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女性器の外観:
1: 陰核包皮
2: 陰核
3: 小陰唇
4: 膣口
5: 大陰唇

まんことは、日本語における女性器の俗語である。接頭語に「お」を付けて「おまんこ」と表現されることも多い。辞書によっては「満紅、満戸、万古、真所」などの当て字の紹介が見られる[1]。英語ではcuntpussyrise などのスラングがほぼこの語に対応する。

以下、特に断らない限り女性器それ自体でなく、日本語における「まんこ」と言う語について解説する。

概説

テレビやラジオなどの放送メディアにおいては、いわゆる放送禁止用語の一種である[2]。1999年、沖縄県の漫湖(まんこ)がラムサール条約の登録湿地に認定された際、NHKが字幕では「漫湖」と出しながら、ナレーションでは「認定されたのは“この湖(みずうみ)”で・・・」と読んで、「まんこ」という音声が電波に乗るのを巧妙に回避した、という証言がある[3]。ゲームにおけるプレイヤーの命名の際も入力禁止に設定されていることが多い。これに対して男性器の俗称である「おちんちん」などの語は、放送禁止用語に指定されていることが少ない[4]。「おちんちん」や「ちんこ」は器官そのものを指す用語であるのに対し、「まんこ」は性行為を意味することもあるため、特に女性軽視の用語であるとして使用が強く制限されている。

沿革

これは明治になって使われ始めた言葉で、ルーツはそれほど古くない。江戸時代にはぼぼと呼ばれていた[5]

1921年に発行された『言泉』では、「まんこは陰門に同じ」とする(語義を知りたければ陰門を見よ、ということ)[6]。ある時期より「まんこ」の知名度が上昇し、2018年に発行された『広辞苑』第七版では見出し語として採録されるばかりでなく、「女性器の俗語」と語義も説明している[7]

また、『性的なことば』では、まんことの単語が全国区で認知されるようになったのは1988年頃ではないかと述べている。以下、詳述する[1]

  • 1972年に大阪で紅萬子(くれない まんこ)がデビューしている
  • 1978年に京都大学のレガッタ大会において「夕焼けのおまんた」というチームが出場したが大した騒ぎにならなかった。『日本俗語大辞典』は、ヘアスタイルの一種で「おまんた分け」というものがあるが、これは卑猥な言葉であるという。「おまんた」は「おまんたん」の略[2]
  • 1984年には松本明子がラジオの全国放送(同時放送のテレビは全国放送ではなく、あくまで関東地方と静岡県のみの放送)で、「おまんこ」と発しテレビ局を出入り禁止になる事件もある。彼女は1966年香川県出身で、「おまんこという言葉は知らなかった」と後に述懐する[8]

以上を根拠に、少なくとも関西圏では「めこ」はともかく「まんこ」は周知されていなかったとする。

語源

語源は諸説ある。

  • 体の中心を意味する眞處(まこ)の音便[9]
  • 女子(めのこ)の転訛であるという説[10]。「めこ」もめのこの転訛とする文献もある[11]
  • 徳川家康側室お万の方(長勝院)の女性器が素晴らしかったという話から[12]
  • 古代の和語で性器を意味する「美斗(みと)」。「まんこ」および「めこ」はここから派生したという説。ただし本来は男性器・女性器問わず、性器全般に対する言葉[1]
  • 生理の際、赤くなることから「満紅(まんこう)」と呼んだのが由来だという説[5]
  • 家の出入り口を表す「門戸(もんこ)」がなまったとする説[13]
  • 中国語で出入り口を表す「門口(メンコゥ)」から
  • 北条政子から。室町時代当時の関東地方では北条政子を「ほうじょうまんこ」とも読んだ
  • 正室を意味する北政所(きたのまんどころ)から。北政所をはじめは北政所様(きたのまんどころさま)呼んでいたが、後世は略し政所様(まんどころさま)」とも呼んだ
  • 小舟を使用して売春を行った「船饅頭」を略して「まん」と呼び、それに縮小辞「こ」を付けたとする説[5]。饅頭に由来する点は共通だが、そうではなくて食べる饅頭である、と言う説もある。室町時代、女児の外性器は外見の類似から、当時の贅沢な食品である饅頭にたとえられた[14]

派生表現

「まんこ」またはその類義語に「-する」とつなげ、隠語的ニュアンスをもって「性交する」の意味で使う場合もある[15]

男性の運気を上昇させる女性のことを「あげまん」、逆に下降させる女性のことを「さげまん」と呼ぶが、この場合の「まん」は「めぐり合わせ、幸せ、運」を意味する言葉であり、まんこの略語ではない[16]。しかしながら、1990年に公開された映画「あげまん」によってこの言葉が広まると、わざと性的な意味に解釈させるようにもなった。

誰とでも気軽に性交を行なう女性に対して、「ヤリマン」ということがある。これは、性交するという意味の「やる」と「マンコ」を合わせた単語である。『性的なことば』によれば、従来用いられてきた「サセ子」と言う単語が、あくまで性行為をさせると言う受動的なものであるのに対し「ヤリマン」は、女性側が能動的・主体的に性行為に臨むと言うニュアンスを与える[1]。なお、同様の男性のことを「ヤリチン」という場合もある。

他の俗称

『日本俗語大辞典』は、「まんこ」の類語として「赤貝、赤門、奥の院、おまんこ、おまんたん、おめこ、毛饅(頭)、こうまん、肉壺、如来、秘花、ボックス、饅頭、蜜壺、やち」を挙げる[2]

脚注

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  1. ^ a b c d 斎藤光、井上章一、澁谷知美、三橋順子『性的なことば』講談社、2010年、32頁。ISBN 978-4-06-288034-3
  2. ^ a b c 米川明彦『日本俗語大辞典』東京堂出版、2003年11月10日、136-137, 610。ISBN 4-490-10638-6
  3. ^ 道浦俊彦 (2000年5月26日). “ことばの話129「珍古島」”. 道浦俊彦の平成ことば事情. 讀賣テレビ放送株式会社. 2019年10月27日閲覧。
  4. ^ ろくでなし子(著者) (日本語). デコまん アソコ整形漫画家が奇妙なアートを作った理由 (電子書籍). 電書バト. 
  5. ^ a b c 博学こだわり倶楽部(著者) (2007年8月10日) (日本語). かなりHな雑学王200連発! (電子書籍). 河出書房新社.. ISBN 9784309496603 
  6. ^ 落合直文(著)、芳賀矢一(改修)『日本大辞典 言泉』第5巻、大倉書店、1921年、4386頁。
  7. ^ 『広辞苑第七版 た―ん』新村出、岩波書店、2018年1月12日、2788頁。ISBN 978-4-00-080132-4
  8. ^ 松本明子、『四文字言葉事件』の真相を語る。「信頼取り戻したかった」”. Techinsight. テックインサイト株式会社 (2013年8月14日). 2019年10月27日閲覧。
  9. ^ 大槻文彦、大槻清彦『新編大言海』冨山房、1982年5月10日、1967頁。ISBN 4-572-00062-X
  10. ^ 『日本国語大辞典 第二版』第二巻、日本国語大辞典 第二版 編集委員会、小学館、2001年2月20日、1376頁。ISBN 4-09-521002-8
  11. ^ 増井金典『日本語源広辞典[増補版]』ミネルヴァ書房、2012年8月10日、171頁。
  12. ^ 篠田達明「日本史有名人の健康診断(38) お万の方」『歴史読本』第43巻第6号、Kadokawa、1998年、 289頁、 doi:10.11501/7975595
  13. ^ 小松奎文(編著)『いろの辞典』文芸社、2000年7月3日、790頁。ISBN 4-8355-0045-8
  14. ^ 福田晃広 (2019年3月6日). “なぜ「オマンコ」はタブー? 女陰語研究者の『探偵!ナイトスクープ』プロデューサーに聞く”. exciteニュース. 2019年10月26日閲覧。
  15. ^ 『大辞泉【第二版】上巻 あ―す』松村明(監修)、小学館、2012年11月7日、565頁。ISBN 978-4-09-501213-1
  16. ^ 『角川古語辞典 蔵書版』久松潜一, 佐藤謙三、角川書店、1976年5月30日、1082頁。

参考文献

  • 斎藤光、井上章一、澁谷知美、三橋順子、2010、『性的なことば』、講談社 ISBN 978-4-06-288034-3 - まんこ、めこ、やりまん、あげまんについて
  • 黒澤勉 (2006年3月21日). “盛岡ことば入門 287 あーしゃっけ”. 盛岡タイムス. 2019年10月26日閲覧。
  • ユージン・E.ランディ、1975、『アメリカ俗語辞典』、研究社出版 - vagina の項(p. 428 ff.)で5ページ半に渡って女性器を示す日本語の語彙を掲載している.

関連項目