きらら397

きらら397(きららさんきゅうなな)は北海道産のイネ品種の1つ。1990年品種登録、登録番号 第2151号。それまでのあまり美味しくない北海道米のイメージを一新した品種である。

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育成と普及の経過編集

北海道立上川農業試験場(現・北海道立総合研究機構農業研究本部上川農業試験場)で育成された。1980年に始まった北海道における「優良米の早期開発試験」事業の中で研究が行われた。1980年に試験交配が着手され、1982年以降に数度の系統選抜を経て、奨励品種決定調査へと進んだ。「上育397号」の系統番号で試験され、1988年1月の会議で出席者の全員一致により北海道の奨励品種(優良品種)となった。名前の「きらら」は、きらめく様子・白い米のイメージから一般公募の中から選ばれた。

交配組合せは、母が「渡育214号」(後の「しまひかり」)、父が「道北36号」(後の「キタアケ」)である。「しまひかり」は「コシヒカリ」の血を引く良味品種であったが、北海道で栽培するには耐冷性に問題があった。他方の「キタアケ」は早生種で、耐冷性に優れて多収量だったが、食味に劣り、典型的な従来の北海道米の性格を有していた。いずれの品種も1980年当時は奨励品種決定前の開発段階であった。なお、開発初期の段階では、良食味かつ耐冷性の新鋭と言われていた「ゆきひかり」(当時は開発段階)と「しまひかり」の組み合わせの方が有望視されていた。

完成した「きらら397」は、かつて「鳥またぎ」とまで揶揄された不味い北海道米のイメージを一新する品種となった。1989年から作付けが始まった「きらら397」は、それまで北海道米のエース的存在だった「ゆきひかり」に取って代わり、道内で最大の作付面積を誇る品種に成長した。1996年の全国的な米余りに際しては一時的に販売不振となったが、ホクレン農業協同組合連合会主導による外食産業向けの販路拡大などで再び活況を取り戻している。北海道産の良味品種としては、その後に開発された北海道産の良食味米「ほしのゆめ」及び「ななつぼし」の先駆けといえる。なお、「きらら397」の培養変異である札系96118と上育427号(「ほしたろう」)とを交配させた「ゆめぴりか」も、2008年に北海道の優良品種として採用されている。

品種特性編集

特徴としては、長所は良食味であり、初期生育が良く、穂数確保が容易であること。短所は耐倒伏性と登熟性に劣ることである。食味に関わる成分のうち、数値が低いほど米の粘り気が増すアミロース値は、奨励品種決定直前の検査では19%を記録し、北海道米としては史上初めて20%を切ることに成功した。同じく粘りなどに関わり低い方が好ましいタンパク値も6.3-6.5で、やはり北海道産としては小さな値に収まっている。これにより、従来の北海道米に比べると、粘り気があって冷めても美味しい米となっている。

いわゆるブランド米でありながら、コシヒカリなどの他のブランド米の品種と比べて価格が安く、かつ、粒が大きく炊き増えがする事、また、汁気の多い食材と組み合わせてもふやけないことから牛丼チェーンの松屋吉野家など丼物を中心とした外食産業で用いられる事が多かった。きらら397のタンパク値は北海道産としては良好でも、本州の優良産地コシヒカリに比べるとやや高い値で、粘り気が少ないとされるが、この点がかえって牛丼などの丼物には適していると歓迎されている。吉野家では1995年にきらら397をメインとしたブレンド米「吉野家規格」を定めている他[1]、同社向けにあえてタンパク値を高めて粘り気を少なくした専用仕様の生産も、契約農家で行われている。

ただ既に登場から25年以上が経過しており作付面積も減少傾向であることから、吉野家では2015年頃から道内店舗を中心に、同じく粘り気が少ない後継品種の『そらゆき』への切替を進めている[2]。また松屋も2017年現在は道内店舗では『ななつぼし』、道外店舗では『あきたこまち』を使用している[3]

生育特性編集

北海道産きらら397の場合の一例。

  • 播種日・・・ 4月19日
  • 田植日(移植日)・・・ 5月24日
  • 出穂期・・・ 7月27日
  • 登熟期(つまり、実る時期)・・・ 8月6日〜9月19日

注)登熟期の開始日は、出穂期+10日目の日としている。

その他編集

参考文献編集

  • 足立紀尚 『牛丼を変えたコメ―北海道「きらら397」の挑戦』(新潮新書、2004年)

脚注編集

外部リンク編集