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労働組合法(ろうどうくみあいほう、昭和24年6月1日法律第174号)は日本の法律である。いわゆる「労働三法」の一つ。1945年に昭和20年12月22日法律第51号として制定され、1949年に全部改正された。

労働組合法
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 労組法
法令番号 昭和24年6月1日法律第174号
種類 労働法
効力 現行法
主な内容 労働組合労働協約の規律
関連法令 労働基準法労働関係調整法日本国憲法
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資本家に対抗するために労働力の集団的取引を確保するため、労働組合の結成を妨害することは不当労働行為等の条文によって保護され、合法的に労働組合の結成を妨害することは不可能な構造となっている。

構成編集

  • 第一章 総則(第1条―第4条)
  • 第二章 労働組合(第5条―第13条の13)
  • 第三章 労働協約(第14条―第18条)
  • 第四章 労働委員会
    • 第一節 設置、任務及び所掌事務並びに組織等(第19条―第26条)
    • 第二節 不当労働行為事件の審査の手続(第27条―第27条の18)
    • 第三節 訴訟(第27条の19―第27条の21)
    • 第四節 雑則(第27条の22―第27条の26)
  • 第五章 罰則(第28条―第33条)
  • 附則

目的等編集

この法律は、労働者使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする(第1条)。

労働者が労働組合を組織する権利(団結権)は日本国憲法第28条によって保障され、その手続きや組合の具体的な権能等を定めるのが本法である。

定義編集

労働組合

この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。但し、以下の各号の一に該当するものは、この限りでない(第2条)。

  1. 役員雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接に抵触するする監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの
    ある特定の管理職が「監督的地位にある労働者」「使用者の利益を代表する者」であるかどうかを判断する場合には、「部長」「課長」などの名称にとらわれず、実質的に監督的地位にあるかどうか、使用者の利益を代表する者かどうか、個別的・具体的に判断する。当然、「監督的地位にある労働者」「使用者の利益を代表する者」の範囲は客観的なものであり、会社内で「管理職」とされていても法的に「利益代表者」に該当しなければ当該労働者らが結成する「管理職組合」も法適合組合となる(セメダイン事件、東京高判平成12年2月29日)。一般的には労使間の無用な争いを防止するため、その範囲を労働協約で明定することが多いが、理論的には労使当事者の協定によってこれを左右することはできないとされ、その範囲はあらかじめ決定されるものではなく、不当労働行為の認定、法人格の取得の場合等にその都度行われることとされている。労働基準法第41条でいう「監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」とは必ずしも一致しない。
  2. 団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの。但し、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、且つ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。
  3. 共済事業その他福利事業のみを目的とするもの
  4. 主として政治運動又は社会運動を目的とするもの
    「主として」政治運動・社会運動を目的とする団体が労働組合と認められないのであって、労働組合がその活動の一部として政治運動・社会運動をすることは差支えない(三井美唄労組事件、最判昭和43年12月4日)。
労働者

この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう(第3条)。

労働基準法第9条では、「労働者」とは、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で賃金を支払われるものをいう」とされ、契約上において、請負委任とされている者についても、実態として雇用契約が締結されていると認められること、つまり実質的な「使用従属関係の有無」で判断されるが、労働組合法第3条では労働基準法とは異なり「使用される者」という要件が課されていない。労働基準法が、法が定める労働条件による保護を受ける対象を確定するための概念と解されるのに対し、労働組合法では労働組合を組織し集団的な交渉を通じた保護が図られるべき者が幅広く含まれると解される[1]。したがって労働組合法上の「労働者」には失業者も含まれるものとされ(昭和23年6月5日労発262号)、また勤務時間の管理を受けず時間的・内容的に自由に業務遂行を行う者も含まれうる。具体的に労働組合法上の「労働者」かを判断するには、「業務組織への組み入れ」「契約内容の一方的・定型的決定」「報酬の労務対価性」をもとに、「業務の依頼に応ずべき関係」「広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束」を合わせて総合判断する。ただし、「顕著な事業者性」が認められる場合は、労働者性が否定され得る[1]

労働組合編集

労働組合は、労働委員会に証拠を提出して第2条及び第2項の規定に適合することを立証しなければ、この法律に規定する手続に参与する資格を有せず、且つ、この法律に規定する救済を与えられない。但し、第7条第1号の規定に基く個々の労働者に対する保護を否定する趣旨に解釈されるべきではない(第5条1項)。労働組合は国家による規制から自由に結成できるのがILO87号条約(日本も批准)の原則であるが、日本では第5条に定める手続き(資格審査)を経なければ法の保護を受けられない[2]

労働組合の規約には、以下の各号に掲げる規定を含まなければならない(第5条2項)。

  1. 名称
  2. 主たる事務所の所在地
  3. 連合団体である労働組合以外の労働組合(以下「単位労働組合」という。)の組合員は、その労働組合のすべての問題に参与する権利及び均等の取扱を受ける権利を有すること。
  4. 何人も、いかなる場合においても、人種宗教性別、門地又は身分によつて組合員たる資格を奪われないこと。
  5. 単位労働組合にあっては、その役員は、組合員の直接無記名投票により選挙されること、及び連合団体である労働組合又は全国的規模をもつ労働組合にあっては、その役員は、単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票により選挙されること。
  6. 総会は、少くとも毎年一回開催すること。
    代議員制度を採っている場合には、「総会」とはその代議員制度による大会を指し、全組合員により構成されるものでなくてもよい(昭和29年4月21日労発126号)。なお、全国的規模をもたない単位組合については5,9の定めによらなければならないものとされ、代議員制度は適用されないことになっている。
  7. すべての財源及び使途、主要な寄附者の氏名並びに現在の経理状況を示す会計報告は、組合員によって委嘱された職業的に資格がある会計監査人による正確であることの証明書とともに、少くとも毎年一回組合員に公表されること。
  8. 同盟罷業は、組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票の過半数による決定を経なければ開始しないこと。
  9. 単位労働組合にあっては、その規約は、組合員の直接無記名投票による過半数の支持を得なければ改正しないこと、及び連合団体である労働組合又は全国的規模をもつ労働組合にあっては、その規約は、単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票による過半数の支持を得なければ改正しないこと。

この法律の規定に適合する旨の労働委員会の証明を受けた労働組合は、その主たる事務所の所在地において登記することによって法人となる(第11条1項)。労働組合に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ第三者対抗することができない(第11条3項)。この規定による登記には、以下の事項を掲げなければならない(施行令第3条)。

  • 名称
  • 主たる事務所の所在場所
  • 目的及び事業
  • 代表者の氏名及び住所
  • 解散事由を定めたときはその事由

法人である労働組合には、一人又は数人の代表者を置かなければならない。代表者が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、法人である労働組合の事務は、代表者の過半数で決する(第12条)。代表者は、法人である労働組合のすべての事務について、法人である労働組合を代表する。ただし、規約の規定に反することはできず、また、総会の決議に従わなければならない(第12条の2)。法人である労働組合の管理については、代表者の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない(第12条の3)。法人である労働組合が代表者の債務を保証することその他代表者以外の者との間において法人である労働組合と代表者との利益が相反する事項については、代表者は、代表権を有しない。この場合においては、裁判所は、利害関係人の請求により、特別代理人を選任しなければならない(第12条の5)。

労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する(第6条)。

免責編集

刑法第35条の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であって本法の目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。但し、いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならない(刑事免責、第1条2項)。

使用者は、同盟罷業その他の争議行為であって正当なものによって損害を受けたことの故をもって、労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない(民事免責、第8条)。

不当労働行為編集

解散編集

労働組合は、以下の事由によって解散する(第10条)。

  • 規約で定めた解散事由の発生
  • 組合員又は構成団体の4分の3以上の多数による総会の決議

解散した法人である労働組合は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす(第13条)。法人である労働組合が解散したときは、代表者がその清算人となる。ただし、規約に別段の定めがあるとき、又は総会において代表者以外の者を選任したときは、この限りでない(第13条の2)。清算人は、解散後2週間以内に、主たる事務所の所在地において、その氏名及び住所並びに解散の原因及び年月日の登記をしなければならない(第13条の5)。清算中に法人である労働組合の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない(第13条の9)。

解散した法人である労働組合の財産は、規約で指定した者に帰属する。規約で権利の帰属すべき者を指定せず、又はその者を指定する方法を定めなかったときは、代表者は、総会の決議を経て、当該法人である労働組合の目的に類似する目的のために、その財産を処分することができる(第13条の10)。

労働協約編集

労働委員会編集

労働委員会は、使用者を代表する者(使用者委員)、労働者を代表する者(労働者委員)及び公益を代表する者(公益委員)各同数をもって組織する(第19条1項)。ILO144号条約(日本も批准)の「公労使三者構成の原則」を本法でも採用することを宣言している。

労働委員会は、第5条、第11条及び第18条の規定によるもののほか、不当労働行為事件の審査等並びに労働争議あっせん調停及び仲裁をする権限を有する(第20条)。労働委員会は、本法及び労働関係調整法に規定する権限を独立して行うものとする(施行令第16条)。

労働委員会は、中央労働委員会及び都道府県労働委員会とする(第19条2項)。

中央労働委員会編集

厚生労働大臣の所轄の下に、中央労働委員会を置く。中央労働委員会は、労働者が団結することを擁護し、及び労働関係の公正な調整を図ることを任務とする(第19条の2)。

中央労働委員会は、使用者委員、労働者委員及び公益委員各15人をもって組織する(第19条の3)。

都道府県労働委員会編集

都道府県知事の所轄の下に、都道府県労働委員会を置く(第19条の12)。

適用除外編集

法制定時は第4条において、地方公共団体警察吏員・消防吏員の団体結成、加入を禁止する旨の規定があった。

国家公務員については、旧法時代から本法の適用が除外されていて(国家公務員法附則第16条)、地方公務員については、1950年(昭和25年)の地方公務員法成立により一般職の地方公務員が適用除外となり(地方公務員法第58条1項)、第4条は削除された。なお地方公務員法第52条5項は、「警察職員及び消防職員は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、地方公共団体の当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはならない。」とし、第4条の規定を引き継いでいる。

脚注編集

  1. ^ a b 平成23年厚生労働省「労使関係法研究会報告書(労働組合法上の労働者性の判断基準について)」
  2. ^ 労働関係調整法では資格審査を労働組合の要件として求めていないため、労働組合が労働委員会からあっせん等の手続きを受けることは第5条の要件に関わらず可能である。

関連項目編集

外部リンク編集