バーバリーシープ
バーバリーシープ(Ammotragus lervia)は、哺乳綱ウシ目(偶蹄目)ウシ科バーバリシープ属に分類される偶蹄類。本種のみでバーバリーシープ属を構成する。別名タテガミヒツジ。
バーバリーシープ | ||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
バーバリーシープ Ammotragus lervia
| ||||||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[a 1][a 2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
VULNERABLE (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ワシントン条約附属書II
| ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Ammotragus lervia (Pallas, 1777) | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
バーバリーシープ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Aoudad Arui Barbary sheep Udad | ||||||||||||||||||||||||||||||
分布
編集形態
編集体長130-165センチメートル[2]。尾長15-25センチメートル[3]。肩高オス90-112cm、メス75-90センチメートル[2][3]。体重100-145キログラム[3]。全身は硬く短い体毛で被われる[1][2]。頸部から肩にかけての体毛はやや鬣状に伸長する[2]。顎の体毛は伸長しないが、喉から胸部、前肢にかけての体毛は伸長する[1][2][3]。砂埃が多いときにはこの頸部腹面に伸長した体毛に顔を埋め、体内に砂埃が入るのを防ぐ[3]。尾は扁平で、尾の腹面基部には体毛がない[1][2]。背面の色彩は赤褐色や灰褐色、胴体腹面や耳介の内側、四肢上部の腹面は汚白色の体毛で被われる[2]。
オス、メスともに後方から外側、下方へ湾曲した角が生え、先端は内側へ向かう[2]。角の表面には畦があるが[2]、成長に伴い不明瞭になる[3]。耳介は小型で細長く、先端が尖る[1][2]。涙骨には窪みがない[2]。前肢の掌基部は硬結する[1][2]。
分類
編集頭骨や角の形態、眼下部や蹄の間に臭腺がない、乳頭数、オスが尾の臭腺から臭いを発すること、ヤギとの交雑例があることからヤギ属に含める説もあったが、一方で顎の体毛が伸長しない、頸部から前肢にかけての体毛が伸長する、染色体はヒツジ属に近いことから独立した属とされる[2]。ヒツジ属とヤギ属の中間にあたる種だと考えられている[3]。
- Ammotragus lervia lervia (Pallas, 1777) モロッコバーバリーシープ
- Ammotragus lervia blainei (Rothschild, 1913) スーダンバーバリーシープ
- Ammotragus lervia ornata (Audouin, 1829) エジプトバーバリーシープ
- Ammotragus lervia saharensis Rothschild, 1913 サハラバーバリーシープ
生態
編集標高950メートル以下にある砂漠や岩場に生息する[2]。薄明薄暮性もしくは夜行性で、昼間は岩陰や洞窟などで休む[1][2][3]。1頭のオスと3-6頭のメスからなる群れを形成し生活するが、20頭に達する群れを形成することもある[3]。群れはメスが主導する[3]。
繁殖形態は胎生。繁殖期になるとオス同士は角を絡ませたり[1]、突撃と回避を互いに繰り返す儀式的な闘争を行う[3]。妊娠期間は150-165日[2]。主に9-11月に群れから離れ1回に1-2頭(まれに3頭)の幼獣を産む[2][3]。地域によっては周年繁殖し、年に2回に分けて繁殖することもある[3]。生後1年6か月で性成熟する[3]。飼育下での寿命は15-24年[3]。
人間との関係
編集生息地では食用とされたり、毛や皮が利用されることもあった[3]。
旱魃、スポーツ・ハンティングによる乱獲などにより生息数は激減している[3]。エジプトでは1970年代に絶滅したと推定されている[3]。
アメリカ合衆国にはスポーツ・ハンティング用に移入され、カリフォルニア州、テキサス州、ニューメキシコ州で定着している[2][3]。スペインやメキシコに移入された例もあるが、定着せずに絶滅している[3]。
参考文献
編集- ^ a b c d e f g h 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科4 大型草食獣』、平凡社、1986年、146、148-149頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak 今泉吉典監修 『世界の動物 分類と飼育7 (偶蹄目III)』、東京動物園協会、1988年、115-116頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 小原秀雄 「バーバリーシープ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、36、159-160頁。
関連項目
編集外部リンク
編集- ^ CITES homepage
- ^
The IUCN Red List of Threatened Species
- Cassinello, J., Cuzin, F., Jdeidi, T., Masseti, M., Nader, I. & de Smet, K. 2008. Ammotragus lervia. In: IUCN 2013. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2013.2.