父島
東京都、父島列島の島
父島 | |
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![]() 父島列島(上から弟島、兄島、父島) | |
所在地 |
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所在海域 | 太平洋 |
座標 | 北緯27度4分40秒 東経142度13分00秒 / 北緯27.07778度 東経142.21667度 |
面積 | 23.45 km² |
最高標高 | 326 m |
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目次
概要編集
硫黄島(いおうとう)に次いで、小笠原諸島で2番目に大きな島。周囲の兄島、弟島などの島とともに父島列島を形成する。一度も大陸と陸続きになったことがない海洋島で、多くの固有種が存在する。島全体が小笠原国立公園に指定されている。東京都小笠原村の中心的機能を担う島であり、小笠原村役場はこの島に所在する。集落は島の北西部の大村地区が中心。島の西側に西に開けた二見湾があり、湾の北部に二見港がある。
1920年代から大日本帝国陸軍によって砲台などの軍施設が建設され、太平洋戦争の頃には更に増強が進み父島要塞となった。飯盛山近くの州崎地区には大日本帝国海軍の飛行場が建設された[1]。現在でも夜明山や衝立山などには、日本軍施設・塹壕・砲台の跡、高射砲などの残骸が残っている。現在では、海上自衛隊の父島基地や宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小笠原追跡基地、国土地理院のVLBI観測局などが設置されている。
- 面積:23.45km2(平成26年国土地理院)
- 人口:2,140人(住民基本台帳、平成30年4月1日現在)
気候編集
温暖湿潤気候に属している。温帯と熱帯の境界域に近く、熱帯モンスーン気候に極めて近い。
父島(父島気象観測所)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 26.1 (79) |
25.4 (77.7) |
26.7 (80.1) |
28.4 (83.1) |
30.1 (86.2) |
33.0 (91.4) |
34.1 (93.4) |
33.7 (92.7) |
33.1 (91.6) |
32.1 (89.8) |
30.2 (86.4) |
27.5 (81.5) |
34.1 (93.4) |
平均最高気温 °C (°F) | 20.5 (68.9) |
20.1 (68.2) |
21.5 (70.7) |
23.2 (73.8) |
25.4 (77.7) |
28.0 (82.4) |
30.0 (86) |
29.9 (85.8) |
29.7 (85.5) |
28.3 (82.9) |
25.6 (78.1) |
22.4 (72.3) |
25.4 (77.7) |
日平均気温 °C (°F) | 18.4 (65.1) |
17.9 (64.2) |
19.2 (66.6) |
21.0 (69.8) |
23.2 (73.8) |
25.8 (78.4) |
27.5 (81.5) |
27.7 (81.9) |
27.5 (81.5) |
26.2 (79.2) |
23.5 (74.3) |
20.3 (68.5) |
23.2 (73.8) |
平均最低気温 °C (°F) | 15.7 (60.3) |
15.3 (59.5) |
16.7 (62.1) |
18.8 (65.8) |
21.2 (70.2) |
24.0 (75.2) |
25.4 (77.7) |
25.9 (78.6) |
25.5 (77.9) |
24.1 (75.4) |
21.3 (70.3) |
17.8 (64) |
21.0 (69.8) |
最低気温記録 °C (°F) | 8.9 (48) |
7.8 (46) |
9.2 (48.6) |
10.7 (51.3) |
13.9 (57) |
17.7 (63.9) |
20.8 (69.4) |
22.2 (72) |
19.6 (67.3) |
17.2 (63) |
13.2 (55.8) |
10.8 (51.4) |
7.8 (46) |
降水量 mm (inch) | 65.3 (2.571) |
58.2 (2.291) |
77.0 (3.031) |
118.4 (4.661) |
145.4 (5.724) |
134.7 (5.303) |
80.9 (3.185) |
112.6 (4.433) |
131.1 (5.161) |
132.1 (5.201) |
128.2 (5.047) |
108.7 (4.28) |
1,292.5 (50.886) |
平均降水日数 (≥ 0.5 mm) | 10.3 | 9.1 | 10.8 | 9.9 | 11.7 | 9.3 | 8.4 | 11.0 | 11.6 | 13.0 | 11.1 | 11.8 | 128.0 |
% 湿度 | 66 | 68 | 73 | 79 | 83 | 86 | 82 | 82 | 82 | 80 | 75 | 70 | 77 |
平均月間日照時間 | 136.4 | 131.4 | 154.7 | 148.2 | 159.8 | 198.9 | 250.3 | 211.0 | 200.9 | 179.1 | 140.9 | 126.8 | 2,038.5 |
出典: 気象庁 (平均値:1981年-2010年、極値:1968年-現在)[2][3] |
歴史編集
- 1830年(天保元年) - ナサニエル・セイヴァリーら白人5人とハワイ人25人が、ハワイ王国のオアフ島から父島に入植し、初めての移住民となる。
- 1876年(明治9年)3月 - 小笠原島の日本統治を各国に通告し、大日本帝国の領有確定。小笠原諸島が内務省の管轄となる。日本人37名が父島に定住。内務省出張所設置。
- 1880年(明治13年)10月28日 - 東京府小笠原出張所を設置。
- 1920年(大正9年)8月 - 大日本帝国陸軍築城部が父島支部を設置。
- 1927年(昭和2年) - 昭和天皇が戦艦「山城」で父島・母島を行幸し、母島の御幸之浜で海洋生物の調査実施。
- 1944年(昭和19年)9月2日- 第二次世界大戦のさなか、のちのアメリカ合衆国大統領となるジョージ・H・W・ブッシュが、父島に有った日本軍施設を攻撃している最中に撃墜されたが、アメリカ海軍潜水艦に救助された[4]。
- 1945年(昭和20年)- 小笠原事件。アメリカ合衆国による統治が開始。
- 1968年(昭和43年)6月26日 - 本土復帰
- 1972年(昭和47年) - 東京電力が小笠原父島内燃力発電所の操業開始。
- 1976年(昭和51年) - 父島ケーブルテレビ開局。
- 2002年(平成14年) - ジョージ・H・W・ブッシュ元アメリカ合衆国大統領が、かつて当地で撃墜された折り、行方不明となった同僚の追悼と日米友好のために訪問した[4]。
- 2011年(平成23年) - 小笠原諸島がユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録される。
- 2013年(平成25年)4月14日 - 現職総理では初めて安倍晋三が訪島した[5]。
設置機関編集
交通編集
2018年1月現在、定期航路は船による東京都の竹芝と父島の二見港を結ぶ航路しかなく、約24時間かかる[1]。1990年-2000年代初頭に、旧運輸省を中心に高速船を建造して本土と小笠原諸島との移動時間を短縮する「超高速貨客船テクノスーパーライナー(TSL)」計画が企画され[1]、実際に115億円かけて高速フェリーが建造されたが、原油価格の高騰によって採算性が失われ計画は放棄された[1]。建造された高速フェリーは就役することなく解体された[1]。2018年現在、かつて大日本帝国海軍飛行場があった州崎地区に、空港を建設する計画が検討されている[1]。
- 二見港
- 父島から母島へ
- 島内交通
- 村営バス
- 有限会社父島タクシー
名産編集
動植物編集
- オガサワラオオコウモリ
- オガサワラノスリ
- オガサワラカラスバト(絶滅種)
- アカガシラカラスバト
- オガサワラマシコ(絶滅種)
- オガサワラカワラヒワ
- クジラ (ザトウクジラ、ニタリクジラ、マッコウクジラ、アカボウクジラなど)
- イルカ (コビレゴンドウ、ミナミハンドウイルカ、ハンドウイルカ、ハシナガイルカなど)
画像集編集
脚注編集
- ^ a b c d e f 乗り物ニュース 小笠原空港、いよいよ実現か 航空会社はどこで、どんな飛行機が飛ぶのか 2018年1月17日閲覧
- ^ “平年値(年・月ごとの値)”. 気象庁. 2019年1月閲覧。
- ^ “観測史上1~10位の値(年間を通じての値)”. 気象庁. 2019年1月閲覧。
- ^ a b “ブッシュ元アメリカ大統領が来島される”. 小笠原村役場. (2002年7月1日) 2017年5月1日閲覧。
- ^ 首相が硫黄島と父島訪問…遺骨収容加速の考え 読売新聞2013年4月14日