城、小野の3人は以降のシリーズでもレギュラーであるが石田は『7』には登場しない。

スーパーホース 編集

  • ダークレジェンド
  • スーパーシュート
  • アイアンキング
  • クロスリング
  • ゲッコーストーム
  • サードステージ
  • ユーエスエスケープ
  • アウトオブアメリカ
  • ミヤワンローズ
  • ファーストサフィー
  • アンビリーバブル
  • チェリーバトル
  • メイジクラシック
  • メイジビーナス
  • サキュウコスモス
  • キャニオンキュート
  • アースクエイク

移植版 編集

No. タイトル 発売日 対応機種 開発元 発売元 メディア 型式 備考 Ref.
1 ウイニングポスト   199305011993年5月1日
FM TOWNS 光栄 光栄 フロッピーディスク KN10381040
2 ウイニングポスト   199305281993年5月28日
X68000 光栄 光栄 5インチフロッピーディスク KN10381030
3 ウイニングポスト   199309101993年9月10日
スーパーファミコン 光栄 光栄 16メガビットロムカセット[7] SHVC-WJ
4 ウイニングポスト   199309171993年9月17日
メガCD 光栄 光栄 CD-ROM T-76044
5 ウイニングポスト   199407291994年7月29日
Macintosh 光栄 光栄 フロッピーディスク -
6 ウイニングポスト with パワーアップキット   199408261994年8月26日
PC-9801 光栄 光栄 5インチフロッピーディスク
3.5インチフロッピーディスク
KN10721020
7 ウイニングポスト   199409161994年9月16日
3DO REAL 光栄 光栄 CD-ROM -
8 ウイニングポストEX   199508111995年8月11日
  1996年
セガサターン 光栄 光栄 CD-ROM T-7606G
9 ウイニングポストEX   199512291995年12月29日
PlayStation 光栄 光栄 CD-ROM SLPS-00189
10 ウイニングポスト   200108202001年8月20日
iモード コーエー コーエー ダウンロード - [8][9][10]
11 ウイニングポスト   200204012002年4月1日
J-SKY コーエー コーエー ダウンロード - [11][12]
12 コーエー25周年記念パック Vol.6   200311282003年11月28日
Windows 98 - XP コーエー コーエー CD-ROM - PC-9801版の移植 [13][14][15][16]
13 ウイニングポスト   200404222004年4月22日
EZアプリ コーエー コーエー ダウンロード - [17][18][19][20]
14 コーエー定番シリーズ
ウイニングポスト
  200507152005年7月15日
Windows 98 - XP コーエー コーエー CD-ROM - [21][22]
15 シブサワ・コウ アーカイブスパック Vol.7 INT 201707262017年7月26日
Windows 7/8.1/10 コーエーテクモ コーエーテクモ ダウンロード
(Steam)
- [23][24]

開発 編集

第二次競馬ブーム期に「GIを勝つような馬の馬主になれたら…」という想いを抱いた担当プロデューサーが開発を企画し、発売へと繋がった[2]。企画がスタートした当初は日本に競馬シミュレーションのゲームソフトは存在せず、プロデューサーには「出せば必ず売れる」という確信があったという[2]。しかし開発の途中で『ダービースタリオン』(1991年)がファミリーコンピュータソフトとして発売されたことに衝撃を受け、最終的にはゲームのコンセプトが違うと気を取り直したというエピソードが存在する[2]

評価 編集

評価
レビュー結果
媒体結果
ファミ通26/40点 (SFC)[25]
26/40点 (MCD)[26]
24/40点 (SS)[27]
24/40点 (PS)[28]
GamePro2/5点 (SS)[29]
ファミリーコンピュータMagazine20.9/30点 (SFC)[30]
メガドライブFAN21.7/30点 (MCD)[31]
SATURN FAN19.9/30点 (SS)[32]
VG&CE6/10点 (SS)[29]
PlayStation Magazine17.7/30点 (PS)[33]
スーパーファミコン版
ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では、7・6・6・7の合計26点(満40点)[25]、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通り、20.9点(満30点)となっている[30]
項目 キャラクタ 音楽 お買得度 操作性 熱中度 オリジナリティ 総合
得点 3.6 3.4 3.2 3.6 3.7 3.6 20.9
メガCD版
ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では、7・6・6・7の合計26点(満40点)[26]、『メガドライブFAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通り、21.7点(満30点)となっている[31]
項目 キャラクタ 音楽 お買得度 操作性 熱中度 オリジナリティ 総合
得点 3.6 3.3 3.3 3.4 4.1 4.0 21.7
セガサターン版
ゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」では、7・6・6・5の合計24点(満40点)[27]、『SATURN FAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通り、19.9点(満30点)となっている[32]
項目 キャラクタ 音楽 お買得度 操作性 熱中度 オリジナリティ 総合
得点 3.4 3.1 3.5 3.2 3.6 3.1 19.9
PlayStation版
ゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」では、7・6・6・5の合計24点(満40点)[28]、『PlayStation Magazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通り、17.7点(満30点)となっている[33]
項目 キャラクタ 音楽 お買得度 操作性 熱中度 オリジナリティ 総合
得点 3.3 3.0 2.6 3.0 3.1 2.8 17.7

脚注 編集

注釈 編集

出典 編集

  1. ^ ノーギミック(編) 2003, p. 6.
  2. ^ a b c d ノーギミック(編) 2003, p. 7.
  3. ^ ノーギミック(編) 2003, p. 100.
  4. ^ ノーギミック(編) 2003, pp. 98–99.
  5. ^ ノーギミック(編) 2003, p. 8.
  6. ^ シブサワコウ(編) 1993, p. 62.
  7. ^ 前田尋之「Chapter 2 スーパーファミコンソフトオールカタログ 1993年」『G-MOOK176 スーパーファミコンパーフェクトカタログ』ジーウォーク、2019年9月28日、74 - 107頁。ISBN 9784862979131 
  8. ^ PS2と連携する「ウイニングポスト」iモード版登場” (日本語). ITmedia Moblie. アイティメディア (2001年7月27日). 2020年7月18日閲覧。
  9. ^ 白根雅彦 (2001年7月27日). “iモードで育てた競走馬がプレステ2で走る「ウイニングポスト」” (日本語). ケータイ Watch. インプレス. 2020年7月18日閲覧。
  10. ^ 田名網陽平 (2001年7月27日). “コーエー、三國志など3タイトルをiモード、J-SKYゲームとして配信” (日本語). GAME Watch. インプレス. 2020年7月18日閲覧。
  11. ^ PS2とも連動したJ-SKY版「ウイニングポスト」” (日本語). SOFTBANK GAMES NEWS INDEX. ITmedia (2002年3月22日). 2020年7月18日閲覧。
  12. ^ Iwahama (2002年3月22日). “J-SKY版「ウイニングポスト」登場!” (日本語). 4Gamer.net. Aetas. 2020年7月18日閲覧。
  13. ^ 「コーエー25周年記念パック」のVol.4~6が登場!” (日本語). SOFTBANK GAMES NEWS INDEX. ITmedia (2003年10月3日). 2020年6月7日閲覧。
  14. ^ 中村聖司 (2003年10月3日). “コーエー、「コーエー25周年記念パック 第2弾」を発売” (日本語). GAME Watch. インプレス. 2020年6月7日閲覧。
  15. ^ 1988~1995年の名作PCゲーム復活!「コーエー25周年記念パック」第2弾発売決定” (日本語). 電撃オンライン. KADOKAWA (2003年10月3日). 2020年6月7日閲覧。
  16. ^ 信長・戦国群雄伝に太閤立志伝も! コーエー「25周年記念パック」第4~6弾発表” (日本語). 4Gamer.net. Aetas (2003年10月3日). 2020年6月7日閲覧。
  17. ^ コーエー、EZweb版「ウイニングポスト」を4月22日より配信” (日本語). ITmedia Moblie. アイティメディア (2004年4月7日). 2020年7月18日閲覧。
  18. ^ EZwebで人気競馬SLG『ウイニングポスト』が配信決定!PS2版とも連動” (日本語). 電撃オンライン. KADOKAWA (2004年4月7日). 2020年7月18日閲覧。
  19. ^ 滝沢修 (2004年4月8日). “コーエー、現実世界のレース結果と連動するEZweb「ウイニングポスト」育てた馬はシリーズ続編にも対応予定” (日本語). GAME Watch. インプレス. 2020年7月18日閲覧。
  20. ^ Seirou (2004年4月8日). “コーエー,EZweb版「ウイニングポスト」の配信を発表” (日本語). 4Gamer.net. Aetas. 2020年7月18日閲覧。
  21. ^ PC-9801の名作たちがWindowsで復活!「コーエー定番シリーズ」に16タイトル追加” (日本語). 電撃オンライン. KADOKAWA (2005年6月10日). 2020年6月20日閲覧。
  22. ^ コーエー,同社の定番16タイトルを廉価版として連続リリース” (日本語). 4Gamer.net. Aetas (2005年6月10日). 2020年6月20日閲覧。
  23. ^ Steamの“シブサワ・コウ アーカイブス”第7弾は『信長の野望・将星録 with パワーアップキット』、『三國志VII with パワーアップキット』、『ウイニングポスト』” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA (2017年7月26日). 2020年7月18日閲覧。
  24. ^ Gueed (2017年7月26日). “「シブサワ・コウ アーカイブス」第7弾,「信長の野望・将星録WPK」「三國志VIIWPK」「Winning Post」の配信がSteamで本日スタート” (日本語). 4Gamer.net. Aetas. 2020年7月18日閲覧。
  25. ^ a b ウイニングポスト まとめ [スーパーファミコン]” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2020年7月18日閲覧。
  26. ^ a b ウイニングポスト まとめ [メガドライブ]” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2020年7月18日閲覧。
  27. ^ a b ウイニングポストEX まとめ [セガサターン]” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2020年7月18日閲覧。
  28. ^ a b ウイニングポストEX まとめ [PS]” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2020年7月18日閲覧。
  29. ^ a b Winning Post for SEGA Saturn (1995)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2020年7月18日閲覧。
  30. ^ a b 「超絶 大技林 '98年春版」『Play Station Magazine』増刊4月15日号、徳間書店/インターメディア・カンパニー、1998年4月15日、166頁、ASIN B00J16900U 
  31. ^ a b 「超絶 大技林 '98年春版」『Play Station Magazine』増刊4月15日号、徳間書店/インターメディア・カンパニー、1998年4月15日、826頁、ASIN B00J16900U 
  32. ^ a b 「超絶 大技林 '98年春版」『Play Station Magazine』増刊4月15日号、徳間書店/インターメディア・カンパニー、1998年4月15日、682頁、ASIN B00J16900U 
  33. ^ a b 「超絶 大技林 '98年春版」『Play Station Magazine』増刊4月15日号、徳間書店/インターメディア・カンパニー、1998年4月15日、922頁、ASIN B00J16900U 

参考文献 編集

  • ノーギミック(編) 編『ウイニングポスト大全 1993-2003』KOEI、2003年。ISBN 978-4-7758-0098-0 
  • シブサワコウ(編) 編『ウイニングポストハンドブック』光栄〈シブサワ・コウシリーズ〉、1993年。ISBN 978-4-87719-025-5 

外部リンク 編集