佐藤さとる

日本の童話作家

佐藤 さとる(さとう さとる、本名:佐藤 暁(読み同じ)[1]1928年2月13日 - 2017年2月9日[2])は、日本童話作家。本名名義による作品もある。既婚。日本文芸家協会会員[3]

佐藤 さとる
ペンネーム 佐藤 さとる
誕生 佐藤 暁
(1928-02-13) 1928年2月13日
神奈川県横須賀市
死没 (2017-02-09) 2017年2月9日(88歳没)
国籍 日本の旗 日本
最終学歴 関東学院大学(旧工業専門学校)工学部建築科
活動期間 1959年 - 2013年
ジャンル 児童文学
代表作コロボックル物語』シリーズ
おおきなきがほしい
主な受賞歴 毎日出版文化賞(1959年)
国際アンデルセン賞国内賞(1959年)
児童文学者協会新人賞(1960年)
厚生省児童福祉文化賞(1967年)
野間児童文芸賞(1967年)
巖谷小波文芸賞(1988年)
神奈川文化賞(2005年)
赤い鳥文学賞(2007年)
エクソンモービル児童文化賞(2007年)
旭日小綬章(2010年)
児童文化功労賞(2015年)
デビュー作だれも知らない小さな国
活動期間 1946年 - 2017年
公式サイト www.k-akatsuki.jp
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概要 編集

父・佐藤完一海軍軍人で、ミッドウェイ海戦で戦死。アララギ派歌人でもあった。母は小学校教員。父方の叔父佐藤真樹は「コスモス」の歌人で、その娘は奥村晃作と結婚した。

10歳まで神奈川県横須賀市で育ち横浜に転居、以後横浜を拠点として創作活動を行う。2歳上の双子の姉から字を教わり、5歳の頃に初めて「イソップ物語」を読み、アンデルセングリムの童話にも夢中になった[4]

戦後、日本童話会に入会、童話創作を志す[5]。1949年児童文学者後藤楢根の紹介で長崎源之助と出会い、長崎と一緒に平塚武二に師事[6]。1950年、長崎、いぬいとみこ神戸淳吉らと、同人誌『豆の木』を創刊する。

実業之日本社編集者生活を送った後、作家となった。「日本初のファンタジー小説」と謳われる『コロボックル物語』シリーズをはじめとするファンタジー的作品で知られる。

略歴 編集

(講談社『小さな人のむかしの話』他掲載・出版プロフィールより抜粋)

作風 編集

  • 児童向けの作品で知られるが、童話の中に現実性の高い状況をさりげなくちりばめる手法により、高く評価されている。
  • 『わんぱく天国』では、自らの横須賀における子供時代の体験を元にしたと思われる、当時の詳細な遊び方の一部を紹介した。
  • 画家は『コロボックル』をはじめとする、村上勉とのコンビが有名。

作品 編集

コロボックル物語 編集

  1. だれも知らない小さな国 佐藤暁名義 若菜珪講談社、1959年、のち文庫(村上勉絵)
  2. 豆つぶほどの小さないぬ 佐藤暁名義 若菜珪絵、講談社、1959年、のち文庫(村上勉絵)
  3. 星からおちた小さな人 村上勉絵 講談社、1965年、のち文庫
  4. ふしぎな目をした男の子 村上勉絵 講談社 1971年、のち文庫
  5. 小さな国のつづきの話 村上勉絵 講談社、1983年、のち文庫 
  • 別巻『小さな人の昔の話』村上勉絵 講談社、1987年、のち青い鳥文庫、『コロボックルむかしむかし』講談社文庫
  • 『コロボックルそらをとぶ』村上勉 絵 講談社、1971年、コロボックルカラー童話
  • 『コロボックルふねにのる』村上勉 絵 講談社、1971年、コロボックルカラー童話
  • 『トコちゃんばったにのる』村上勉 絵 講談社、1971年、コロボックルカラー童話
  • 『そりにのったトコちゃん』村上勉 絵 講談社、1972年、コロボックルカラー童話
  • 『コロボックル童話集』村上勉 絵 1983年、講談社青い鳥文庫
  • 『百万人にひとり/へんな子』村上勉 絵 講談社、2009年、もうひとつのコロボックル物語
  • 『ヒノキノヒコのかくれ家 /人形のすきな男の子』村上勉 絵 講談社、2009年、もうひとつのコロボックル物語
  • 『コロボックル物語・番外編 ブドウ屋敷文書の謎』2013年、私家版『だれも知らない小さな国』復刻版特別付録

児童文学 編集

  • 『つくえのうえのうんどうかい : なかまにはいれる子にする童話』佐藤暁名義,若菜珪絵 実業之日本社 1963 のち小峰書店、1983年(村上勉絵)。
  • 『てのひら島はどこにある』佐藤暁名義,池田仙三郎 絵 理論社、1965年、のちフォア文庫(林静一 画) のち理論社 2003年(林静一画) のち理論社 2016(池田仙三郎画)
  • 『おばあさんのひこうき』村上勉 絵 小峰書店、1966年、のちてのり文庫 のち偕成社 1999年
  • 『そこなし森の話 短編集』村上勉 絵 実業之日本社、1966年。のち偕成社 1989年(中村道雄 絵)
  • 『宇宙からきたかんづめ』村上勉 絵 盛光社、1967年、創作S・Fどうわ、のち童心社、1979年。のちゴブリン書房、2011年(岡本順絵)。
  • 『海へいった赤んぼ大将』村上勉 絵 あかね書房、1968年、のち文庫 
  • 『マコトくんとふしぎないす』村上勉 絵 偕成社、1968年。
  • 『宇宙からきたみつばち』村上勉 絵 盛光社、1969年、創作SFえほん、のちフォア文庫。
  • 『おしゃべりゆわかし』村上勉 絵 あかね書房、1969年。
  • 『きつね三吉』村上勉 絵 大日本図書、1969年。のち偕成社 1984年
  • 『ぼくのけらいになれ』村上勉 絵 小峰書店、1969年。
  • 『赤んぼ大将山へいく』村上勉 絵 あかね書房、1970年。
  • 『100ばんめのぞうがくる』村上勉 絵 偕成社、1970年。
  • 『わんぱく天国 按針塚の少年たち』村上勉 絵 講談社、1970年、のち文庫、青い鳥文庫。のちゴブリン書房 2016年(岡本順画)
  • 『あめふりこぞう』村上勉 絵 偕成社、1971年。
  • おおきなきがほしい』村上勉 絵 偕成社、1971年。
  • 『タツオのしま』村上勉 絵 講談社、1971年。
  • 『ぼくのつくえはぼくのくに』村上勉 絵 学習研究社、1971年。 のち学研小学生文庫
  • 『太一くんの工場』国語教科書 新版標準 五年上 教育出版、1971年。
  • 『佐藤さとる全集』村上勉 絵 講談社、全12巻、1972-74年。
    • 1 おばあさんのひこうき・おしゃべりゆわかし
    • 2 つくえの上のうんどうかい・大きな木がほしい
    • 3 ぼくのつくえはぼくのくに・コロボックルのトコちゃん
    • 4 海へいった赤んぼ大将・だいだらぼっち
    • 5 赤んぼ大将山へいく・タツオノ島
    • 6 マコトくんとふしぎないす・きつね三吉
    • 7 てのひら島はどこにある・雨ふりこぞう
    • 8 だれも知らない小さな国・そこなし森の話
    • 9 豆つぶほどの小さないぬ・井戸のある谷間
    • 10 星からおちた小さな人・ふしぎなおばあさん
    • 11 ふしぎな目をした男の子・ヒノキノヒコのかくれ家
    • 12 わんぱく天国・ネムリコの話
  • 『ジュンとひみつの友だち』村上勉 絵 岩波書店、1972年、のち少年文庫。
  • 『ふしぎなふしぎなながぐつ』村上勉 絵 偕成社、1972年。
  • 『いたちの手紙』村上勉 絵 講談社、1973年。
  • 『カラッポのはなし』村上勉 絵 あかね書房、1973年。
  • 『ぼくのおばけ』岩村和朗 絵 偕成社、1973年。
  • 『イサムのひこうき』岩村和朗 絵 偕成社、1974年。
  • 『カッパと三日月』斎藤博之 画 あかね書房、1974年。
  • 『くるみたろう』田代三善 え 小峰書店、1974年。
  • 『いじめっこがふたり』村上勉 絵 偕成社、1975年。
  • 『ねこのぼんおどり』村上勉 画 あかね書房、1975年、新作絵本日本の民話。
  • 『ひみつのかたつむり号』村上勉 画 童心社、1975年、のちフォア文庫。
  • 『ぼくのいぬくろべえ』鈴木博 画 小学館、1975年。
  • 『えんぴつたろうのぼうけん』竹川功三郎 絵 講談社、1976年。のち『えんぴつ太郎のぼうけん』と改題して、鈴木出版 2015年(岡本順画)
  • 『かぜにもらったゆめ』詩 村上勉 絵 童心社、1976年。
  • 『くちぶえをふくねこ』村上勉 絵 偕成社、1976年。
  • 『佐藤さとるファンタジー童話集』村上勉 絵 講談社文庫、1976-89年。
    • そこなし森の話
    • 名なしの童子
    • おばあさんの飛行機
    • 赤んぼ大将
    • てのひら島はどこにある
    • ジュンと秘密の友だち
    • 口笛を吹くネコ
    • 小鬼がくるとき
    • コロボックルのトコちゃん
    • 宇宙からきたかんづめ
    • ぼくの机はぼくの国
  • 『ぼくは魔法学校三年生』村上勉 絵 大日本図書、1976年、のちてのり文庫、1988年。
  • 『かどんぼっこ』岩村和朗 絵 偕成社、1977年。
  • 『小鬼がくるとき』水村まどみ 画 あかね書房、1977年。
  • 『じゃんけんねこ』岩村和朗 絵 あかね書房、1977年。
  • 『ぼくのジープ』村上勉 絵 偕成社、1977年。
  • 『ぼくのひこうき』村上勉 絵 偕成社、1977年。
  • 『ぼくのヨット』村上勉 絵 偕成社、1977年。
  • 『ぽすとにきいたはなし』竹川功三郎 絵 小峰書店、1977年。
  • 『まいごのおばけ』村上勉 絵 講談社、1977年。
  • 『わんぱく天国』村上勉 絵 講談社、1977年。
  • 『あっちゃんのよんだ雨』渡辺有一絵 偕成社、1978年。
  • 『おかあさんのたからもの』村上勉 絵 教育研究社、1978年。
  • 『まほうのはしご』鈴木幸枝 絵 佼成出版社、1978年。
  • 『このさきゆきどまり』水村まどみ絵、講談社、1979年。
  • 『さんぽにいこうよ』村上勉 画 偕成社、1979年。
  • 『どんぐりたろう』村上勉 絵 金の星社、1979年。
  • 『ねずみのまちの一ねんせい』村上勉 絵 偕成社、1979年。
  • 『まめだぬき』村上勉 絵 フレーベル館、1979年。
  • 『まほうのチョッキ』鈴木まもる絵 偕成社、1980年。
  • 『まほうつかいのちかみち』村上勉 絵 あかね書房、1981年。
  • 『りゅうのたまご』村上勉 絵 偕成社文庫、1981年。
  • 『てのひら島はどこにある』林静一 絵 理論社 1981年
  • 『かえるのアパート』林静一 絵 講談社、1982年。
  • 『こおろぎとおきゃくさま』村上勉 絵 大日本図書。1982年。
  • 『佐藤さとるファンタジー全集』村上勉 絵 講談社、全16巻、1982-83年。のち復刊ドットコムから再刊
    • 1 だれも知らない小さな国
    • 2 豆つぶほどの小さないぬ
    • 3 星からおちた小さな人
    • 4 ふしぎな目をした男の子
    • 5 小さな国のつづきの話
    • 6 そこなし森の話
    • 7 てのひら島はどこにある
    • 8 おばあさんの飛行機
    • 9 赤んぼ大将
    • 10 ジュンと秘密の友だち
    • 11 わんぱく天国
    • 12 いたちの手紙
    • 13 ぼくは魔法学校三年生
    • 14 名なしの童子
    • 15 ファンタジーの世界
    • 16 佐藤さとるの世界
  • 『とおいほしから』村上勉 絵 大日本図書、1982年。
  • 『しかられぼうずのひみつ』村上勉 絵 偕成社、1984年。
  • 『たっちゃんとでんしんばしら』村上勉 絵 ひくまの出版、1984年。
  • 『ねずみとよめいり』村上勉 絵 童心社、1984年。
  • 『えんぴつたろうのひっこし』村上勉 絵 講談社、1986年。
  • 『おばけのチミとセンタクバサミ』村上勉 絵 あかね書房、1986年。
  • 『はさみがあるいたはなし』村上勉 絵 小学館、1986年。
  • 『イサムのへんてこひこうき』改訂版、岩村和朗 絵 偕成社、1987年。
  • 『タクちゃんのないしょのはなし』岡本順絵 偕成社、1988年、佐藤さとる幼年童話。
  • 『ちゃいろの小びんちゃん』村上勉 絵 国土社、1991年、"まほうの風"幼年どうわシリーズ。
  • 『おかあさんのおとしもの』しんしょうけん絵 童心社、1993年。
  • 『ふしぎなあの子』岡本順 絵 あかね書房、1993年。
  • 『まいごのおばけ』村上勉 絵 講談社、1993年。
  • 『えんぴつたろうの三つのぼうけん』岡本順 絵 講談社、1994年。
  • 『かえるのアパート』林静一 絵 講談社、1994年。
  • 『ねこがわんいぬはにゃん』童心社、1994年。
  • 『なきむしこうさぎ』しんしょうけん絵 ポプラ社、1996年。
  • 『赤んぼ大将さようなら』あかね書房、1997年。
  • 『スケートねこ』武田美穂絵 ポプラ社、1997年。
  • 『ふっくらふしぎなおくりもの』岡本順 絵 ポプラ社、1997年。
  • 『ひめさまと二十日ねずみ』しんしょうけん 絵 大日本図書、1998年。
  • 『いってかえって星から星へ』田中清代 絵 ビリケン出版、2000年。
  • 『どんぐり、あつまれ!』田中清代 絵 あかね書房、2001年。
  • 『うさぎのゆきだるま』しんしょうけん 絵 にっけん教育出版社、2002年。
  • 『佐藤さとる幼年童話自選集』ゴブリン書房、全4巻、2003-04年。
  • 『天狗童子 本朝奇談』画: 村上豊 あかね書房、2006年、のち『完全版・本朝奇談(にほんふしぎばなし)天狗童子』 2009年 のち講談社文庫 2012年
  • 『佐藤さとる童話集』ハルキ文庫、2010年。

その他 編集

  • 佐藤暁『つくえのうえのうんどうかい なかまにはいれる子にする童話』実業之日本社、1963年、よい性格をつくる童話シリーズ。
  • 『ファンタジーの世界』講談社現代新書(評論)、1978年。
  • 『ファンタジー童話傑作選』(編著)全2編、1979年、講談社文庫。
  • 『新仮名草子 机上庵志異』講談社、1982年、のち「机の上の仙人 : 机上庵志異」と改題して文庫。のち『机の上の仙人 : 机上庵志異』ゴブリン書房、2014年(岡本順画)
  • 『だれも知らない小さな話 随筆集』偕成社、2003年。
  • 『海の志願兵 佐藤完一の伝記』偕成社、2010年。
  • 『オウリィと呼ばれたころ―終戦をはさんだ自伝物語』理論社 2014年
  • 『コロボックルの世界へ』(監修) 講談社、2015年
  • 『コロボックルに出会うまで : 自伝小説サットルと『豆の木』』偕成社 2016年

翻訳 編集

外国語訳 編集

  • ルース・マクリーリ訳『だれも知らない小さな国』講談社、1988年。

出典 編集

  1. ^ 日外アソシエーツ現代人物情報
  2. ^ a b 児童文学作家の佐藤さとるさん死去「コロボックル物語」 朝日新聞 2017年2月17日
  3. ^ 日外アソシエーツ現代人物情報
  4. ^ 日外アソシエーツ現代人物情報
  5. ^ 日外アソシエーツ現代人物情報
  6. ^ 佐藤さとる公式サイト
  7. ^ [座談会]ファンタジーの世界 佐藤さとると「コロボックル」たち”. 有隣堂. 2021年12月31日閲覧。
  8. ^ a b c d e 佐藤さとる公式サイトより。
  9. ^ a b c d e f g 読売人物データベースより
  10. ^ 佐藤さとる公式サイトより。日外アソシエーツ人物情報では「1949年」とあるが、おそらく誤り。
  11. ^ 日外アソシエーツ現代人物情報
  12. ^ 日外アソシエーツ現代人物情報
  13. ^ 日外アソシエーツ現代人物情報

外部リンク 編集