野党

政権を構成せず、行政を担当しない政党

野党(やとう)とは、「政府から離れた在野政党」を意味する。政権内閣行政を担わない政党のことであり、それを担う与党と対峙する。

概要 編集

明治期に、吏党民党がそれぞれ必ずしも「親政府」・「反政府」を意味するものではなくなっていったため、次第にこれに代わって「与党」・「野党」という言葉が用いられるようになった。

単純小選挙区制議会においては、デュヴェルジェの法則に従って二大候補が形成される傾向にあり、従って議会を占める政党は二大政党制がとられることになる。このような場合には政権の奪取に失敗した野党も未来の政府を構成する可能性が高く、公的な性格を帯びると認識される。

より比例代表制に重点をおいた選挙システムにおいては、複数の野党が形成される。このような多数野党は世界の一般である。

長期に渡って単一の党派による支配が続いている組織化の進んだ民主政体一党優位政党制)においては、野党が名目・形式・体裁だけの平等主義に弱体化され、ゲリマンダーによって野党に不利な選挙システムを構築される場合がある。

公式野党 編集

イギリスなどウェストミンスター・システムに基づいた議院内閣制の諸国においては、野党第一党に女王陛下の野党Her Majesty's Loyal Opposition)、または公式野党Official Opposition)と呼ばれる公式な地位が与えられ、その党首にも同時に「野党指導者(Leader of the Opposition)」の称号が与えられて特別な歳費も支給されることがある。

この場合、野党第一党の党首らは、公式な制度として影の内閣を組織する事例が多い。

日本の国政野党 編集

※令和6年(2024年)1月16日現在

主な野党共闘 編集

ゆ党 編集

ゆ党(ゆとう)とは、政権に対し是々非々で中立な立場を取る野党のこと。野党の中でも、与党に融和的な政党に対して言う。

日本では「野党」という場合、対立的な姿勢をとる政党のみを示すことが多く[1]、これと区別して呼ぶことがある[2][3]。「」は五十音順では「」と「」の中間にある文字であり、すなわち「野党(や党)」と「与党(よ党)」の中間に位置するという意味である。

竹下登によれば、1993年の細川連立政権発足により自民党が初めて野党となった時、自民党に対して「与党が野党になるのは大変だが、自民党は『ゆ党』になる」と言う意見があったといい、竹下自身は「自民党は政権の重みを知っているので、『与党はけしからん』だけではダメだ」という意味で捉えている[4]。ただ、この用語は主に反与党の立場を取る人物・団体が「ゆ党」たる立場の団体に対して使用することが多く、その際には若干の軽蔑のニュアンスが含まれることが多い。「癒党」という表記をされることもある。1996年平成8年)に連立与党の社民党新党さきがけの所属議員が離党して旧民主党が発足した当初、分離の主な理由は当時の橋本龍太郎内閣そのものとの対立ではなかったことから内閣に対する姿勢が曖昧であり、民主党に対してゆ党という表現が使われた。

2016年平成28年)1月には衆議院本会議の代表質問において、おおさか維新の会が「私たちは与党でもない野党でもない」と述べた。民主党がこの発言を問題視し、維新および当時友好関係にあった改革結集の会[5]の2党は野党ではなく「ゆ党」であると主張し、衆院予算委員会で野党の質問時間に含めない考えを示し、最終的に与野党が2党に時間を譲り合う“ゆ党”扱いとなった[6]。これに対し維新は「政権に参加していない党は野党だ」と主張し、抗議として与党からの配分時間のみを返上したうえで予算委員会を欠席する事態となった[7]

現在「ゆ党」と呼ばれている政党 編集

現存する政党で過去に「ゆ党」と呼ばれていた政党 編集

過去に存在した政党で「ゆ党」とされた事例 編集

脚注 編集

出典 編集

関連項目 編集