エリオ:Aerio )は、スズキ製造販売していたセダンハッチバック型の乗用車である。

スズキ・エリオ
RA/B21S/C/D51S型
セダン(フロント)
セダン(リア)
ハッチバック(フロント)
概要
別名 スズキ・リアーナ(欧州)
販売期間 2001年1月 – 2007年7月[1](国際)
2005年2018年(中国)
2006年2014年(パキスタン)
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドアセダン
5ドアハッチバック
駆動方式 前輪駆動/四輪駆動
パワートレイン
エンジン 1.3L M13A 直列4気筒
1.4L K14B-G 直列4気筒(中国)
1.5L 4G15M 直列4気筒(中国)
1.5L M15A 直列4気筒
1.6L M16A 直列4気筒
1.8L M18A 直列4気筒
2.0L J20A 直列4気筒
2.3L J23 直列4気筒
1.4L DV4 直列4気筒 ターボディーゼル
変速機 5速MT
4速AT
ストラット
ストラット
車両寸法
ホイールベース 2,480 mm
全長 4,230 mm(ハッチバック)
4,350 mm(セダン)
全幅 1,690 mm(1.5L車)
1,720 mm(1.8L車)
全高 1,550 mm(ハッチバック)
1,535 mm(セダン)
車両重量 1,150–1,250 kg
その他
販売終了前月までの新車登録台数の累計 2万1956台[1]
系譜
先代 スズキ・カルタス
スズキ・カルタスクレセント
後継 スズキ・SX4
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概要 編集

ミニバンの居住性とワゴンの使い勝手を考えた5ドアハッチバックを2001年1月29日に発売。プラットフォームは他車からの流用ではなく、全く新規に開発されたものを使用。月の販売台数の目標は1,000台。月に3,000台の輸出を予定。エンジンは1.5 Lと1.8 LのDOHCガソリンエンジンM型)を搭載。なお、北米向けのエリオは2.3 Lエンジンも搭載している。

トランスミッションATの他に当初はMTも設定された。駆動方式はFF4WDがラインナップされている。

1.5 Lエンジン搭載モデルに比べ、1.8 Lエンジン搭載モデルはシートヒーター等の専用装備が多く差別化が図られているが、外見的な違いはフェンダー部のホイールアーチモールの有無のみにとどまっており、ほとんど差が無い。このモールの厚みだけ車幅が30 mm広がるため、1.5 Lモデルは5ナンバー車、1.8 Lモデルは3ナンバー車になっている。なお、1.8 Lのセダンはスズキ初の3ナンバーセダンとなる。

販売面 編集

余裕のある居住性などから10代の子供を持つファミリー層を中心に注目され、当時のスズキの普通車としては好調な販売実績を残した[1]

しかし150万円台からという現在の軽自動車並みの低価格さを売りにしていたが、ハッチバックモデルは当時まだ人気の低かったクロスオーバーSUVの見た目に近かったこと、セダンモデルはすでに市場自体の終末期に差し掛かっていたこと、スズキ = 軽自動車というイメージが強いこともあり、当初から普通車全体のモデルとしては販売が低迷し、1代限りで終了となった。

初代 RA/B21S/C/D51S型 (2001年~2007年) 編集

2001年1月
カルタス及びカルタスクレセントの後継車種として登場(当初は5ドアハッチバックのみ)。非センターメーター車では非常に珍しい左右対称のインパネを導入していた。
2001年11月
4ドアセダンがラインナップに加わる。セダンは「エリオセダン」を名乗っている。
2002年
マイナーチェンジ
2003年11月
マイナーチェンジ。1.5L、1.8Lモデル内装変更、メーター類がデジタルからアナログへ。1.5Lモデルのエクステリア変更。
2004年7月
マイナーチェンジ。1.8Lモデルのエクステリア変更。CMでは沢田研二の代表曲『TOKIO』の替え歌と共に走行していた。
2006年5月[2]
5ドアハッチバックの生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
2006年6月[3]
ハッチバックが翌月のスズキ・SX4の登場に伴い販売終了。
2007年4月[4]
セダンも生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
2007年7月[5]
セダン販売終了。ジュネーブモーターショーで発表されたSX4セダンが後継車となる。

ギャラリー 編集

モータースポーツ 編集

パイクスピーク 編集

スズキ・エリオ・パイクスピークスペシャル(2001年)
概要
販売期間 2001年
ボディ
乗車定員 1名
ボディタイプ ハッチバック
駆動方式 四輪駆動
パワートレイン
エンジン H27A型 水冷V型6気筒4バルブDOHCターボ 2,736cc
最高出力 995ps/8,100rpm(SEA LEVEL)
最大トルク 95.0kg‐m/6,500rpm(SEA LEVEL)
変速機 シーケンシャル6速
前:ダブルウィッシュボーン
後:ダブルウィッシュボーン
前:ダブルウィッシュボーン
後:ダブルウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2,790 mm
全長 5,300 mm
全幅 1,900 mm
全高 1,500 mm
車両重量 920 kg
系譜
先代 スズキスポーツ・ツインエンジン・カルタス(2000年)
後継 スズキ・エスクード・ヒルクライムスペシャル(2004年)
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同社のカルタスやエスクード同様、この車にもパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに出走するためのスペシャルモデルが存在する。ただし、エリオと名乗ってはいるがそれは外観のみであり、中身は全くの別物である。その実体は軽量なパイプフレームで構成されたシャシーに1,000ps級のエンジンをミッドに積み4WDで駆動するモンスターマシンである。

2001年、田嶋伸博はこのエリオに乗り、粟津原豊のスズキ・エスクード・パイクスピークスペシャルと共にパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに挑んだが、マシントラブルが発生し惜しくもリタイアしている。その2年後の2003年、ニュージーランドで開催された「レース トゥ ザ スカイ(クイーンズタウン・ゴールドラッシュ)」に参戦。改良された「スズキ・エリオ・ヒルクライムスペシャル」で総合優勝を果たしている。

その他 編集

  • スズキの工場のある静岡県牧之原市では、市長車としてエリオを使用している[6]
  • スズキの鈴木修会長の専用車は過去にエリオセダンを使用していた(現在はSX4セダンが会長専用車として導入されている)。助手席のヘッドレスト後にモニターが設置してあり、会長が乗るときには助手席を前に倒して足元スペースを広くして乗っていた。
  • BBCの自動車番組『トップ・ギア』では、有名人が車の運転でタイムを競う同番組の恒例企画「Star in a Reasonably Priced Car」において、第7シーズンまでタイムアタック用の車としてリアナを使用していた。第8シーズンからはシボレー・ラセッティに切り替えた(そのラセッティも第15シーズンでキア・シードに交代。その後第20シーズンからはボクスホール・アストラが使われている)が、F1ドライバーが挑戦するときは引き続きリアーナを使用している。

車名の由来 編集

エリオは、Air(空気)とRio(川)からの造語。 広々とした居住空間と流れるようなスムーズな走りをイメージしている。 欧州名であるリアーナは、Life In A New Ageの略である。

脚注 編集

  1. ^ a b c デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第47号23ページより。
  2. ^ エリオ(スズキ)のカタログ”. リクルート (2019年12月22日). 2019年12月22日閲覧。
  3. ^ エリオ”. トヨタ自動車株式会社 (2019年12月22日). 2019年12月22日閲覧。
  4. ^ スズキ エリオセダン 2001年式モデルの価格・カタログ情報|自動車カタログ”. 2022年9月25日閲覧。
  5. ^ エリオセダン”. トヨタ自動車株式会社 (2019年12月22日). 2019年12月22日閲覧。
  6. ^ スズキ相良工場拡張について[2007年1月29日](牧之原市Webページ)

関連項目 編集