国民議会 (フランス)

フランスの議会(下院)
フランス下院から転送)

国民議会(こくみんぎかい、フランス語: Assemblée nationale)は、フランス国会議院のひとつ。下院に相当し、元老院とともに両院制の国会を構成する。

フランスの旗 フランスの議会
国民議会
(こくみんぎかい)

Assemblée nationale
第五共和政第16立法期
紋章もしくはロゴ
種類
種類
役職
議長
多数党代表
オロール・ベルジェ共和国前進)、
2022年6月22日より現職
少数党代表
マリーヌ・ル・ペン国民連合)、
2022年6月22日より現職
構成
定数577
院内勢力
与党(250)

野党(327)

合同会議
両院合同会議
任期
5年
選挙
小選挙区2回投票制
前回総選挙
2022年6月12日、19日
次回総選挙
2027年
議事堂
フランスの旗 フランス
イル=ド=フランス地域圏パリ
ブルボン宮殿(国民議会議事堂)
ウェブサイト
Assemblée nationale
憲法
フランス共和国憲法

名称は、フランス革命時の国民議会(フランス語: Assemblée nationale)に由来する[注 1]

元老院がリュクサンブール宮殿を議事堂としているのに対し、国民議会はブルボン宮殿を議事堂としている。

権限 編集

フランスの二院制は、日本英国米国などと異なり、ひとつの議会を構成する議院ではなく、それぞれが独立した議会である。国民議会に優先権があり、元老院は主に諮問機構として機能している。

国民議会のみが有する権限
  • 政府の信任・不信任の手続き
国民議会が元老院に優越する権限
  • 予算法案の審議権
  • 両院不一致の場合における最終議決権(憲法改正を除く)

概要 編集

総定数は577名。フランス本土から539名、海外県・海外領土から27名、在外フランス人から11名が選出される。2008年7月21日の国会制度改革案の成立により、在外フランス人向けの議席が設けられることになった[1]

選挙制度は1区1人選出の小選挙区制で、有効得票の50%超(2分の1)かつ登録有権者の25%以上(4分の1)の得票を得た候補がいない場合において、登録有権者の12.5%(全体の8分の1)以上の得票を得た候補による決選投票を行なう2回投票制Two-round system)が導入されている。

1区あたりの人口はおよそ11万人であるが、一番人口の多い選挙区(ヴァル=ドワーズ県2区)と少ない選挙区(ロゼール県2区)では5倍以上の格差がある[2]

会派 編集

15名以上の議員が署名を付した政策綱領を提出することで会派の結成が認められる。2008年憲法改正とこれに伴う制度改革により、野党会派および与党少数会派は発言時間等について固有の権利を保障されることになった[3]

2022年6月28日時点の会派名および議席数は以下の通り。なお会派の準構成員には協同議員(apparentés)の身分が与えられ、会派別議席数を算出する場面では正規所属議員と同様に扱われる[3]

国民議会 会派別議席数(2022年6月28日時点)[4]
略称 会派名 議席数 構成党派
所属 協同 合計
RE 再生 168 4 172 再生急進党地平線など
RN 国民連合 88 1 89 国民連合など
FI 不服従のフランス 75 0 75 不服従のフランス左翼党など
LR 共和党 59 3 62 共和党
DEM 民主グループ・民主運動および無所属 48 0 48 民主運動再生
SOC 社会党・同盟グループ 27 4 31 社会党共和国市民運動など
HOR 地平線 28 2 30 地平線再生など
ECO エコロジスト 23 0 23 ヨーロッパ・エコロジー=緑の党など
GDR 民主・共和左翼グループ 22 0 22 フランス共産党など
LIOT 自由主義者・無所属および海外領土選出グループ 16 0 16 急進党など
NI 無所属 9

このうち、再生と民主グループ、地平線の3会派が政党連合「アンサンブルフランス語版英語版」を、不服従のフランス、社会党・同盟グループ、エコロジスト、民主・共和左翼グループの4会派が政党連合「新人民連合環境・社会」を結成している。

役職 編集

歴代議長 編集

氏名 所属政党 着任日 退任日
1 ジャック・シャバン=デルマス 新共和国連合(UNR)
共和国民主連合(UDR)
1958年12月9日 1969年6月20日
2 アシル・プレッティ 共和国民主連合(UDR) 1969年6月25日 1973年4月1日
3 エドガール・フォール 共和国民主連合(UDR)
共和国連合(RPR)
1973年4月2日 1978年4月2日
4 ジャック・シャバン=デルマス 共和国連合(RPR) 1978年4月3日 1981年5月21日
5 ルイ・メルマズ 社会党(PS) 1981年7月2日 1986年4月1日
6 ジャック・シャバン=デルマス 共和国連合(RPR) 1986年4月2日 1988年6月12日
7 ローラン・ファビウス 社会党(PS) 1988年6月23日 1992年1月21日
8 アンリ・エマニュエリ 社会党(PS) 1992年1月22日 1993年4月1日
9 フィリップ・セガン 共和国連合(RPR) 1993年4月2日 1997年4月21日
10 ローラン・ファビウス 社会党(PS) 1997年6月12日 2000年3月27日
11 レイモン・フォルニ 社会党(PS) 2000年3月27日 2002年6月18日
12 ジャン・ルイ・ドブレ 国民運動連合(UMP) 2002年6月25日 2007年3月4日
13 パトリック・オリエール 国民運動連合(UMP) 2007年3月7日 2007年6月19日
14 ベルナール・アコワイエ 国民運動連合(UMP) 2007年6月26日 2012年6月19日
15 クロード・バルトローヌ 社会党(PS) 2012年6月26日 2017年6月20日
16 フランソワ・ド・ルジー 共和国前進(REM) 2017年6月27日 2018年9月4日
17 リチャード・フェラン 共和国前進(REM) 2018年9月12日 2022年6月21日
18 ヤエル・ブラウン=ピヴェ 共和国前進(REM) 2022年6月22日 -

現在の副議長 編集

  氏名 所属会派
1   ヴァレリー・ラボ― 社会党
2   エロディ・ジャキエ=ラフォルジョ 民主運動
3 ナイマ・ムチュ 地平線
4 キャロリーヌ・フィアット 不服従のフランス
5   セバスチャン・ショニュー 国民連合
6   エレーヌ・ラポルト 国民連合

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 「Assemblée nationale」という名称は同じだが、組織として直接その流れを汲んでいるわけではない。

出典 編集

  1. ^ フランス国会が制度改革案を採択
  2. ^ Circonscriptions électorales (France)
  3. ^ a b 古賀豪; 奥村牧人; 那須俊貴『主要国の議会制度』(レポート)国立国会図書館〈基本情報シリーズ〉、2010年3月、34頁http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/document/2010/200901b.pdf2017年9月23日閲覧 
  4. ^ Effectif des groupes politiques” [Membership of political groups] (フランス語). Assemblée nationale. 2017年7月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月18日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集