三菱ふそう・スーパーグレート

スーパーグレートSuper Great)は、1996年より三菱ふそうトラック・バス[注釈 1]が製造・販売している10t級の大型トラックである。

スーパーグレートFP(2007年モデル)

ニュージーランドではショーグン(Shogun)の名で販売されている。

初代(1996年-2017年) 編集

  • 1996年6月5日 - ザ・グレートの後継として登場。KC‐F#系。CMに当時は浦和レッズの司令塔だったギド・ブッフバルト(元監督)を起用。翌月トラクタシリーズを追加。4軸低床車のFSはこれまでの異径ではなく、第1軸のタイヤを第2軸以降と同じ19.5インチのタイヤに変更し、日本の大型トラックで初めて総輪同径の4軸低床車を実現した。これまでFTと同じだった第1軸の位置を前進し、22.5インチタイヤを装着する前輪1軸車と同じ位置に変更した。これにより使用するタイヤを1種類に統一でき、スペアタイヤを1個にする事で軽量化につながっている。第1軸の位置が通常の前輪1軸車と同じ位置に変更したことからコーナリング性能が向上し、最小回転半径を縮小している。前期型であるKCは低キャブ仕様があり、Fバンパーの上部の桟が太い物と細い物の2種類があった。標準高キャブ車は前者、低キャブ車は後者を装備していた。FP-R(セミトラクタ)にウェッジ式フルエアブレーキを採用。前照灯は普通車を含む日本初のディスチャージヘッドランプを採用。
  • 1998年3月 - 一部改良、FVにウェッジ式フルエアブレーキを採用。
  • 2000年 - マイナーチェンジ。平成11年排出ガス規制に適合。KL‐F#系。従来はオプションだった運転席エアバッグ標準装備にし、FV、FP-R以外のブレーキをウェッジ式フルエアブレーキ変更とアウターミラーをスーパーミラーに変更。V8ショートキャブ車登場。エンジンは新開発の6M70型のほか、8DC11(330ps)、8M21型(370、400、430ps)を設定。フロントバンパーはKCの上部が細い低キャブ用を流用し、上部に黒いガーニッシュを全車に装着した。V8エンジン車の一部に低キャブ車が存続。V8は左シュノーケルだが、直6は右シュノーケルとなる。
  • 2001年6月 - ショートキャブ車に直6ターボ追加設定。
  • 2001年12月 - ザ・グレートが継続生産されていた構内専用車を18年ぶりにモデルチェンジ。輸出仕様と同様の角形4灯ヘッドライトを採用し、安全窓とスーパーミラーが装備されない。
  • 2003年1月6日 - 三菱自動車工業のトラック・バスカンパニー部門を分社化し、三菱ふそうトラック・バスが発足。同時に製造・販売権もふそうトラック・バスに移管。
  • 2003年5月-平成14年騒音規制に対応させるために大幅マイナーチェンジ。外観では速度表示灯の廃止によりルーフ上(ハイルーフはハイルーフ部のサイド面)にマーカランプを新設した。また、シャシー構造を大幅に変更し、低床車以外のエアサスをリーフ兼用の2バッグ式から4バッグ式に変更する。低床車以外にオプションとして10スタッドのISO規格タイプのホイールを設定する。
  • 2003年8月-一部の車両に限定してクラス初の平成16年排出ガス規制(新短期規制)を追加設定する。
  • 2005年10月 - エンジンの環境性能を見直し、全車種を平成16年排出ガス規制(新短期規制)に適合させた。これに伴いV型エンジンを廃止(低キャブ仕様も消滅)。灯火や安全基準などの保安基準の変更に対応するために、エクステリアのデザインを見直したモデルを発売。トラクタにスーパーフルキャブ設定。スーパーフルキャブとは、ハイマウントキャブ仕様の名称であり、Fグリルを1段足し3段にしたデザインが特徴。ヘッドライトのある段のグリルはブラックアウトされ、スリーダイヤがフロントリッドからグリルに付いたのも特徴である。フロントバンパーはKCの標準高キャブ車用を流用したため、バンパー上部にガーニッシュは無い。この頃から3連のテールランプ配列が変わり、ウインカーランプが外側に来るように変更された。2連のテールランプは従来のまま存置。
 
スーパーグレートFU後期型、スーパーフルキャブ
  • 2007年4月23日 - ビッグマイナーチェンジ。BDG−F♯系。構内専用車、除雪車、一部の海外向けを除いてエクステリア/インテリアデザインを一新。日産ディーゼル工業(2010年2月1日よりUDトラックス)から尿素SCRシステムの供給を受け、平成17年排出ガス規制適合。トラクタの一部については、重量車燃費基準を達成。また、従来のINOMATに加え、2ペダル式のINOMAT-II(7段)が設定された。ふそうの大型トラック初のバンパーライト専用車として採用した。ライト類は先行登場していたファイター後期型と共通である。サイレンサーが装着(取外し可)され、ブレーキバルブの排出音、ホイールパーク作動音が小さくなっている。スリーダイヤエンブレムが赤色からメッキシルバーに。
  • 2007年10月1日 - グッドデザイン賞受賞(エアロエース・エアロクィーンと共に)。
  • 2007年10月23日 - FUとFSにハイウェイカーゴを追加。ミッションはメルセデス・ベンツの「PowerShift」をベースとしたノンシンクロ構造の12段INOMAT-IIを新たに採用。ハイトルク型の6M70(T8)エンジン搭載によりスーパーフルキャブ化。ファイナルギアを高速向けとし巡航時の低燃費化を図った。
  • 2009年11月 FTの設定廃止、-新灯火器規制に適合させるために、キャブ上のマーカーを全ラインナップから廃止。
  • 2010年4月22日 - マイナーチェンジ。エンジンをダイムラーグループ3社(2021年12月、商用車部門をダイムラー・トラックとして分離)で共同開発した6R10型DOHC24バルブエンジン(国産クラス初)に換装。INOMAT-IIはハイウェイカーゴで採用された12段に統合の上、カーゴ・FP-Rに標準装備化(FV-Rの16段INOMATは残置)。尿素SCRシステムはUDトラックス製からダイムラー・トラックグループの「BlueTec」(DPF+SCR)に変更。エンジン変更に伴いキャブを70mm嵩上げ(スーパーフルキャブ・ショートキャブは変わらず)。22.5インチホイールが従来の8スタッドのJIS規格タイプに代わり、10スタッドのISO規格タイプをオプションから標準装備に変更(19.5インチホイールは8穴タイプ)。FP、FR、FW、FV-Pを廃止し車種を整理。平成21年排出ガス規制に適合し、さらに平成27年度重量車燃費基準も達成、本車種はその第1号となった。また、運転注意力モニター「MDAS-III」、衝突被害軽減ブレーキ、車両挙動安定装置の標準装備車種を拡大。圧縮開放ブレーキの名称が「パワータード」から「Jake(ジェイク)ブレーキ」に変更されている。
  • 2011年4月19日 - トラクタシリーズに重量品輸送に適したセミトラクタのFV-Rをマイナーチェンジして追加。
  • 2012年4月9日 - BOS(ブレーキオーバーライドシステム)およびESS(緊急制動表示灯)を全車標準装備。また、LIMITED車(D WING)に新形状のドラッグフォイラーとリヤスポイラーを標準装備。一部車種を除き新エコカー減税の対象となる。
  • 2014年5月29日 - FP-R全車、12段INOMAT-II搭載の単車、FV-R(基準内仕様)をマイナーチェンジ、「スーパーグレートV」に車名を変更(フロントグリル内の車名エンブレムは当初は「SUPER GREAT」のままだったが2016年モデルより「SUPER GREAT V」に変更)。「V」には「5世代目のスーパーグレート」の他、「燃費やパワーでVictory(勝利)を獲得する」という意味も込められている。フロントグリルの枠がライトメタリックブルーに塗られているのがMC前モデルとの違いである。6R10エンジンに国内初となるアシンメトリックターボチャージャーを採用し、全車平成27年度重量車燃費基準+5%達成。ISS(アイドリングストップ&スタート機構)を標準装備。外装ではグリルやバンパーにブルー、ランプベゼルやミラーにシルバーがデザイン。内装ではメーターパネルがオールLED化され、内装色の変更も行われた。オーディオは外部入力端子付きラジオ/CDプレーヤーを全車に搭載。
  • 2014年12月1日 - 7段MT搭載の単車、FV-R(基準緩和仕様)もスーパーグレートVに移行、フルラインアップとなる。全車型で平成27年度重量車燃費基準を達成したのは大型トラックとしては初めて。FV-Rは16段MT、16段INOMATを廃止し全車12段INOMAT-IIに統一。

2代目(2017年-) 編集

  • 2017年3月 - 21年ぶりにしてスーパーグレート初となるモデルチェンジを予告するティーザーサイトが設けられた。同年5月15日発売開始。報道発表によれば、2代目には平成28年排出ガス規制に対応した7.7Lの「6S10型」直列6気筒連続可変バルブタイミング機構付き2ステージターボDOHC24バルブ、および10.7Lの「6R20型」直列6気筒DOHC24バルブを搭載し、12段機械式自動変速機「ShiftPilot」を採用(当初は全車AT車のみでMT車は廃止とされていた)。安全面ではドライバーが一定時間目を閉じたりわき見運転をすると警告音を発する「アクティブ・アテンション・アシスタント」と左側死角の歩行者などの存在を警告する「アクティブ・サイドガード・アシスト(国内初)」などが装備される。外観面ではプロ・ライン以上にLEDヘッドライト(カバー形状はメルセデス・ベンツ・アクトロスと同一のもの)が採用されたほか、新たに設定されたパフォーマンスパッケージでは国産大型トラック唯一の装備となるサイドスカート(カーゴのみ)が装着される。このほかの新機能としては、スマートキー並びにプッシュスタートシステムなどが挙げられる。
    • キャビン・ドア・内装の一部は従前のスーパーグレートを踏襲しているが、インパネ運転席側は大きく変更され、多くの電子部品・エンジン部品にはメルセデスベンツのエンブレムが見られる。
    • 2018年中旬、従来MT車を導入していた物流事業者等の需要に応える形で、カーゴ系FU・FS・FV、ダンプ・ミキサー系FVにMT車が追加される。また、MT車専用のグレードとして「クラシック(AT車グレードのプロ・ライン相当)」が追加される。従前と異なりMT車の設定は車型・諸元が限定されている。

3代目(2023年-) 編集

 
3代目

バリエーション 編集

  • FU(前1軸後2軸・6×2、後前軸駆動)
  • FS(前2軸後2軸・8×4・低床、後2軸駆動)
  • FP(前1軸後1軸・4×2)
  • FV(前1軸後2軸・6×4・FUの2デフ版)
  • FT(前2軸後1軸・6×2)
  • FY(前1軸後2軸・6×4・低床 FVの低床版)
  • FR(前1軸後1軸・4×4)除雪車ダンプおよび特装専用シャーシ
  • FW(前1軸後2軸・6×6)除雪車・ダンプおよび特装専用シャーシ
  • FX(前1軸後2軸・6×6)防衛省専用シャーシ
  • FP-R(前1軸後1軸・4×2 セミトラクタ
  • FV-R(前1軸後2軸・6×4 セミトラクタ)
  • FV-P(前1軸後2軸・6×4 ポール・フルトラクタ)
  • FT-P(前2軸後1軸・6×2 フルトラクタ)
  • FV構内専用車

キャブ 編集

キャブ形状 キャブ高 設定グレード 備考
フルキャブ 標準ルーフ 標準(6M70)
標準+70mm(6R10)
SA・DX・SUPER PACKAGE・CUSTOM
ハイルーフ DX・SUPER PACKAGE・CUSTOM
スーパーフルキャブ 標準ルーフ 標準+190mm ハイトルクエンジン搭載車のみ:6M70(T5/T7/T8)、6R10(T5/T6/T7/T8)
ハイルーフ
ショートキャブ 標準ルーフ DX ステップが三段になり、ヘッドライトより上部がチルトする。
スーパーマルチルーフ キャブ上にベッドスペース、改造対応。ステップが三段になり、ヘッドライトより上部がチルトする。

グレード 編集

  • エコ・ライン(旧:SA):室内ハーフトリム、塩ビ製フロアカーペットなど、装備を簡素化した仕様。DX以上に標準装備のディスチャージヘッドランプではなく、ハロゲンランプであることも特徴。特にタンクローリーや、路線便などに用いられる前二軸カーゴ車などに多い。
  • プロ・ライン(旧:DX):最量販グレードとしてメーカーに設定されている。キャビン内フルトリムやカーペットフロアマット、ディスチャージヘッドライト、集中ドアロックなどを装備した標準仕様。
  • プレミアム・ライン(旧:スーパーパッケージ):メッキバンパー、黒木目調内装パネル、収納スペース増などの装備を持つ特別仕様。11年前後に追加設定された。
  • エグゼクティブ・ライン(旧:カスタム):温冷蔵庫、オートライト、メッキバンパー、本革シートなど、ほかのグレードにオプション設定される装備を標準装備した仕様。スーパーフルキャブではないキャブの場合、フロントバンパーにヘッドライトウォッシャーが付いていた。この装備は初代グレートからの引き継ぎであったが、現行車では灯火器具の保安基準の関係で付けられていない。
  • ハイルーフ:主にDX、スーパーパッケージ、カスタムに設定。標準キャブに比べ、大幅に室内高を拡大している。また、運転席側にはメッシュのポケットが有り、中央部には大型の小物入れが設置されている。DXのハイルーフにはロールーフではオプションとなる7スピーカーのCDプレーヤーが標準装備となる。
  • スーパーマルチルーフ:主にDX、SAに設定。ショートキャブ上部にベッドスペースとなるカプセル状の個室を増設した仕様。未使用時には二階部分の床を外し、ハイルーフとして使用する事が可能。

メーカー完成車シリーズ荷台メーカー 編集

搭載エンジン 編集

直列6気筒 6D系エンジン

  • 6D24(11,945cc、330PS)
  • 6D40(11,980cc、360・390PS)

6M系エンジン

  • 6M70(12,880cc、350・380・420・460・520PS)

6R系エンジン

  • 6S10(7,700cc)
  • 6R10(12,808cc)
  • 6R20(10,676cc)

V型8気筒、V型10気筒

DC系エンジン

  • 8DC9(16,030cc、320・440PS)
  • 8DC11(17,730cc、330・355PS)

M2系エンジン

  • 8M20(20,080cc、385PS)
  • 8M21(21,205cc、370・400・420・430PS)
  • 8M22(19,004cc、480・550PS)
  • 10M20(25,112cc、480PS)
  • 10M21(26,507cc、520PS)

※8M22には、エアクリーナーが左右1個ずつ搭載される。

モータースポーツ 編集

1998年パリ・ダカールラリーにアシスタントトラック(パジェロのメイン車両のサポートカー)として2台が参加している。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 発売から2003年までは三菱自動車工業が製造・販売。

出典 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集