フォーミダブル級フリゲート
フォーミダブル級フリゲート (英語: Formidable-class frigate)は、シンガポール海軍が運用するフリゲートの艦級。トライデント級(英: Trident class)とも称される[1]。
フォーミダブル級フリゲート | |
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73 シュープリーム | |
基本情報 | |
艦種 | フリゲート |
命名基準 | 英語の形容詞 |
建造所 | DCNロリアン工廠 |
運用者 | シンガポール海軍 |
建造期間 | 2002年 - 2009年 |
就役期間 | 2007年 - 現在 |
建造数 | 6隻 |
原型艦 | ラファイエット級 |
要目 | |
満載排水量 | 3,800 t |
全長 | 114.8 m |
最大幅 | 16.3 m |
吃水 | 6.0 m |
機関方式 | CODAD方式 |
主機 | MTU 20V 8000 M90ディーゼルエンジン×4基 |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
出力 | 32,800馬力 (24.5 MW) |
最大速力 | 31ノット |
航続距離 | 4,200海里(18kt巡航時) |
乗員 | 70名および航空隊15名 |
兵装 |
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搭載機 | S-70B哨戒ヘリコプター×1機 |
C4ISTAR |
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FCS | カスターIIC 砲FCS |
レーダー |
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ソナー | EDO 980 ALOFTS 曳航式×1基 |
電子戦・ 対抗手段 |
フランス海軍のラファイエット級フリゲートの派生型であり、原型艦譲りの優れたステルス性を備えたステルス艦である。またこれに加えて、新型のヘラクレス多機能レーダーを中核とした防空システム、曳航ソナーとシーホーク哨戒ヘリコプターによる対潜戦システムを備えており、多任務に対応できるようになっている。
来歴
編集計画名はNGVP(New Generation Patrol Vessel)であり、当初計画では、1997年から1998年にかけて、1,000トン級ミサイル・コルベット8隻が発注されることになっていた。しかし各種の新技術を導入する要請から、まもなく艦はフリゲート級にまで拡大され、これに伴い計画は遅延した。
2000年3月3日、設計およびネームシップの建造がフランスDCN社に発注され、2002年11月14日より建造が開始された[1]。
設計
編集本級はステルス性を向上させるため、艤装の艦内収容を徹底している。魚雷発射管や搭載艇は勿論のこと、錨や係留装置などもできるだけ艦内に収容し、開口部にもレーダー波を吸収する覆いがかぶせられている。船体もV字形の傾斜がかけられ、上構は逆V字形の傾斜がかけられた一体構造でレーダー波を反射しにくいように設計されている[2][3]。
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艦橋。短艇格納庫は、レーダー反射防止ネットで覆われる。
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後部。ヘリ格納庫が見える。
その一方、主機関としては、原型艦と同様にCODAD方式を採用しており、MTU 20V 8000 M90ディーゼルエンジン4基で2軸の推進器(固定ピッチ・プロペラ)を駆動する[3]。ディーゼル推進は、一般的にガスタービン推進よりも煙突を小型化できる一方で、放射雑音が多く、音響ステルス性には劣るとされている。
装備
編集本級の戦闘システムの中核となるのが、艦橋構造物上の前檣頂部に設置されたタレス社製ヘラクレス多機能レーダーである。これはSバンドで動作するフェーズド・アレイ・レーダーで、ピラミッド型のレドーム内に1面のレーダー・アンテナを収容して、毎分60回転することで全周360度を捜索する。対空目標の捜索距離は250km、同時に400個以上の目標を追尾することができる[4]。
また、アスター艦対空ミサイル・システムと完全に統合されており、その射撃指揮も担当する。本級は、シルヴァーA50型VLSとシルヴァーA43型VLSを16セルずつ搭載しており、ここに合計で32発のアスター艦対空ミサイルを収容する。シルヴァーA43型は、アスター艦対空ミサイルを収容できるものとしてはもっとも小型のモデルであり、短射程のアスター15のみを収容する。これはアメリカのESSMにおおむね相当するもので、個艦防空および僚艦防空に使用できる。一方、シルヴァーA50は底が深く、より大型のブースターを装備して射程が長いアスター30の運用に対応する[1]。
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艦前部の武装。シルヴァー社のVLSの発射孔も水平方向からのレーダー波から遮蔽されて配置される。Oto Melara 76/62 Super Rapid砲もステルス化されて搭載される。
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艦中部の写真。ハープーンも、遮蔽板に囲まれて配置される。
原型艦はソナーおよび対潜兵装を持たなかったことから、その設計を踏襲した本型でも、艦体装備ソナーは採用されていない。そのかわりに、EDO社製のモデル980 ALOFTS(Active Low Frequency Towed Sonar)曳航ソナーが装備されている。これはAN/SQS-35の曳航体を流用したアクティヴ・パッシヴ両用のVDS-TASSで、その名の通り、1.1キロヘルツないし1.7キロヘルツという超低周波帯に対応できる。音源音圧は220デシベルである。曳航ケーブルは基本的には200メートル長で、また曳航体の後方にはさらに100メートルのケーブルによって長さ60メートルの聴音アレイが曳航されている[5]。
対潜兵器としては、A244-S短魚雷用のB515 3連装魚雷発射管を2基、後檣直前の両舷に搭載しているが、ステルス性保持のため、非使用時はシャッター内に格納されている。またS-70B哨戒ヘリコプターを1機搭載している[1]。
同型艦
編集1番艦はフランスのDCNロリアン工廠で建造されたが、2番艦以降はシンガポールS.B.アンドマリーン社によって国産化されている。
# | 艦名 | 起工 | 進水 | 就役 | 備考 |
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68 | フォーミダブル RSS Formidable |
2002年 11月14日 |
2004年 1月7日 |
2007年 5月5日 |
令和元年の観艦式に参加するために2019年10月に横須賀基地に寄港したが、令和元年東日本台風(台風19号)により観艦式は中止となった。 その後、令和4年度国際観艦式に参加するために2022年11月にも横須賀基地に寄港している。 |
69 | イントレピッド RSS Intrepid |
2003年 3月8日 |
2004年 7月3日 |
2008年 2月5日 |
2014年8月20日から8月25日にかけて海上自衛隊横須賀基地に寄港。 |
70 | ステッドファスト RSS Steadfast |
2003年 11月15日 |
2005年 1月28日 |
2008年8月15日から8月20日にかけて海上自衛隊横須賀基地に寄港。 | |
71 | テネイシャス RSS Tenacious |
2004年 5月22日 |
2005年 7月15日 |
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72 | ストルワート RSS Stalwart |
2005年 | 2005年 12月9日 |
2009年 1月16日 |
2010年4月13日から4月16日にかけて海上自衛隊横須賀基地に寄港。 |
73 | シュープリーム RSS Supreme |
2005年 5月17日 |
2006年 5月9日 |
2010年8月18日から8月24日にかけて海上自衛隊横須賀基地に寄港。 |
参考文献
編集- ^ a b c d Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. pp. 657-658. ISBN 978-1591149545
- ^ 「シンガポールの最新ステルス・フリゲイト 「ステッドファスト」初来日!」『世界の艦船』第698号、海人社、2008年11月、1-5頁、NAID 40016244388。
- ^ タレス・エア・システムズ. “HERAKLES - Phased Array Multi Function Radar” (PDF) (英語). 2014年5月21日閲覧。
- ^ Norman Friedman (2006). The Naval Institute guide to world naval weapon systems. Naval Institute Press. p. 677. ISBN 9781557502629
関連項目
編集- ウィキメディア・コモンズには、フォーミダブル級フリゲートに関するカテゴリがあります。