ルナ1号
ルナ1号は、1959年に打ち上げられたソ連の月探査機。世界初の月衝突を目指したが、それには失敗し月近傍を通過するに終わった。
ルナ1号 | |
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![]() ルナ1号の複製 | |
所属 | ソビエト連邦 |
国際標識番号 | 1959-012A |
カタログ番号 | 00112 |
状態 | 運用終了 |
目的 | 月探査 |
観測対象 | 月 |
打上げ機 |
R-7ロケット (ボストーク8K72) |
打上げ日時 | 1959年1月2日 |
最接近日 |
1959年1月4日 (月から5995kmを通過) |
質量 | 361kg |
姿勢制御方式 | スピン制御 |
概要編集
ソ連は1957年のスプートニク1号打ち上げ以来、宇宙開発を積極的に進めていた。宇宙開発競争の一環として、月を目標にし、1958年以降は月に探査機を着陸・衝突させることを目的としたルナ計画を行っていた。
月を目指す打ち上げは、1958年に3回失敗し、4回目のルナ1号において、公表に足る成果を得ることができた。1959年1月2日に打ち上げられたルナ1号は、月着陸まで至らなかったものの、1月4日に月近傍5,995 kmを通過し、人類初の人工惑星となった。月面到達に失敗したとは言え、当時ソ連が既に月を超える軌道に人工物を送り込む能力を持つロケットを擁する事が実証された意義は大きかった。
設計と飛行編集
探査機の全体的な形状は球状をしており、そこから5つのアンテナが突出していた。無線機は19.993MHz(シグナル送信用)・183.6MHz(追跡用)・70.2MHzの3つの周波数を使用した。ソビエト連邦の紋章に加え、観測装置として磁力計・ガイガーカウンター・シンチレーション検出器・流星塵検出器などを搭載した。電力は水銀電池と酸化銀電池により供給された。探査機本体に推進システムは搭載していなかった[1]。同型機としてルナ2号が存在する。
ルナ1号は1959年1月2日16時41分21秒(UTC)にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた[2]。打ち上げロケットの第3段と共に脱出速度にまで加速した後、ロケットから切り離された。
1月3日、地球から11万3000kmの距離まで飛行したルナ1号は、搭載していた1kgのナトリウムを放出した。気化したナトリウムの航跡は地球上から6等級の明るさで観測でき、宇宙空間における気体の振る舞いに関する研究に役立てられた[1]。
1月4日、ルナ1号は月から5995kmの距離を通過し、地球と火星の間を公転する太陽周回軌道に入った。打ち上げから月接近までの飛行時間は34時間だった[1]。なお、打ち上げロケットの第3段も、ルナ1号と並走して太陽周回軌道に達した。ルナ1号の軌道要素は、1959年1月1日19時を元期として近日点距離0.98au・遠日点距離1.32au・公転周期450日・軌道傾斜角0.01度である[2]。
参考文献編集
- ^ a b c “General information on Luna 1”. NASA NSSDC. 2017年7月6日閲覧。
- ^ a b “Launch/Orbital information for Luna 1”. NASA NSSDC. 2017年7月6日閲覧。