マキシマムセキュリティ

アメリカのサラブレッドの競走馬 (2016 - )

マキシマムセキュリティMaximum Security2016年5月14日 - )は、アメリカ合衆国生産のサラブレッド競走馬である。

マキシマムセキュリティ
マイケル・テイバーの勝負服(2020年以降)[1]
欧字表記 Maximum Security
品種 サラブレッド
性別
毛色 鹿毛
生誕 2016年5月14日
ニューイヤーズデイ
Lil Indy
母の父 Anasheed
生国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
生産者 Gary and Mary West Stables Inc.
馬主 Mrs John Magnier,Derrick Smith,Michael Tabor
& Gary and Mary West Stables Inc.
調教師 J.サーヴィス
B.バファート
競走成績
生涯成績 14戦10勝[2]
勝ち鞍 GI:フロリダダービー(2019年)
GI:ハスケル招待S(2019年)
GI:シガーマイルH(2019年)
GI:パシフィッククラシックS(2020年)
GII:サンディエゴH(2020年)
GIII:ボールドルーラーH英語版(2019年)
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経歴 編集

2歳(2018年)~3歳(2019年) 編集

2018年12月20日の未勝利戦でデビューして勝利。翌年、条件戦でも2勝して2019年3月30日のフロリダダービーに出走。スタートから先頭に立つと、後続の追撃を許さずに1着でゴール。ケンタッキーダービーの主役に躍り出た。

ケンタッキーダービーでは単勝オッズが現地で9-2(5.5倍)、日本国内で3.3倍(1番人気)と支持を受けていた。前走と同様に馬群を引っ張る形となったが、最終コーナーで外に出ようとして、外で走っていた後続のカントリーハウスら数頭の進路を塞いでしまう。その後マキシマムセキュリティは1着で入線するも審議の結果、同馬による進路妨害が認められ被害馬の中で最後方で入線したウォーオブウィルの1つ下の着順(17着)にまで降着した。

ケンタッキーダービー後は三冠路線を回避し、リステッド競走を挟んで夏のハスケル招待Sに出走、ムーチョグストとの叩き合いを制して勝利。

次走はペンシルベニアダービーの予定であったが疝痛を発症し回避、秋初戦はBCクラシックを回避してG3ボールドルーラーHを勝つと、12月のシガーマイルHを逃げ切りで制した。この年はG1レース3勝が評価されてエクリプス賞最優秀3歳牡馬部門に選出された。

4歳(2020年) 編集

2020年に入って、クールモアが同馬の所有権の半分を購入し[3]、勝負服も変更となった[1]。4歳初戦は、当初は海外遠征に消極的であったことからペガサスワールドカップが予定されていたが、ペガサスワールドカップの総賞金が300万ドルに大幅減額されたことを受けてサウジアラビアキングアブドゥルアジーズ競馬場で開催される総賞金2000万ドル(=約22億円)のサウジカップに目標が切り換えられた[4]。アメリカからはムーチョグスト、マッキンジー、ミッドナイトビズーなどが、UAEからはゴドルフィンベンバトル、日本からはゴールドドリームクリソベリルが出走。他にもアイルランドのマジックワンドなど、有力馬が集うレースとなった。道中はムーチョグストの後ろにつけて最後の直線で追い抜き、後続のミッドナイトビズーを振り切って1位で入線、「優勝」とされた[1]。その後ドバイワールドカップを回避して米国に帰国[5]したのも束の間、3月9日にサーヴィス調教師が管理馬全てに禁止薬物を投与し、訴追されたことが明らかになった[6]。これを受けサウジカップの結果は「保留」となり、賞金の支払いも停止された。その後の裁判手続きの過程で調教師側は違法薬物投与を認めており、2022年12月時点で最終的な確定はしていないものの、馬主側も失格となることを容認している[7][8]。2024年1月。サウジアラビア騎手クラブは、サーヴィスが「重大な規則違反」を犯したとして、マキシマムセキュリティの失格を正式に勧告した。この問題は審査委員会に付託され、後日この問題についての審理が行われる予定である。 [9]

共同所有者のゲイリー・ウエストは預託調教師をボブ・バファートに変更すると発表[6]、転厩初戦となったサンディエゴハンデキャップでは、主戦のルイス・サエス騎手が新型コロナウイルス感染症の陽性反応により待機措置を受けていため、代わってアデル・セディーロ騎手が騎乗し、ハナ差の勝利。続くパシフィッククラシックステークスでもセディーロが騎乗し逃げ切り勝ちを収め、前年からの連勝を6に伸ばした。

その後、9月に行われたオーサムアゲインステークスにてサエスとのコンビが復活。レースでは好位からレースを進めたものの、最後の直線で伸びを欠き、2着に敗れた。前年からの連勝は6でストップした[10]

11月7日に行われたブリーダーズカップ・クラシックに出走したが、オーセンティックの5着に敗れた。これがラストランとなった[11]

11月10日、現役を引退しアッシュフォードスタッド種牡馬入りすることが発表された。初年度の種付け料は2万ドル(およそ210万円)[11]

競走成績 編集

以下の内容は、EQUIBASEの情報に基づく。

出走日 競馬場 競走名 距離 着順 騎手 着差 1着(2着)馬
2018.12.20 ガルフストリームパーク メイデンクレーミング D6.5f 1着 R.マラージ 9馬身3/4 (Guerreron)
2019.01.24 ガルフストリームパーク 条件戦 D6f 1着 R.マラージ 6馬身1/2 (R Boy Bode)
0000.02.20 ガルフストリームパーク 条件戦 D7f 1着 I..オルティス Jr. 18馬身1/4 (Ownitifyouwantit)
0000.03.30 ガルフストリームパーク フロリダダービー G1 D9f 1着 L.サエス 3馬身1/2 (Bodexpress)
0000.05.04 チャーチルダウンズ ケンタッキーダービー G1 D10f 17着[注 1] L.サエス Country House
0000.06.16 モンマスパーク ペガサスS L D8.5f 2着 L.サエス 1馬身 King for a Day
0000.07.20 モンマスパーク ハスケル招待S G1 D10f 1着 L.サエス 1馬身1/4 Mucho Gusto
0000.10.26 ベルモントパーク ボールドルーラーH G3 D7f 1着 L.サエス 1馬身3/4 (Tale of Silence)
0000.12.07 アケダクト シガーマイルH G1 D8f 1着 L.サエス 3馬身1/2 (Span To Run)
2020.02.29 KAA サウジカップ D9f 保留 L.サエス
0000.07.25 デルマー サンディエゴH G2 D8.5f 1着 A.セディーロ ハナ (Midcourt)
0000.08.22 デルマー パシフィッククラシック G1 D10f 1着 A.セディーロ 3馬身 (Sharp Samurai)
0000.09.26 サンタアニタ オーサムアゲインS G1 D9f 2着 L.サエス 4馬身1/2 Improbable
0000.11.07 キーンランド ブリーダーズカップ・クラシック G1 D10f 5着 L.サエス 5馬身1/4 Authentic

血統表 編集

マキシマムセキュリティ血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ミスタープロスペクター系
[§ 2]

*ニューイヤーズデイ
2011 鹿毛
父の父
Street Cry
1998 黒鹿毛
Machiavellian Mr.Prospector
Coup de Folie
Helen Street Troy
Waterway
父の母
Justwhistledixie
2006 黒鹿毛
Dixie Union Dixieland Band
She's Tops
General Jeanne Honour and Glory
Ahpo Hel

Lil Indy
2007 栗毛
Anasheed
2000 栗毛
A.P.Indy Seattle Slew
Weekend Surprise
Flag Bird Nureyev
Up the Flagpole
母の母
Cresta Lil
1986 鹿毛
Cresta Rider Northern Dancer
Thoroly Blue
Rugosa Double Jay
Rose
5代内の近親交配 Norhern Dancer 5×5・4=12.50% [§ 3]
出典
  1. ^ Maximum_Security - Horse Racing Nation 2020年1月27日閲覧
  2. ^ Maximum_Security - Horse Racing Nation 2020年1月27日閲覧
  3. ^ Maximum_Security - Horse Racing Nation 2020年1月27日閲覧


血統背景 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 1位入線17着降着

出典 編集

  1. ^ a b c サウジCはマキシマムセキュリティが熱戦制す、クリソベリルは7着で初黒星”. 海外競馬ニュース. JRA-VAN (2020年3月1日). 2020年3月2日閲覧。
  2. ^ Maximum_Security - Horse Racing Nation|Horse Racing Nation”. Horse Racing Nation. 2020年1月27日閲覧。
  3. ^ 【沢田康文の欧州リポート】クールモアG、ソットサスの所有権を半分獲得”. サンスポZBAT!競馬. サンケイスポーツ (2020年1月30日). 2020年3月2日閲覧。
  4. ^ マキシマムセキュリティ、ペガサスWC賞金減額でサウジカップ出走も”. 海外競馬ニュース. JRA-VAN (2019年12月16日). 2020年3月2日閲覧。
  5. ^ サウジC覇者マキシマムセキュリティはドバイ回避へ”. 極ウマ. 日刊スポーツ (2020年3月3日). 2020年3月3日閲覧。。なお、当年のドバイワールドカップはマキシマムセキュリティの回避後に新型コロナウイルス感染症の影響で開催自体が取りやめとなった。
  6. ^ a b マキシマムセキュリティは名門バファート厩舎へ転厩|極ウマ・プレミアム”. p.nikkansports.com. 2020年3月10日閲覧。
  7. ^ netkaiba、合田直弘「世界の競馬」2022年12月14日付、マキシマムセキュリティを巡る違法薬物疑惑、裁判で全面的に認める供述、2023年2月26日閲覧
  8. ^ JAIRS、海外競馬ニュース、2022年12月15日付、マキシマムセキュリティの馬主、サウジカップ失格の決定を支持(アメリカ)[開催・運営]、2023年2月26日閲覧。
  9. ^ Hegarty, Matt (2024年1月23日). “Saudi Jockey Club recommends DQ of Maximum Security from 2020 Saudi Cup”. Daily Racing Form. 2024年1月23日閲覧。
  10. ^ マキシマムセキュリティ敗れる/オーサムアゲインS|極ウマ・プレミアム”. p.nikkansports.com. 2020年10月13日閲覧。
  11. ^ a b 【海外競馬】マキシマムセキュリティが引退 サウジC初代王者、ケンタッキーダービー1位入線降着 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2020年11月11日閲覧。
  12. ^ Lil Indy (FL)”. Equibase. 2020年3月2日閲覧。
  13. ^ Flat Out (FL)”. Equibase. 2020年3月2日閲覧。
  14. ^ Anasheed to Live Oak in Florida”. Blood Horse (2004年11月23日). 2020年3月2日閲覧。
  15. ^ NY Stallion Anasheed to Russia”. Blood Horse (2010年3月10日). 2020年3月2日閲覧。
  16. ^ POULE D'ESSAI DES POULAINS , le 26.04.1981”. France Galop. 2020年3月2日閲覧。
  17. ^ PRIX D'ISPAHAN , le 04.07.1981”. France Galop. 2020年3月2日閲覧。
  18. ^ Cresta Rider(USA)”. JBIS. 2020年3月2日閲覧。