エレクトロクラッシュ (Electroclash、Elektroklash とも) は、1980年代の音楽であるニュー・ウェイヴポストパンクエレクトロディスコ等を、1990年代後半のダンス・ミュージックの概念で解釈・再構築を行ったものである。

エレクトロクラッシュ
Electroclash
様式的起源
文化的起源 1990年代後期[2]オランダフランスオーストリアドイツ(ミュンヘン[5])アメリカ合衆国 (デトロイトニューヨーク[6])
派生ジャンル
関連項目
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代表的なアーティストとして、DJヘル(Gigoloレーベル)、2 Many DJ'sLCDサウンドシステムアダルトピーチズフェリックス・ダ・ハウスキャットフリーズポップ、ミス・キティン・アンド・ザ・ハッカー、ティガル・ティグラチックス・オン・スピードフィッシャースプーナー、ザ・スランツ、レディトロン等がある。石野卓球もかねてからニュー・ウェイヴの影響が強くエレクトロクラッシュのアーティストとの仕事もある。

1990年代末よりニューヨークおよびデトロイトベルリンミュンヘンフランス各地などで形成され、2000年代前半に最盛期を迎えた。エレクトロクラッシュという語は、このジャンルのグループの多くの結成を助けたDJラリー・ティー(Larry Tee)が造語したとされるが、DJヘルはその前からこのジャンルの先駆者となってきたとみなされている[7][8]

経緯 編集

「エレクトロクラッシュ」というジャンル名は2001年、ニューヨークで「エレクトロクラッシュ・フェスティバル」が開催された時期から音楽マスコミの注目を集めるようになった[9]。エレクトロクラッシュは、一般受けのする当時のシンセポップエレクトロニック・ミュージックに対して、よりアンダーグラウンド志向を持ちアート性を追求した[10]。音楽面ではニュー・ウェイヴポストパンクから影響を受け、歌詞はパンクなどの怒りに満ちた歌詞から影響を受け、ビジュアル面では1960年代のポップアートなどを参照していた。またクラブではなくギャラリーなどの空間を使ってライブを行うグループも多かった。

エレクトロクラッシュ・フェスティバルは2002年にも開催され、2003年2004年には全米・全欧ツアーを行った。このジャンルは2002年から2004年にかけてマスコミや消費者の注目を浴びたが[11]、中にはブレイク当時から大々的に特集していたメディアもあったため、本来は内実のないムーブメントでメディアが仕掛けたブームであったとの見方もある[12]。メディアの熱狂は収束したが、エレクトロクラッシュに分類されたアーティストは以後も活発に活動を続けている。

脚注 編集

  1. ^ David Madden (2012年). “Crossdressing to Backbeats: The Status of the Electroclash Producer and the Politics of Electronic Music”. 2015年1月3日閲覧。 “Electroclash combines the extended pulsing sections of techno, house and other dance musics with the trashier energy of rock and new wave.”
  2. ^ a b Ishkur (2005年). “Ishkur's guide to Electronic Music”. 2015年1月3日閲覧。
  3. ^ Carpenter, Susan (2002年7月28日). “New Songs, Old Beats”. The Los Angeles Times. http://articles.latimes.com/2002/jul/28/entertainment/ca-carpenter28 2016年8月25日閲覧。 
  4. ^ D. Lynskey (22 March 2002). “Out with the old, in with the older”. Guardian.co.uk. オリジナルの16 February 2011時点におけるアーカイブ。. https://webcitation.org/5wYAn5jqu?url=http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2002/mar/22/shopping.artsfeatures2. 
  5. ^ Hecktor, Mirko; von Uslar, Moritz; Smith, Patti; Neumeister, Andreas (1 November 2008) (ドイツ語). Mjunik Disco – from 1949 to now. p. 8. ISBN 978-3936738476 
  6. ^ Reynolds, Simon (2013). Energy Flash: A Journey Through Rave Music and Dance Culture. Soft Skull Press. "Go to Berliniamsburg, the Brooklyn club at the epicentre of New York's eighties-inspired 'electroclash' scene, and you feel a peculiar sensation: it's not exactly like time travel, more like you've stepped into a parallel universe, an alternative history scenario where rave never happened." 
  7. ^ The Electroclash Mix by Larry Tee | Music Review | Entertainment Weekly
  8. ^ Larry Tee Biography on Yahoo! Music
  9. ^ Quinnon, Michael: "Electroclash". World Wide Words, 2002
  10. ^ The Electroclash Movement Trend Central. 27 October 2001.
  11. ^ Yahoo Groups: electroclash. (Shows traffic statistics)
  12. ^ Cottingham, Chris. The Great Electroclash Swindle

外部リンク 編集