チチジマクロキ(父島黒木、学名:Symplocos pergracilis )はハイノキ科ハイノキ属常緑低木[2]

チチジマクロキ
東大小石川植物園温室 2013年12月
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : ビワモドキ亜綱 Dilleniidae
: カキノキ目 Ebenales
: ハイノキ科 Symplocaceae
: ハイノキ属 Symplocos
: チチジマクロキ S. pergracilis
学名
Symplocos pergracilis (Nakai) T.Yamaz.[1]
和名
チチジマクロキ(父島黒木)

特徴

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樹高は1-2mになり、は黒紫色をおび、毛は無く、細くて屈曲する。は単葉で互生し、長さ3-5cm、幅1.5-2.5cm、先端は円く、基部はくさび形になり、葉柄は長さ1-1.3cmになる。葉質は薄い革質で、縁はわずかに裏面側に反り返る[2]

花期は10-12月。は葉腋に単生し、径7-10mmの淡黄色で、花冠は5深裂する。裂片、花冠裂片ともにその先端は円く、縁に毛がある。雄蕊は多数あり、花冠より長い。果実は長楕円形で長さ約15mmになり、翌年の秋に黒く熟す[2]

分布と生育環境

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日本の小笠原諸島父島に特産する[2]。現存する個体は50個体程度であるとして、環境省の絶滅危惧IA類(CR)に選定されていた。

同じ小笠原諸島には、父島に特産する、葉が著しく裏面側に巻き、表面の葉脈の側脈が陥入する近縁種のウチダシクロキ(打出し黒木、学名:Symplocos kawakamii )が[3]母島列島の向島には、樹高が7-8mになる近縁種のムニンクロキ(無人黒木、学名:Symplocos boninensis )があり[2][4]、両種とも環境省の絶滅危惧IA類(CR)に選定されている。いずれも本土のクロキに近縁だが、小笠原の3種の遺伝的距離はごく近い。本土から渡ってきた1種が小笠原で分化したと考えられる[5]

保全状況評価

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絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト

2000年までは絶滅危惧IA類(CR)。

脚注

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  1. ^ チチジマクロキ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d e 『日本の野生植物 木本II』p.172
  3. ^ 『日本の野生植物 木本II』pp.171-172
  4. ^ 『新牧野日本植物圖鑑』p.570
  5. ^ 永益英敏「海を渡ったクロキ」(『週刊朝日百科植物の世界』62、1995年6月25日発行、朝日新聞社)、6の36頁。

参考文献

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