アオノクマタケラン(青野熊竹蘭、学名Alpinia intermedia Gagnep.[1])は、ショウガ科ハナミョウガ属分類される常緑多年草の1[3][4][5]

アオノクマタケラン
アオノクマタケランの写真集
アオノクマタケランの写真集
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: ショウガ目 Zingiberales
: ショウガ科 Zingiberaceae
: ハナミョウガ属 Alpinia
: アオノクマタケラン
A. intermedia
学名
Alpinia intermedia Gagnep.[1]
シノニム

Alpinia oblongifolia Hayata[2]

和名
アオノクマタケラン
英名
hardy wild ginger

和名は、タケクマランに似ていて全体に赤みがないことに由来する[4]シノニムは、Alpinia oblongifolia Hayata[2]名は、hardy wild ginger[6]。中国名は、光葉山姜[1]

特徴

編集

偽茎は高さ50-150 cm[3][4]は狭長楕円形で先が尖り[5]、長さ30-50 cm、幅6-12 cm、はなく、表面に光沢があり[4]芳香があり[7]互生する[3]花序は総状または円錐状に直立し、長さ10-20 cm、枝軸は長さ10-15 mmで3-4個がつく[4]は膜質楕円形で、長さ5-7 mm[4]。花は長さ5-7 mm前後、白色でわずかに紅色を帯びる[4]雄蕊ツルのように湾曲し、室の間から柱頭が突き出る[5]は筒状で長さ3.5-5 mmで低い歯がある[4]。内花被は上部が3裂、唇弁は卵形で長さ15 mm前後、先が浅く3裂し、基部の両側に針状の付属片があり[4]、白色で紅色の斑が入る[8]。花期は6-8月[3][5]西表島では4-6月[8]果実は蒴果で、形、直径15 mm前後で、毛はなく、赤く熟す[4]

分布と生育環境

編集
 
海に近い湿った下に生育するアオノクマタケラン

中国台湾日本に分布する[4]

日本では、本州伊豆七島紀伊半島)、四国九州南西諸島[4]の暖地[3]に分布する。

に近い[5]、湿った下に生育する[3]

利用

編集

種子にはセスキテルペン(humulene, cineole)の成分があり、ハナミョウガの種子の代用として、芳香性胃腸薬香辛料として用いられる[6]根茎にセスキテルペン(hanalpinol, aokumanol)の成分があり、胃腸薬として用いられる[6]

和歌山県紀伊大島では、半野生状に栽培されて花卉として出荷されている[9]

種の保全状況評価

編集

日本では環境省によるレッドリストの指定を受けていない[10]。また以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている。

脚注

編集
  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “アオノクマタケラン”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月14日閲覧。
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “アオノクマタケラン”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月14日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 林 (2009)、589頁
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 佐竹 (1982)、186頁
  5. ^ a b c d e 門田 (2013)、230頁
  6. ^ a b c アオノクマタケラン”. 熊本大学薬学部野草園データベース. 2021年8月14日閲覧。
  7. ^ 川原 (2003)、69頁
  8. ^ a b 堀井 (2020)、134頁
  9. ^ a b 和歌山県レッドデータブック「2012年改訂版」・植物” (PDF). 和歌山県. pp. 315. 2021年8月14日閲覧。
  10. ^ 環境省レッドリスト2020の公表について”. 環境省. 2021年8月14日閲覧。
  11. ^ アオノクマタケラン”. 愛媛県. 2021年8月14日閲覧。
  12. ^ レッドデータブックおおいた” (PDF). 大分県. pp. 126. 2021年8月14日閲覧。
  13. ^ 佐賀県レッドリスト2020 植物編”. 佐賀県. 2021年8月14日閲覧。
  14. ^ レッドデータブックくまもと2019、維管束植物・コケ植物” (PDF). 熊本県. pp. 174. 2021年8月14日閲覧。
  15. ^ 徳島県版レッドデータブック(レッドリスト)”. 徳島県. 2021年8月14日閲覧。

参考文献

編集
  • 門田裕一、畔上能力、平野隆久『野に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年3月30日。ISBN 978-4635070195 
  • 川原勝征『屋久島の植物-世界自然遺産の島を歩く』(新版)南方新社、2003年5月10日。ISBN 978-4931376885 
  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本Ⅰ単子葉類』平凡社、1982年1月10日。ISBN 4582535011 
  • 林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月。ISBN 978-4635090421 
  • 堀井大輝『西表島の自然図鑑』メイツ出版、2010年10月10日。ISBN 978-4780423990 

関連項目

編集

外部リンク

編集