テオ・プルシェール
テオ・ジェロム・ジュリアン・プルシェール（Théo Jérôme Julien Pourchaire, 2003年8月20日 - ）は、フランス・グラース出身のレーシングドライバー。2023年のFIA F2選手権チャンピオン[1]。
| テオ・プルシェール Théo Pourchaire | |
|---|---|
.jpg) オッシャースレーベンでのプルシェール （2019年） | |
| 基本情報 | |
| 国籍 |
.svg){kind=small} フランス |
| 生年月日 |
2003年8月20日（20歳） テオ・ジェロム・ジュリアン・プルシェール Théo Jérôme Julien Pourchaire |
| 出身地 |
フランス グラース |
| 過去参加シリーズ | |
| 2018 2019 2020 2020-23 |
フランス・F4ジュニア選手権（英語版） ADAC・フォーミュラ4（英語版） FIA フォーミュラ3選手権（英語版） FIA フォーミュラ2選手権（英語版） |
| 選手権タイトル | |
| 2018 2019 2023 |
フランス・F4ジュニア選手権（英語版） ADAC・フォーミュラ4（英語版） FIA フォーミュラ2選手権（英語版） |
経歴 編集
カート 編集
2003年、フランスのグラースで誕生。2歳半からカートを始め、7歳頃には本格的にレースデビューを果たす。フランス国内複数のカートレースを制し、「CIK-FIA ワールド・ジュニア・チャンピオンシップ - OK・ジュニアクラス」「ドイツ・ジュニア・カート・チャンピオンシップ（英語版）」で総合3位となった[2][3]。
ジュニア・フォーミュラ 編集
2018年よりプルシェールは、シングルシーターカテゴリーへステップアップする。ジュニア・チャンピオンシップのドライバーとして「フランス・F4選手権（英語版）」へ参戦した[4]。第3戦スパ・フランコルシャン・レース2にて初優勝を飾る[5]（ジュニア・チャンピオンシップとしての参戦であるため、本戦のドライバーズランクへポイントが加算されない）。ジュニア・チャンピオンシップで16勝を挙げ、ジュニアタイトルを獲得した[6]。
翌年は、US・レーシング-CHRS（英語版）から「ADAC・フォーミュラ4（英語版）」へエントリーする。第5戦ニュルブルクリンク・レース1-2で連勝を飾るなどシーズン4勝を挙げる。レッドブル・ジュニア所属のデニス・ハウガーを7ポイント差で下し、タイトル争いを制した[7][8]。
FIA フォーミュラ3選手権 編集
2019年10月、プルシェールはバレンシア・サーキットで行われた「FIA フォーミュラ3選手権（英語版）」のオフシーズンテストへ参加[9]。2ヶ月後、ARTグランプリから2020年シーズンのドライバーとして参戦することを発表した。第2戦レッドブル・リンク・レース2で初優勝を果たすと、続く第3戦ハンガロリンク・レース1もトップチェッカーを受け連勝を飾る。シーズン終盤には4連続表彰台を獲得するなど、参戦初年度ながらもタイトル争いに加わる走りを見せた。ランキングではチャンピオンとなったオスカー・ピアストリと僅か3ポイント差のランキング2位（161ポイント）となった。なお、 ランキング3位はローガン・サージェント、同5位はリアム・ローソンであった[10][11]。
FIA フォーミュラ2選手権 編集
2020年 編集
2020年10月、「FIA フォーミュラ2選手権」へスポット参戦を果たす[12]。ジェイク・ヒューズに代わり、バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われた第11戦へARTグランプリから出走した[12]。レース2では、走行中車体に搭載している消火器が噴射するアクシデントに見舞われリタイアとなった[13]。続く最終戦もエントリーしレース1を18位、レース2を21位でチェッカーを受ける。
2021年 編集
シーズン終了後のオフシーズンテストへ参加した後、2021年1月にARTからレースドライバーとしてフルタイム参戦することを発表した[14]。第2戦モンテカルロ市街地コース・レース3にてポールトゥーウィンを飾り、F2での史上最年少優勝記録を更新した[15]。続く第3戦バクー市街地コース・レース3では、オープニングラップに発生した多重クラッシュへ巻き込まれ病院搬送された[16]。診察の結果左橈骨の骨折と診断され、モナコの診療施設へ移り療養を続ける[16]。第4戦シルバーストン・サーキットまでの間に治療を終えレースへ復帰した。第7戦ジッダ市街地コース・レース3にて、スタート時ストールを起こして停車していたところ後続を走っていたマシンに追突されてしまう[17]。このクラッシュでプルシェールは無事であったが、追突したチャロウズのエンツォ・フィッティパルディはかかとの骨折・切り傷・打撲という怪我を負った[17]。フル参戦初年度で2勝を挙げ、ランキング5位（140ポイント）となった[18]。
2022年 編集
フルタイム2年目となり開幕前にはチャンピオン候補にも挙げられ、シーズン序盤はフェリペ・ドルゴヴィッチとタイトル争いを展開する。カタロニアでドルゴビッチが両レースを制すと以後はポイント差が広がり、結果としてチャンピオンとなったドルゴビッチに100ポイントの差をつけられたが、年間3勝を挙げランキング2位と前年よりポジションを上げた。
2023年 編集
引き続きARTグランプリから参戦。シーズン序盤に1勝目を挙げ、シーズン中盤も安定して表彰台を獲得したことで、フレデリック・ヴェスティや岩佐歩夢とタイトル争いを展開。最終戦アブダビでは、岩佐がポールを逃したことでヴェスティの一騎打ちとなる。レース1ではヴェスティが優勝し、場合によっては逆転される恐れがあったが、レース2ではヴェスティと激しいポジション争いをして彼の上位入賞を防いだ。結果的に逃げ切り、フル参戦3年目にして念願のチャンピオンに輝いた。年間1勝、表彰台登壇10回で203ポイントを獲得し、同年唯一の200ポイント越えを達成した。
フォーミュラ1 編集
2020年6月、ザウバーが創設した育成プログラム「ザウバー・アカデミー」へ加入する[20]。2022年、2023年も継続してザウバー・アルファロメオのテストドライバー、リザーブドライバーとして契約[21]。2023年メキシコシティグランプリのFP1ではバルテリ・ボッタスに代わりF1公式セッションを走行した[21]。2024年はアルファロメオとの契約終了に伴い名称を変更したキック・ザウバーのリザーブドライバーを引き続き務める[22]。
スーパーフォーミュラ 編集
2023年シーズンに向けてはスーパーフォーミュラへのフル参戦も可能性が検討されていた[21]。FIA F2チャンピオン獲得後、同年12月6日-8日に開催されるスーパーフォーミュラの鈴鹿合同テストへの参加が発表された。ITOCHU ENEX TEAM IMPULのダラーラ・SF23での初走行となる[23]。
レース戦績 編集
略歴 編集
| 年 | シリーズ | チーム | レース | 勝利 | PP | FL | 表彰台 | ポイント | 順位 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2018 | フランス・F4選手権（英語版） | FFSA・アカデミー（英語版） | 21 | 1 | 0 | 1 | 7 | 0 | NC† |
| フランス・F4選手権・ジュニア | 16 | 0 | 1 | 20 | 408.5 | 1位 | |||
| 2019 | ADAC・フォーミュラ4選手権（英語版） | US・レーシング（英語版）-CHRS（英語版） | 20 | 4 | 6 | 1 | 12 | 258 | 1位 |
| 2020 | FIA フォーミュラ3選手権（英語版） | ARTグランプリ | 18 | 2 | 0 | 0 | 8 | 161 | 2位 |
| FIA フォーミュラ2選手権（英語版） | BWT・HWA・レースラボ（英語版） | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 26位 | |
| 2021 | ARTグランプリ | 23 | 2 | 1 | 3 | 3 | 140 | 5位 | |
| 2022 | 28 | 3 | 0 | 0 | 7 | 164 | 2位 | ||
| フォーミュラ1 | アルファロメオF1チーム・オーレン | テストドライバー | |||||||
| 2023 | FIA フォーミュラ2選手権 | ARTグランプリ | 26 | 1 | 2 | 4 | 10 | 203 | 1位 |
| フォーミュラ1 | アルファロメオF1チーム・ステーク | リザーブドライバー | |||||||
| 2024 | スーパーフォーミュラ | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL | |||||||
- † : ジュニアカテゴリーのエントリーであるため、本戦のドライバーズランキングへポイントが加算されない。
- * : 今シーズンの順位。（現時点）
フランス・F4ジュニア選手権 編集
| 年 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | DC | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2018年 （英語版） |
NOG 1 1 |
NOG 2 1 |
NOG 3 1 |
PAU 1 1 |
PAU 2 2 |
PAU 3 1 |
SPA 1 1 |
SPA 2 1 |
SPA 3 1 |
DIJ 1 1 |
DIJ 2 1 |
DIJ 3 1 |
MAG 1 1 |
MAG 2 Ret |
MAG 3 1 |
JER 1 1 |
JER 2 2 |
JER 3 3 |
LEC 1 1 |
LEC 2 2 |
LEC 3 1 |
1位 | 408.5 |
ADAC・フォーミュラ4選手権 編集
| 年 | チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | DC | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2019年 （英語版） |
US・レーシング-CHRS （英語版）-（英語版） |
OSC 1 5 |
OSC 2 2 |
OSC 3 10 |
RBR 1 12 |
RBR 2 1 |
RBR 3 3 |
HOC 1 2 |
HOC 2 3 |
ZAN 1 3 |
ZAN 2 3 |
ZAN 3 7 |
NÜR 1 1 |
NÜR 2 1 |
NÜR 3 11 |
HOC 1 14 |
HOC 2 12 |
HOC 3 6 |
SAC 1 2 |
SAC 2 1 |
SAC 3 2 |
1位 | 258 |
FIA フォーミュラ3選手権 編集
| 年 | エントラント | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | DC | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2020年 （英語版） |
ARTグランプリ | RBR FEA 13 |
RBR SPR 26 |
RBR FEA 9‡ |
RBR SPR 1 |
HUN FEA 1 |
HUN SPR 6 |
SIL FEA 12 |
SIL SPR 8 |
SIL FEA 6 |
SIL SPR 3 |
CAT FEA 7 |
CAT SPR 6 |
SPA FEA 2 |
SPA SPR 5 |
MNZ FEA 2 |
MNZ SPR 2 |
MUG FEA 3 |
MUG SPR 3 |
2位 | 161 |
FIA フォーミュラ2選手権 編集
フォーミュラ1 編集
| 年 | エントラント | シャシー | エンジン | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | WDC | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年 | アルファロメオ | C42 | フェラーリ 066/7 1.6 V6 t | BHR | SAU | AUS | EMI | MIA | ESP | MON | AZE | CAN | GBR | AUT | FRA | HUN | BEL | NED | ITA | SIN | JPN | USA TD |
MXC | SÃO | ABU | - | - |
| 2023年 | C43 （英語版） |
フェラーリ 066/10 1.6 V6 t | BHR | SAU | AUS | AZE | MIA | MON | ESP | CAN | AUT | GBR | HUN | BEL | NED | ITA | SIN | JPN | QAT | USA | MXC TD |
SÃO | LVG | ABU TD |
- | - |
スーパーフォーミュラ 編集
| 年 | チーム | シャーシ | エンジン | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 順位 | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年 | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL | ダラーラ・SF23 | トヨタ | SUZ 18 |
AUT |
SUG |
FSW |
MOT |
FSW |
FSW |
SUZ |
SUZ |
18位 | 0 |
出典 編集
- ^ FIA F2フル参戦3年目で掴んだ戴冠。テオ・プルシェール「僕はチャンピオンなんだ、クレイジーだ」 オートスポーツ 2023年11月27日
- ^ “CIK-FIA World Junior Championship - OK Junior 2016 standings”. DRIVER DATABASE. 2022年2月21日閲覧。
- ^ “German Junior Kart Championship 2016 standings”. DRIVER DATABASE. 2022年2月21日閲覧。
- ^ “Why a revitalised French F4 will be a series to watch in 2018”. FORMULA SCOUT (2018年3月29日). 2022年2月21日閲覧。
- ^ “De Pauw, Pourchaire and White win French F4 races at Spa”. FORMULA SCOUT (2018年6月3日). 2022年2月21日閲覧。
- ^ “French F4 Championship Junior 2018 standings”. DRIVER DATABASE. 2022年2月21日閲覧。
- ^ “Theo Pourchaire crowned ADAC F4 champion as rival Dennis Hauger gifted race win”. FORMULA SCOUT (2019年9月29日). 2022年2月21日閲覧。
- ^ “Formula 4 ADAC 2019 standings”. DRIVER DATABASE. 2022年2月21日閲覧。
- ^ “F3 - FIA F3 RETURNS FOR POST-SEASON TESTS AT CIRCUIT DE VALENCIA”. FIA - Fédération Internationale de l'Automobile (2019年10月19日). 2022年2月21日閲覧。
- ^ “ローソンが3勝目。ピアストリが戴冠【順位結果】FIA-F3第9戦イタリア レース2”. auto sport Web (2020年9月13日). 2022年2月21日閲覧。
- ^ “STANDINGS FORMULA 3 2020”. F3 - FIA FORMULA 3 CHAMPIONSHIP™. 2022年2月21日閲覧。
- ^ a b “Pourchaire to make F2 debut with HWA in Bahrain”. motorsport.com (2020年10月14日). 2022年2月22日閲覧。
- ^ “シュワルツマンが4勝目。角田裕毅は選手権5位後退も3位まで5点差【FIA-F2第11戦バーレーン レース2】”. auto sport Web (2020年11月29日). 2022年2月22日閲覧。
- ^ “Sauber protege Pourchaire moves up to F2 with ART”. motorsport.com (2021年1月25日). 2022年2月22日閲覧。
- ^ “17歳のザウバー育成プルシェールが初優勝。佐藤万璃音は意地を見せ14位【FIA-F2第2戦モナコ レース3】”. auto sport Web (2021年5月23日). 2022年2月22日閲覧。
- ^ a b “F2最年少勝者のプルシェール、F2バクーでのクラッシュで左手首を骨折……次戦シルバーストーンは欠場か”. motorsport.com (2021年6月9日). 2022年2月22日閲覧。
- ^ a b “スタート直後の衝突で病院に搬送されたエンツォ・フィッティパルディが容体を報告。かかとの骨折が判明／FIA-F2第7戦”. motorsport.com (2021年12月7日). 2022年2月22日閲覧。
- ^ “STANDINGS FORMULA 2 2021”. F2 - FIA FORMULA 2 CHAMPIONSHIP™. 2022年2月22日閲覧。
- ^ “Pourchaire extends ART stay in Formula 2 for 2022 season”. motorsport.com (2022年1月10日). 2022年2月22日閲覧。
- ^ “F1ドライバー育成機関「ザウバー・アカデミー」創設、フィッティパルディJr.が第一期生に”. FORMULA1-DATA (2020年6月25日). 2022年2月22日閲覧。
- ^ a b c スーパーフォーミュラ、次なる刺客はザウバーF1育成のテオ・プルシェール。チーム代表が2024年のシート獲得目指す姿勢を明らかに Motorsport.com 2023年10月31日
- ^ autosport web (2023年9月14日). “ラインアップ継続のアルファロメオF1、2024年もテオ・プルシェールをリザーブドライバーに起用 | F1”. autosport web. 2024年3月9日閲覧。
- ^ 今季FIA F2王者も参加のスーパーフォーミュラ鈴鹿合同テスト、総勢32人がエントリー オートスポーツ 2023年12月4日
外部リンク 編集
- Théo Pourchaire (@TPourchaire) - X（旧Twitter）
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