リス (ローラン・スーリソー)
リス (Riss; 本名ローラン・スーリソー Laurent Sourisseau; 1966年9月20日 - ) はフランスの風刺画家・ジャーナリスト、風刺新聞『シャルリー・エブド』の編集長。
リス (ローラン・スーリソー) | |
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生誕 |
1966年9月20日(58歳) フランス, ムラン, イル=ド=フランス地域圏 |
国籍 | フランス |
職業 | 風刺画家、ジャーナリスト |
サイン |
経歴
編集法学の学士号を取得した後、独学で風刺漫画 (dessin de presse) を学んだ。「親を安心させるために」フランス国有鉄道 (SNCF) に就職したが[1]、湾岸戦争に反対する風刺新聞として1991年に創刊された『ラ・グロス・ベルタ (La Grosse Bertha)』(「グロス・ベルタ」は「ディッケ・ベルタ」のこと)に風刺画を数枚投稿したところ、翌週に2枚掲載されることになった。やがて『ラ・グロス・ベルタ』の編集長と意見が合わなくなったジャーナリストのフィリップ・ヴァル (Philippe Val) と風刺画家カビュが1992年に新たに『シャルリー・エブド』を立ち上げたとき、同じく風刺画家のジョルジュ・ウォランスキ、シャルブ、リュズらとともにこれに参加した[2]。早くも1992年にリスが描いたカロリーヌ・ド・モナコの風刺画が侮辱的だとして訴えられたが、原告側の要求はすべて却下され、『シャルリー・エブド』が勝訴した[1][3]。
2015年1月7日、シャルリー・エブド襲撃事件で警察官、風刺画家、ジャーナリストを含む12人がイスラム過激派に殺害された。リスも撃たれ、右肩を負傷した。退院後、亡くなったシャルブに代わって編集長に就任した。事件1週間後の1月14日に「生存者の号(numéro des survivants)」と題する1178号を発行したものの、その後の目途が立たず、1月20日、「次号は来週ではなく、数週間後になる」と発表。「この試練を創造的なものに変えていかなければならない。簡単なことではない。編集スタッフの一部はまだこの事件を克服できていないし、私自身、退院後、克服していけるかどうかわからない。いずれにせよ、やってみるしかない」と説明した[4]。2月25日、「また始まった」と題する1179号を発行。
主著に、第二次世界大戦中にユダヤ人を強制収容所に送ったとして1980年代から人道に対する罪に問われたモーリス・パポンの裁判を取材した『パポン裁判 ― ホロコーストに貢献したヴィシー政権の公務員 (Le Procès Papon - Un fonctionnaire de Vichy au service de la Shoah)』[5]、ニコラ・サルコジ大統領を風刺した『サルコジのケルヒャーで洗い流された顔 (La Face karchée de Sarkozy)』極右「国民戦線」のマリーヌ・ル・ペン党首の生い立ちを描き、2017年大統領選挙の前に刊行した『マリーヌ・ル・ペンの隠された顔 (La Face crashée de Marine Le Pen)』[6] などがある。
著書
編集- Les Grands Procès par Charlie Hebdo : Le procès Papon (シャルリー・エブドによる大裁判), シナリオ共同制作, Charlie Hebdo/Rotative, 1998
- Mémé femme pratique (おばあちゃん、女性実務家), Le Cherche midi, 1999
- Le Tour de France du crime (犯罪のツール・ド・フランス), 『シャルリー・エブド』特集号 (第11号), Éditions Rotative, 2000
- La Face kärchée de Sarkozy (サルコジのケルヒャーで洗い流された顔)[7], リシャール・マルカ、フィリップ・コーエンとの共著, Vents d'Ouest / Fayard, 2006
- La Face kärchée de Sarkozy, la suite : Sarko 1er (サルコジのケルヒャーで洗い流された顔, 続編, サルコ1世), リシャール・マルカ、フィリップ・コーエンとの共著, Vents d'Ouest / Fayard, 2007
- Présidentielle 2007 : Carnet de campagne de Charlie Hebdo (2007年大統領選挙 ― シャルリー・エブドの手帳), アンヌ=ソフィー・メルシエとの共著, Jean-Claude Gawsewitch, 2007
- J'aime pas l'école (学校は嫌い), Hoëbeke, 2007
- Le Rêve américain expliqué aux mécréants (アメリカンドリームの無神論者向けの解説), Albin Michel, 2007
- Rien à branler (面白いことは何もない), 『シャルリー・エブド』第828号付録, 2008
- Carla et Carlito ou la Vie de château (カルラとカルリトまたは大名暮らし), リシャール・マルカ、フィリップ・コーエンとの共著, 12 bi, 2008
- Ma première croisade, Georgie Bush s'en va t-en guerre (初めての十字軍 ― ジョージア・ブッシュ、戦争に行く), Les Échappés, 2008
- Obama, what else? (オバマ、他に何か?), ジャン=リュック・エースとの共著, Les Échappés, 2009
- Hitler dans mon salon. Photos privées d’Allemagne 1933 à 1945 (うちの客間のヒットラー ― 1933年から1945年までのドイツの個人的な写真), Les Échappés, 2009
- La véritable histoire du Petit Jésus (幼子イエスの真の物語), 『シャルリー・エブド』特集号, 2014
- La Face crashée de Marine Le Pen (マリーヌ・ル・ペンの隠された顔), リシャール・マルカ、サイド・マーラーヌとの共著, Grasset, 2016
- Le Procès Papon - Un fonctionnaire de Vichy au service de la Shoah (パポン裁判 ― ホロコーストに貢献したヴィシー政権の公務員), Les Echappés
共著
- Mozart qu'on assassin (殺されたモーツァルト), Albin Michel, 2006 (カトリーヌ・ムリス、シャルブ、リュズ、ティニウス、ジュルとの共著)
- Le Cahier de vacances de Charlie Hebdo (『シャルリー・エブド』のヴァカンス手帳), Les Échappés, 2009 (カトリーヌ・ムリス、シャルブ、リュズとの共作)
- Les Brèves de Charlie Hebdo (シャルリー・エブドのほんの一言), Les Echappés, 2008 (リュズ、カビュ、カトリーヌ・ムリスとの共著)
- C'est la faute à la société (社会のせいだ), 12 bis, 2008 (共著)
脚注
編集- ^ a b “Riss, l’homme derrière la caricature” (フランス語). L'Humanité. (2016年8月23日) 2018年6月23日閲覧。
- ^ “Mercredi, c'est Charlie : le nucléaire vu par Riss - Magazine GoodPlanet Info” (フランス語). Magazine GoodPlanet Info. (2015年1月20日) 2018年6月23日閲覧。
- ^ “Procès | Charlie Hebdo”. charliehebdo.fr. 2018年6月23日閲覧。
- ^ “Charlie Hebdo: pas de parution "dans les semaines à venir"”. FIGARO (2015年1月20日). 2018年6月23日閲覧。
- ^ texte, Riss (1966-....). Auteur du (2017年). “BnF Catalogue général” (フランス語). catalogue.bnf.fr. 2018年6月23日閲覧。
- ^ “Dans "La face crashée de Marine Le Pen", une femme "sous influence" en bande dessinée” (フランス語). Marianne. (2016年10月1日) 2018年6月23日閲覧。
- ^ 「ケルヒャー」は高圧洗浄機メーカーであり、2005年6月にパリ郊外のラ・クールヌーヴで子供が殺害された事件を受け、当時の内務大臣ニコラ・サルコジはラ・クールヌーヴを「ケルヒャーで洗い流す」と言った。大嶋えり子, 「: 国立移民歴史館の事例を中心に」 掲載誌 『年報政治学』日本政治学会 編, 65巻 1号 2014年 p.1_290-1_309。