併合
併合(へいごう、英: Annexation)は、ある国家の領土の一部または全部を、合意により他国が譲り受けること[1]。主権の完全移行を伴わない占領や保護国・保護領化、租借とは区別される。政治の分野でいう併合は、離散的な分割の逆と捉えるか、連続的な分離の逆と捉えるかで含む範囲が異なる。類義語としては、統合・合併・統一・合体などがある。
武力を背景とした一方的な併合の場合、第三国が併合を承認せず、地図上では併合前の国境が用いられることもある。イスラエルによる東エルサレム併合や、イラクによるクウェート併合などでその例が見られる。
「併合」は、強い側の拡張主義や、強制的 / 片務的な意味合いが強いため、ときには合併、合邦、統合、統一などといったよりポジティブなイメージを持つ用語に置き換えられることがある。
併合の例 編集
1949年以後 編集
- ウクライナ南東部
- クリミア
- 2014年3月にクリミア自治共和国とセヴァストポリがロシアに編入。詳細はロシアによるクリミアの併合を参照。
- ドイツ民主共和国
- クウェート
- 東ティモール
- 1976年7月17日にインドネシアが東ティモールを併合して第27州とするが国連・ポルトガルが容認せず、また独立派のゲリラにより紛争になる。1999年には国連の協議の下で、インドネシアとポルトガルが併合に同意したが紛争が続く。2002年に独立。
- 西サハラ
- ゴア
- チベット
- エルサレム
戦間期から第二次大戦 編集
- オーストリア
- チェコスロヴァキア
- 1938年、ミュンヘン会談を受けチェコスロバキアのズデーテン地方がドイツに併合。後にドイツはチェコスロバキアを解体しベーメン・メーレン保護領およびスロバキア(被保護国)として勢力下に収める。詳細はチェコスロバキア併合を参照。
- バルト三国
- モルドバ
- 1940年6月、ルーマニアのベッサラビアと北ブコビナがソビエト連邦に併合。ベッサラビアの大部分はモルダビア・ソビエト社会主義共和国(現・モルドバ)となり北ブコビナとベッサラビアの黒海沿岸部はウクライナ・ソビエト社会主義共和国に組み込まれた。
- エチオピア
第一次大戦以前 編集
- 大韓帝国
- ハワイ
- 琉球王国
- テキサス
- 東蝦夷地
脚注 編集
出典 編集
- ^ 字通,ASCII.jpデジタル用語辞典,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),デジタル大辞泉,世界大百科事典 第2版,普及版. “併合とは”. コトバンク. 2022年2月8日閲覧。
- ^ 防衛年鑑刊行会編『防衛年鑑 1960年版』防衛年鑑刊行会、昭和35年2月22日第1刷発行、169頁。
- ^ 別所裕介「現代チベットの牧畜社会を対象とした 「家畜慣行の60年史」作成」『財団法人三島海雲記念財団研究報告書』第51巻、2015年、180頁。
- ^ 併合 - ブリタニカ百科事典, the Chinese annexation of Tibet in 1959.
- ^ 河合明宣「陸封された地域の「解放」―インド・アルナーチャル・プラデシュ州とブータン―」『ヒマラヤ学誌』No.13、2012年、303頁。
- ^ “チベット併合の経済的成功を強調「人権侵害はデマ」]”. テレ朝 news (2019年3月28日). 2020年7月3日閲覧。